試合は俺が分らないうちに終わっていた。艶の右腕がなくなった事により蛇たちが彼女自身に襲い掛かった。戻ってきた花が。「彼女ね、右腕に開いた穴に風を通して音を鳴らしてたの。それによって蛇を統制していたの。」と花は淡々と解説する。


 まぁ、つまりまさに蛇使いだったわけだ。笛で蛇を踊らすように・・・。それを見抜いた花の観察眼はまさに感服だった。「いったでしょ?あのなら勝てるって。あの子の耳と目があればどうにかなるのよ。まぁ、それはいいとして次は私が出ようかね。」と陽炎は腰を上げる。「伊賀忍軍、陽炎。」と短く名乗り前へ出る。


 敵方は老人が前へ出た。「風魔が五つ鬼が一つ、鬼蜘蛛、参る。」と名乗った瞬間。花が声を上げる。「なっ・・・。五つ鬼って・・・。」と驚愕する花に対して俺は「なんなんだ?有名な忍者なのか?まぁ、陽炎なら余裕だろ?」と楽天的に語りかけるが花は「五つ鬼・・・。風魔忍軍の五指に入る実力者・・・。風魔忍軍は小規模だけど、頭となると実力は相当だと思う・・・。」


 唾を飲んで見る俺たちをよそ目に、戦いは始まっていた。一瞬の内に間合いをつめ、陽炎が苦無で鬼蜘蛛に切りかかるが、左右の腕をつかまれ、身動きを取れなくなった陽炎。その瞬間鬼蜘蛛から四本の腕をはやす。四個の拳が陽炎の腹部に炸裂する。陽炎は口から炎を吐いて、そのすきに脱出する。


 鬼蜘蛛の六本の腕から繰り出される手裏剣術に死角はなかった。陽炎でさえもよけるので精一杯であった。陽炎が炎弾をうちつけるが、鬼蜘蛛の口から吐く糸に炎をかき消された。近づくことも出来ず、遠距離攻撃も効かず、まさに陽炎は八方塞となっていた。