犬千代たちが戦っているころ、俺たち三人は誰とも遭遇することなく移動していた。「戦いは始まってるっつーのに、いたって平和だな。」と俺は二人に声をかける。「そうかな?アタシはそうも思わない。最初の轟音は間違えなく風雅だし、そのあとの閃光は白ね。つまりこちらは最低でも2人やられてるってことよ。」と綾乃は鋭く返す。


 「そ、そこまで言わなくても・・・。だって、別動隊には犬千代君と花ちゃんがいるし・・・。」と瑪瑙がフォローを入れるが俺は不安をぬぐいきれなかった。「とりあえず、あまり好ましくない状況だな。」と自分に言い聞かせるように言い放った。


 不安が的中したかの通りに犬千代が茂みよりあらわれた。背中が焼けただれていた。「犬千代、どうした!?花は?」と俺は犬千代の背中を治癒しながら問いかける、その問いに対して犬千代は「岩代、蛙屋、倉内の三人に襲われた。京香と宮は倒した・・・。花は、岩代にやられた・・。」と息を切らしながら答えた。


 数分後、茂みの奥より巨大な手が俺達を襲った。俺は氷の壁を作り攻撃を防いだ。「綾乃、一緒に戦ってくれるか?瑪瑙、犬千代を安全な場所に!」という俺の問いかけに対し瑪瑙と綾乃は頷き、瑪瑙は犬千代を連れて茂みの逆方向へ、綾乃は俺とともに臨戦態勢となった。


 氷の壁に突き刺さっていた腕は縮まり、茂みの奥より巨漢が現れる。その男は俺がこの時代に来た時に見た男であり、岩代入道という音にも聞こえた剛の兵であった。「綾乃、援護にまわってくれるか?俺はこの男で実力を試したい。」


 陽炎との特訓で身につけた力が、この男に対してどれ程まで通用するのか、自分の力を試したいという念に駆られていた俺はニヤリと笑って戦いの口火を切った。