白は雷で大犬を数頭作り出す。


「雷狗・・・!駆け巡れ!」


 すると雷狗は十蔵目掛けて走り出す。十蔵はさらに狼狽する。


「何故だ・・・?何故だぁ!俺の位置を知らぬ筈なのに・・・・!」


 白は笑顔で冗談を言う。


「狗だし!鼻が良いんだよ!」


 白は再び首飾りに手をあてて、弓の形とする。そしてその弓を引くと雷の矢が光る。


「紫電の矢!」


 そういうと光の矢が飛び、それは曲がりながら十蔵を貫く。十蔵の体から力が抜けてその場につんのめる。すると雷狗が十蔵を捕らえる。


 散々感電した十蔵の視界に白が入ってくる。白は彼を見下ろして、砂鉄の刃を向ける。


「冥土の土産に教えてあげる・・・・。鉄に惹かれるのが雷なんだよ!」


 そういって白は十蔵の喉元を掻き切る。


「ふぅ~・・・。血・・・流しすぎちゃったな・・・。」


 白は目を閉じる。そこに健やかな寝息が静かに鳴った。




 一方、俺と佐助は一進一退の攻防をしていた。俺は左手に冷気を集めて佐助に襲い掛かる。


「月下美人!」


「その技か・・・・ん~、こうだったっけな?」


 佐助は体を半身にし、右手を前に出し、それに左手を添える。そして右手を軸として左手で円を描く。すると、その周りには楯のような形をした豪風が吹き渡る。


「風双裂掌!」


 一瞬の動揺、それは技の雌雄を決するには十分すぎる要因であった。弾き飛ばされ大木に頭を打って倒れた俺の両手をふさぐように佐助は両足を置き、風刃の切っ先を俺の左胸に突きたてる。


「長かったな・・・・これで終わりにしよや!」


 そういって佐助は俺の心臓を突く。しかし刃は届かなかった。俺の左胸から伸びた紅色の洒落頭。それが切っ先に噛み付き刃を止めている。そう、陽炎の髑髏である。その髑髏が凄まじい力で佐助を投げる。


「紅龍が降りたぞ・・・・。秘儀・・・・紅骸(くれないむくろ)」