俺達四人は城内にて小早川秀秋であろう青年を見つけた。彼の周りにはおびただしい量の血が飛び散り、一つの骸が転がっていた。その骸の顔は、今眼前に立っている青年と瓜二つ、いや、『まったく同じであった。』


 「樹ぃぃ!奴は敵さんだ!」そういう泥壁の声に反応して俺は一瞬のうちに氷雨を抜刀し、居合切りを放つ。秀秋の体をもつ男は横一文字に切断され、転げ落ちた。泥壁はその男の骸に駆け寄り、泥を顔に当てた後に自分の顔にその泥を押し付ける。すると泥壁は転げる二つの骸を、判別不能になるように潰し、こう声を張りあげる。「曲者じゃあ!人狼のあやかしじゃあ!」


 すると、小早川の武士軍団が俺達のもとに現れる。「曲者、出会えい!」と抜刀しながら俺達三人を囲み始める。武士たちが俺達を完全に囲み切る前に集団から抜け出し、人間以上の運動能力を持つ俺達は無傷で城から脱出したのであった。


 

「我々、小早川軍は、この時より東軍にくみしようぞ!!!」



 そのような掛け声を松尾山から離れた俺たち一行の耳にも入った。『任務終了』その安堵感は一瞬にしてかき消された。「誰か来る!かなりの強者よ!」花が声を張り上げ俺達はその一声で戦闘隊形に入る。


 すると、一対の『仁王』が木陰より飛び出し、一瞬にして瀬川とおしげの頭部をその掌で破壊した。「真田十勇士が一、三好伊佐入道!」と仁王のうちの一人が声を張り上げる。もう一人も「同じく真田十勇士が一人、三好青海入道!」と大声で名のる。「ふざっけんじゃねぇ!」そう倉内は両手に巨大な力の塊を作り上げながら叫ぶ。


 倉内は仁王に向って力の塊を発射したが、彼らはそれを『突き』にて相殺する。無防備になった倉内の前に現れたのは巨大な水の龍であった。その龍は倉内の上半身を食いちぎった。その後ろより長いきれいな髪を後ろでくくった童顔の一人の男が現れる。「十勇士が一人、霧隠才蔵・・・成。」


 「陽炎、樹、ってった・・・・。」蛙屋がそういった瞬間、『かまいたち』が彼の体と縦一文字に切り裂く。二枚におろされた蛙屋は血を噴きながら二つに分かれて倒れた。その血飛沫を浴びながらこちらに歩み寄る男の顔に俺は見覚えがあった。先程の茶屋であった男『サル』と名乗った男。「『サル』・・・まさか・・・?」


 驚愕する俺に向って『サル』はニヤリと微笑みかける。「真田十勇が一、猿飛佐助だ。久しぶりだな、樹殿。」口調とは裏腹に尋常ではない殺気を俺に向けてきた。次の瞬間、姿が消えたかと思うと俺の前に現れ、拳を打ち込む、しかし、割って入った陽炎がさばき、俺は陽炎の蹴りにて後ろへ飛ばされる。


 俺は一息つく暇もなく、次の攻撃を避けなければならない状況へ追い込まれる。才蔵の水龍が襲いかかる。すんでのところで俺はそれを避ける。陽炎とは逆のほうへ視線をやると、二人の入道に対して犬千代と花が応戦していた。


 俺は目の前の敵に集中した。『最強の仲間』を信じる故に。