彼女の雰囲気、どこか憂いを感じさせるその炎、美しい黒髪、戦いの折に見せる表情、全てが、全てが陽炎自身のそれと同じであった。その様なことを考えると、赤い雪が降ってきた、そこは室内のはずであるのに。
「炎舞 一式 焔雪・・・。」
舞い落ちる雪が俺に触れる瞬間発火する。それが技と知った時には無数の刃が俺を囲む。俺は腕に冷気を集中してそれに備える。
「炎舞 二式 炎刃・・・!」
そう陽炎が言い放った瞬間、俺が今まで見てきた『炎刃』のそれとはまったく違った光景を目の当たりにする。全ての刃が一斉に襲ってきたのである。片手で月下美人を放ち、残った腕に氷雨を持ち、凍源郷を放ちながら炎の刃を打ち消す。最後の二つをいなした瞬間、陽炎の持った炎の刃が俺の下腹部に突き刺さる。
「炎舞 三式 炎牢・・・。」
俺の腹部に刺さった刀を抜き去り、陽炎がそう言い放つと、俺は球状の炎の牢獄にとらわれる。そして陽炎は着物を脱ぎ、美しい肢体を露わにする。その瞬間、彼女の体に炎が纏われる。
「和田 樹・・・!アンタはここに何しに来た・・・・?アンタは過去に捕われにきたの・・・?違う・・・・全てを清算しに来たんでしょ・・?今のアンタは・・・・ただ過去に捕われてるだけじゃない・・・!?」
「お前に・・・・お前に何がわかる・・!自分が愛した最愛の人を・・・・・守れっ・・・・守れなかった辛さを・・・!?」
俺の訴えは、何処か陽炎に放った台詞だったのかもしれない。しかし、陽炎は最後の技を繰り出す。
「炎舞 終式 焔美人・・・!」
一方、白と綾乃が扉の奥で見たものは、血反吐を吐きながら倒れている面無の姿であった。