花の指示に見事こたえた犬千代の体には、宮からつけられた傷などなかった。何度も傀儡のからくりを喰らいかけたが、花の機転により危機を脱した。
しかし指示を出していた花の声が途絶えた。犬千代が振り向くとその場に花は倒れこんでいた「花ァ!!」犬千代は応戦しながら叫ぶ。花は意識があるらしく「ちょっとした・・・眩暈・・・。糸の動きと・・・音・・・・聞くのに集中・・・しすぎちゃった。」
犬千代は狼化を解いて花のもとへ駆け寄り、「よく頑張ったな・・・。俺がなんとかするから、ゆっくりしてろ。」と満面の笑みを見せ、花を安心させる。花はただ頷き、ゆっくりと目を閉じた。
その瞬間、宮の傀儡が犬千代の後ろをとる。『勝った』そう宮が思った瞬間と同時に彼女の意識は途絶えた。一瞬にて犬千代は狼となり油断しきった宮の後ろをとり、気絶させたのだった。犬千代は一瞬安心したものの、花の悲鳴にて再び緊張の糸を張らざるを得なくなる。
「犬千代、逃げて!!」花は精一杯に声を張り上げ、犬千代に喚起を促す。犬千代が花に視線をやった瞬間、彼が見たのは花を締め上げる巨大な右手であった。その『右手』が少し力を入れた瞬間、花は意識を失った。犬千代が反撃に移ろうとした瞬間、彼の背中に焼けるような痛みが走った。
「おいおい、背中がガラ空きだぜぇ・・?」後ろより蛙屋 宗一がニヤリとしながら問いかける。そしてその隣には倉内 源三郎が犬千代に向い手を伸ばしていた。そして彼は低い声で「終わりだ、犬千代。」源三郎が技をかけようとした瞬間、犬千代の懐より鏡が飛び出し、その鏡より出た光があたり一面を覆いつくした。