俺は左肩に紅骸を乗せる。するとマントのように広がって右肩を覆う。佐助が再び襲ってくるがマントが針のような形になって彼を迎撃する。佐助の肩に穴があく。痛みを堪えながらも佐助は上空に逃げる。
「ここまでこれるか?」
そういって佐助は両手を前にかざす。すると目には見えないが風が大きな渦を成し、巨大な球体になっているのを見て取れる。
「避けたり・・・・しねーよな?水龍の旦那ぁ・・・?」
佐助はらしくない挑発をする。裏を反せば外さなければうち負けやしないという自身の表れでもあった。それを読み取った俺は真っ向勝負を仕掛けることにした。
右手で肩の紅骸をつかみ、それを右手に纏う。赤く染まった右腕を佐助に向かってかざす。
「奥義、風玉・裂波!」
「奥義、紅龍!」
巨大な風玉と紅の龍がぶつかり合う。その二つが相殺すると見て取った瞬間、紅骸を羽にして上空へ飛び立つ。同じく紅骸より作られた大剣にて佐助に切りかかる。二つの刃が上空で交わる。力は拮抗し、それぞれの刀がミシミシと音を立てる。
「クソっ・・・『風神』め・・・!」
佐助がそうもらすと彼の大剣が折れる。そう、先の戦いで風雅の風双裂爪を受けたときのひびからである。そして俺は彼を切りつけ、佐助は下方の森へと力なく墜ちて行く。俺はすかさず追いつき、とどめの一撃を放つ。
しかしながら、刃は佐助に届かない。全身から力が抜ける感じがした。力の枯渇である。『紅骸』は自身の最強技である上に、それは自身の血を媒体とする技であり、心身ともに多くの負担を要するのである。すべての力を出し切った俺は立つことがやっとで剣を振るう事が出来ない。
「さ・・・最後のツキは・・・・・俺に・・・・俺に・・・・回ったようだなぁあ!」
佐助が雄たけびを上げて立ち上がる。そして砕けた風刃の刃をで俺に切りかかる。俺が死を悟った瞬間、一陣の風が吹き、誰かが俺の剣を持つ腕に手を添えた。
「ふ・・・・風雅・・・!」
「おい・・・・・ば・・・馬鹿ヤロっ・・・・こ・・・ここで・・・・負けんじゃ・・・・ねぇ・・・・!」
そういって風雅は俺の手の上から力を入れ、剣を振るう。佐助は雄たけびを上げるが、それもむなしく事切れる。風雅は俺の手を離し、ふらふらとよろめきながら大木にもたれる。
「お・・・・・れたち・・・・・勝・・・・だ・・・な・・・・っ!?」
言い終わった瞬間、風雅は吐血する。
「風雅、風雅ぁぁっぁああ!」
死地に、凄惨な叫び声が響き渡る。