最悪との邂逅。いや、彼が謀って対峙したのであればその表現は不適切であろう。ただただ彼の目を見つめるがいざとなっては言葉が出ない。
「お話しには聞いておりますよ・・・樹様・・・なんでも、甲賀の十勇士の内、6人も貴方が倒したとか・・・・。猿飛佐助に、霧隠才蔵・・・。」
「なっ、何故だ・・・・・信玄公にも用いられ、明智光秀とも言われる天海殿がっ、何故かような若さを持っておるのだ・・・?」
彼の言葉を遮る様に放たれた俺の声は上ずっていただろう。目の前の現実と史実との違いに驚愕し、平静を保つことが出来なくなっていた。
「ほぅ・・・・信玄公の時はホンモノの天海でありました・・・。それに私が成り代わったのです・・・・。そうっ、私は明智光秀と名乗っていた時期もありました・・・。」
「答えに・・・・なって無ぇぞ・・・。」
彼は自分の頭の皮を引っ張ってはぎ落とす。すると彼の顔の右半分に現れたのは焼け爛れたような黒い肌と黄金に輝く人間のものではない何かの目である。
「私は・・・・貴方と対を成すものにあります・・・。貴方が未来からやって来たのであれば・・私は過去より・・・。一度死んだ私は再び魂と元の記憶を得て赤子よりすごした・・・・。それも七十年ほど前であろうか・・・。私は忍として育てられ、『金龍』の素質を開花させた。」
「『金龍』だと・・・・?」
俺は再び目を丸くする。目の前に居る男が金龍、現実逃避したくなるほど思いそれを必死に受け止めた。しかし彼の言葉は更なる相打ちをかける。
「そして私は明智光秀となって足利を通して織田家随一の家臣となる。そこで私は実験をした。・・・・・織田信長という人間は私ですら感嘆出来るほどの器であった。まさに人間にしておくにはもったいない程だ・・・・。そして私はやつにかねてから召喚をためらっていた『魔王』を取り付かせたのだ。」
「『魔王』・・・だと・・・?」