目の前に居る美しい少女の口から放たれた言葉に、俺たち三人は言葉を失った。


「藤林剛蘭殿にうちの長から書を届けるようにと言いつけられてきた。案内しろ・・・。」


「なぁなぁ・・・ねぇーちゃん・・・・いやっ・・・・・そうだな・・・・。君が人目に付くとまずいからな・・・・。俺らが案内するよ・・・。」


 俺は彼女にかける言葉が無かった。先代の佐助を葬ったのは自分なのだ。おそらく彼女はそれを知っている。知っているにもかかわらず彼女の口からその事が出ることはなかった。


「ねぇ・・・・・。猿飛・・・・さん?その・・・・根津・・・・甚八・・・さんからっ・・・。『気高く散った』と伝えてくれって。」


 移動中、白は恐る恐る口にした。すると燐は歩みを止め、白をにらみつける。


「お前が・・・甚八姉さんを・・・・!!」


 飛び掛ろうとする彼女を制し、俺は口を開く。


「落ち着けって!止めを刺したのは・・・・俺だ・・・。彼女は・・・・俺らとの戦いに意味を見つけ

それに殉じたんだ。」


「ふざけるなっ!『水龍』!お前のせいで・・・・お前のせいで・・才蔵も・・・・甚八姉さんも・・・・佐助先生も・・・!」


 胸が痛くなる。覚悟はしていた。しかし、実際に突きつけられると重すぎる現実。自分の覚悟が甘かったとしかいえない、自分には彼女に何もしてやれないという事を悟り、必死に言葉を探した。


「・・・・・殺したいなら・・・殺せ・・・。ただし・・・俺が忍を止めたときだ・・・・。ただな・・・・経験談だが・・・敵を討ったところで・・・何も始まらない・・・。」


 その言葉以降、俺達四人はただ黙々と歩みを進めた。そして藤林の家に着くと、燐は彼に巻物を渡す。すると藤林の顔が見る見る青く変化していく。綾乃が気を使って声をかけると、藤林の口から衝撃の言葉が漏れた。


「せ・・・・戦争じゃ・・・つっ・・・遂に甲賀と伊賀の戦争が始まるのじゃ・・・・。しかも・・・・上様からの命で・・・・。」


「何?」


 一同に動揺の色が見える。


「じーさん、俺は江戸に行って色々と調べてくる・・・・。半蔵さんが居ながら・・・どうしてこんなことに・・・・。」