白は黄金に輝く目を爛々と光らせながら、まさに稲妻のような動きで甚八の後ろを取る。しかし彼女はあわてる事無く自分の背後に黒い粒子を集める。
「白、さがれ!」
その言葉に反応して白は後ろに飛び退く。飛び退いた彼の頬には一筋の鮮血が流れ出ていた。甚八は自分の背後に粒子を集めて巨大針状にしたのだ。あのまま白が踏み込んでいたら間違えなく彼は重傷を負っていただろう。
「わかったぜ、奴の力が・・・。」
俺は大胆な笑みを見せてこう続ける。
「あんたの力は・・・電磁力。電気を磁力に変えて無数の砂鉄をあやつってるんだろ、違うか?」
「わかった所でなんになるんだい?」
事実、そうであった。わかったからって解決策があるわけではない、俺は歯ぎしりをして甚八を睨みつける。
「あなたって不思議ですよね、甚八さん。全く殺気が無いんだもの・・・。」
白はいきなり問いかけた。俺も戦う間に疑問に思っていたのだが、聞く余裕など無かった。戦いを楽しむ。白は自分が忘れていたことを思い出させた。俺は再び笑みを見せる。今度は戦いを楽しむ笑みを。
「アンタ達は何のために戦うの?アタシはそれがわからない。何が正しいのか、アンタ達は教えてくれる?」
「昔は、俺もそう思った。何故、戦うのか、何故、殺すのか。でも今は理由がある。俺は忍でないといけない、愛する人が忍である俺を守って命を落としたから。だから、俺は忍であるために、戦い、殺す。」
「僕もそんな感じ、大事な人は死んでないけど。」
俺と白はそう答え、最後に俺は核心を述べる。
「わからないから、戦うんじゃないか?俺は、貫く道さえあるならば、無駄な戦いなんてないと思う。」
甚八は笑みを含んでありったけの力を磁力に変換し、砂鉄の龍を作り上げる。それに対して俺は水龍にて対応する。二つの龍がぶつかり合って、あたりには凄まじい衝撃が走る。
「雷狗!」
白はそういって雷の大犬を放つ。それは甚八の手前で二つに分かれ、左右から彼女を狙う。甚八は鉄の壁を左右に作り上げ、雷狗を防ぐ。その瞬間、俺の放った氷の矢が彼女の胸を射抜いた。
その頃、六郎二人と小助に、筧 十蔵はこう言い放つ。
「知らずの、死なずの。お主らだけでも充分だろ?小助もついてるんだ。俺は猿と合流する・・・・。」
ふらふらと『銃蔵』と謳われる男は彼の象徴である銃を肩にかけて茂みの奥へ消えていった。