あれから数ヶ月後、伊賀のはずれにある草原、俺はおりんのひざの上に頭を乗せている。急に、急に彼女の傍に居たくなったのだ。陽炎、犬千代、花。そして風雅・・・・。多くの友を失った俺は、彼女という心の拠り所に急に甘えたくなったのだ。
風雅は、死んでいない。忍の里全員の協力で一命を取り留めた、しかしながら彼の目は覚めない。彼の見舞いには何度も行ったが、彼とは一度も会っていない。瑪瑙が会わせてくれないのだ。『貴方が守ろうとする者は、すべて失われるんです・・・・。』その言葉が重く胸に突き刺さり、俺は言葉をなくす。
「樹君!修行行こう!!」
「ほーらっ、いちゃついてないで!!」
「樹様!白さんと綾乃さんが呼んでますよ!!」
俺はゆっくりと体を起こす。そしておりんをひしと抱きしめた後に、別れを告げる。少し離れた修行場で、三頭の龍は互いに力を試しあう。
「樹戒・木龍!!」
綾乃がそういって木の龍を作り上げる。俺と白がそれをよけるとそれはとたんに炎上した。俺達三人は異常に気付き、後ろの茂みを振り返る。そこには赤い目をした俺達とそう年の変わらない少女が立っていた。
「曲者!?」
そういって綾乃は巨大な木の龍を無数に作り上げる。すると赤眼の少女は手を赤く染め、その腕で木の龍を尽く裂いた。裂かれた龍は炎上し、力を多く使った綾乃は片膝を付く。俺は月下美人の動きに入り、手を白く染め、彼女の赤い腕に手を合わせる。二つの力は拮抗し、周りに強力な衝撃波を放った。
「あんた・・・・誰や・・・?」
すると、赤眼の少女は俺を睨み付けながら口を開く。
「炎龍・・・・・燐。・・・・・いやっ・・・・二代目・・・・猿飛佐助!」
予想の範疇を超えた人物の来訪。俺達は驚かずにいられなかった。