俺は将軍の真意を確かめるために江戸へ行った。とりあえず情報を集めるために俺は吉原へ向かう。色の町とも称される吉原には、幕内の高官も良く訪れる。とりあえず、行きつけの遊郭である『宴乃荘』に入る。受付には顔なじみの主人が立っている。


「おぃおぃ、旦那ぁ、こっちに戻られたんですかい!またしばし滞在ですかねぇ?」


「いやっ、すぐ帰る・・・。俺と顔見知りの女、全部呼んで来てくれ。先客がいる場合は、時間を作らせてくれ、相応の金を払う。」


 数ヶ月前に草月とあった部屋に入る。広い部屋の真ん中であぐらをかいていると、そろそろと何人も遊女が入ってくる。


「樹はん・・・ごっつお久しぶりどすなぁ・・・・。むこでのお仕事・・・・長かったんですやろなぁ・・・・・。」


 上品な京都弁で話し、艶やかに体を寄せてくる太夫に口付けをし、本題に入る。


「まぁなっ・・・・。今回も仕事なんだが・・・・。家康様の周りで・・・変わった事は無かったか・・・?」


「そうどすなぁ・・・・。最近坊主が・・・・・のさばっとるとか・・・よう聞きましたけどぉ・・・。」


 俺は自分の中の知識をかき集める。家康の時代に有名となる僧の名は天海と沢庵しか出てこない。その中で疑惑が多いのは天海である。


「その坊主は・・・・天海っつわなかったか・・・?」


「そぅどすなぁ・・・・・・。そんなきも・・・・はんなりしてますよってに・・・・。」


「悪い、直接話を聞いてくるわ。」


 もうすこし居てくれという遊女達の言葉に耳も傾けず、俺は城へ向かった。難なく城内に入り、家康所にまで至った。家康はいつも通りの優しい笑顔を俺に見せてくる。


「将軍様・・・・。何ゆえに・・・伊賀と甲賀の戦争を望まれたのですか?」


「樹や、主は戦わんでよい・・・・ここに、いときゃ・・。全部天海の言うとおりにしておけば、上手くいくのじゃ。」


 家康がそういった瞬間、奥の間より一人の男が現れる。烏帽子をかぶった平安貴族のような格好の青年。まさかと思って俺は顔を強張らせる。


「私が天海です・・・。和田・・・樹様・・・。家康様より話しは聞いております・・・・。少々二人で話しませんかね?」


 これが、最強最悪の男との出会いであった。