右腕の傷も治り、元の生活に戻っていた。
あれ以来ジェインとは会っていなかった。
撮影が終わり機材を片付けると、一息つきたくなり非常階段へと向かった。
扉を開け、階段を登る。
するとあの日のように手すりの間から天使の羽が見えた。
まさかと思い近づくと、天使がこちらを振り向いた。
「オッパ」
「…どうして、ここに?」
「オッパに会いに来たの」
「…なんで」
「オッパを赦しに」
そう言って彼女が真っ直ぐに僕を見つめた。
「本当はもうとっくに赦してる。だから___」
もう苦しまないで。
幸せになって。
ギョンスオッパ。
愛してる。
愛してる____
視界がぼやけて見えなくなった。
スアのお葬式でも泣けなかった涙が、次々と溢れて止まらなかった。
「ごめん…、ごめん…スアや…」
スアが、ジェインが、僕を抱き締めてくれた。
彼女の胸の中で僕はいつまでも子供のように泣いた。
点滅していた信号が赤に変わり、自転車のブレーキを掛ける。
いつもこの信号で引っかかってしまう。
ため息を吐きながら顔を上げ、向かいのビルの屋上にある巨大なビジョンに目をやった。
銀行のCMが流れた後、来月公開される映画のティーザーが始まった。
名前と共にジェインの顔が大きく映し出される。
夢を叶えた彼女は、輝いていた。
信号が青に変わり一斉に人々が歩き出す。
僕は晴れやかな気持ちでペダルを踏み込んだ。
end.
遂に完結しました!
待ってくださっていた方、ありがとうございました!
ソギョンスくん、キムジェインちゃんお疲れ様でした!
それぞれの場所で幸せになっていると信じています。
裏設定
事故以来乗れなかった自転車に乗れている
頭を打ったけど石頭だったのでたんこぶで済んだ
兄妹として時々は連絡してる
仕事が楽しいソギョンス
密かに映画を撮る夢ができた
ソギョンスくんファイティンー!!!