1602年、伊賀忍者である堤 草月は江戸へ訪れた。最近、『次代の服部半蔵』と噂されている『雷堂 白』の命により、服部半蔵ともう一人の男へ言伝をしに来たのであった。
白に言われてやってきたのが、江戸の城下町にある最大の遊郭である『宴乃荘』である。受付の女に「一番良い部屋に案内しろ。」半ば強制的に女に案内させて、ある部屋にやってくる。障子戸を開けると、五人の遊女と、それらに囲まれた煙管を咥えた男が眼に入った。
「あんさんは何もんや・・?」男は悠々と問いかける。「伊賀忍者。堤 草月なり。言伝をしに参りました。」男は不機嫌そうにこう言い放つ「風雅か?白か?じじいか?誰でもええけど、直接来いっつっといて。」草月は怒り狂って男に向って手裏剣を投げつける。しかし、手裏剣は男に届く前に突然出現した氷の壁に阻まれる。
草月の能力である超人的な脚力を持って畳を蹴って男との距離を詰め、自慢の脚力で蹴りを放つ。しかし、男の煙管からシャボン玉のように泡が膨らみ、ふわりと草月の鼻の頭あたりに浮遊し草月の蹴りが届く前に泡が破裂する。
凄まじい風圧によって草月は遊郭の窓から外へ飛ばされる。草月が死を覚悟した瞬間、遊郭の窓から延びた巨大な水の腕につかまれ、元の部屋に戻される。自分の目の前の男は最初に座っていた位置から一歩も動かず遊女たちと事も無げに話している。自分との圧倒的実力をを見せ付けられた草月はただただ絶望するだけであった。
「凄まじき実力・・・。名前を聞かせてもらえませんか・・・・?」草月がそう問いかけると男は満足げにこう答える。
「最初から素直に聞いとけばええのに・・・。まぁ・・・ええか・・・。」そして男はこう続ける。
「俺の名前は・・・和田樹・・・。水龍を受け継ぐ者・・・・。」その瞳にはどこか寂しげな光が宿っていた。