白と綾乃が部屋に入った瞬間、凄まじい死臭が漂ってくる。二人は鼻を覆い、敵を探す。奥にたたずむ男は青銅色の肌に、ただれた皮膚をしている。それが腕を振るった瞬間、その腕は大きく膨れ上がり、白と綾乃を襲う。
「綾乃、すぐに決めよう・・・・。この先に・・・・『最後』がまってるから・・・。」
「全ての戦いの首謀者・・・・・。許せない・・・・!」
そういうと、綾乃の目は緑に白の目は金色に色を変える。雷の狗が敵の動きを止め、木の根の槍が心の蔵を貫く。しかし男は何も無かったかの様に槍を引き抜く。
「我が名はぁ・・・・・風魔五鬼の一ぃ・・・・屍鬼ぃ・・・・忍を喰らうて生きるぅ・・・我の命は百八ぃぃぃぃぃ!!」
そう言って再び二人に襲い掛かる。彼の爪を避け切れずに白の着物が裂ける。二人は動揺を隠せなくなった。百八の命を持つ相手に、二つの命が勝てるのであろうかと。
一方、面無の選んだ門の先は一本道であった。その先は他の三つの門の合流点で、風魔忍軍党首で風魔五鬼最強の男、風魔小太郎が待ち受ける部屋であった。ここで時間を稼ぎ、見方の合流を待つという作戦である。長い廊下が終わり、広い部屋に出る。そこに待ち受けるは、数年間生活を共にした、風魔党の長であった。
「お主が患者だったとはな・・・鬼面・・。・・・・覚悟は・・・・決まったか・・・?」
「敵が誰であろうが関係ない・・・・!さてっ、小太郎様っ、我が剣舞を味わうか、それともご自慢の魔羅で戦いますかえ?」
そういいながら面無は般若の面をかぶる。すると彼の声は高くなり、胸は膨らみ、角の生えた美しい鬼女となった。そして腰の剣を抜き放った。
俺と燐の前に現れたのは、短い丈の着物を来た、双子のくのいちであった。二人を区別することが出来るのはどちらに眼帯をつけているかという点だけであった。
「来ましたわ・・・左月姉さま・・・・。」
「そうね・・・・右月・・・・。」
二人は互いの頬を触りあう。その情景は艶やかでなんとも形容し難い。
『我ら、風魔五鬼が一・・・・鬼雛・・・・参る!』