ダンサーの為の解剖学(ダンサーが知っておくべき身体のこと)

ダンサーの為の解剖学(ダンサーが知っておくべき身体のこと)

「ダンサーが知っておくべき身体のこと」って解剖学だけ勉強しても何をどう活かせばいいのか中々分からなかったりしますよね

ダンサーであり治療家である、という観点から解剖学といいつつ運動、生理、力学あたりの要素を踏まえつつ伝えていきます!

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改めて体が柔らかいってどういうこと③で列挙してた関節の動きを制限する因子を見てみると、




①骨の形の問題   ✔︎
②軟部組織の問題  
・物理的に筋肉や脂肪が邪魔する  ✔︎
・靭帯のつき方がきつい、かたい  ✔︎
・筋肉の短縮、攣縮  ✔︎
・筋力不足  ✔︎
・筋肉が物理的に短い  ✔︎
・筋膜の癒着 ◻️
③関節機能障害  ✔︎


だいぶチェックがつきました。
最後残っているのが『筋膜の癒着』。



以前ウォームアップ編のところでさらっと筋膜って出てきたし、??って人もいたかもしれませんが、簡単に言えば筋肉や腱、内臓、骨なんかを包み、仕切って、体を支えている膜のことです。




この膜があるから体の器官が定位置に保たれている。



そしてぬるぬるっとそれぞれの筋肉を包んでくれているので、筋肉をスムーズに動かすようにもしてくれる。とってもありがたいやつなんです。




でもたまにこいつが筋肉とくっついてしまったり、筋膜同士でも癒着するので、そうすると関節の動きを制限してきます。




ウォームアップのところで体を温めると何がいいかって話の中で、筋膜、腱、靭帯なんかが柔らかくなって無駄に筋肉を使わなくていいって言いましたが、




温めると筋膜が柔らかくなるのはコラーゲン繊維が主成分だから。

コラーゲンって冷えているとゼラチン状だけど、温かくなると液体状になるもの。特に筋膜はコラーゲン繊維が90%以上と言われていて、冷えていると動きを制限する。



さらに筋膜は可塑性と形態記憶性があると言われてます。可塑性ってのは粘土のように圧力によって自由に形を変えられるってこと。


形態記憶性はそのままだけど形を覚える…



こういった特徴は日々の姿勢の癖なんかに影響します。いつも首がちょっと傾いているとかいつも凝るとこ一緒とか、、、。


長年育て上げてきた姿勢の癖は筋膜が記憶し、一時的にほぐされてもいつもの姿勢に戻ろうとするので、また時間が経つと元に戻ってしまうことが多いです。




筋膜リリースって聞いたことあるかもしれませんが、ここ数年かなり一般的になってきましたね。
筋肉より筋膜の方が痛みを感じるセンサーも多いので、


ゴリゴリ筋肉をほぐされるよりも、筋膜にアプローチされた方が変化を感じる人もいます。


個人的に筋膜の問題は体がしっかり温まった状態で静的ストレッチを継続的に行うっていう日々のケアをするだけでもかなり改善されるのでは?と思っていますが、



それが中々続けられないしできないからみんな苦労するんですよね。頑固なものは人の手がいる場合も往々としてあるでしょう😅



で、これで関節の動きを制限する因子については一通り見てきたことになります。



結局、関節機能障害や筋肉の攣縮(れんしゅく)、筋膜の癒着や骨格の問題を除けば『静的ストレッチ』が有効ってことですね。


魔法のようなものは残念ながらありません😭



ただし、静的ストレッチの効果を考えると、実施するタイミングは意識した方がいいです。


レッスン中であればウォームアップの後、日々のケアとしては良く言われる風呂上がりとかかな。



何を目的にするかだけど、柔軟性を求めるための静的ストレッチはレッスン中には不向きかなと思います。



柔軟性を目的とするのであれば、ウォームアップをしっかり行った上で静的ストレッチを行うって時間を別で設けた方がいい。





もちろんバレエやジャズはかなり関節の可動域を求められるので、ウォームアップの後レッスン中でも股関節周りの静的ストレッチは必要ですが。



そしてケアとして1日の終わりに行う静的ストレッチも大切です。というのは疲労物質を血流とともに流してくれるから。



ただその疲労物質は筋肉を肥大させるためのストレスだったりするので、特に筋肥大を目的としたアウターマッスルの筋トレ後はあえて静的ストレッチはしないっていうのも1つです。



ただ前にも言ったようにダンサーにアウターの筋肉をがしがしつける必要はないかな、と思います。



体幹のインナーマッスルのトレーニングとそれをアウターと連動させられるようなトレーニング。それが結局大事なのではないかと。


では、



そもそも体幹のインナーマッスルってどれのこと?そのトレーニングは?



次回へつづく!


筋肉の攣縮(れんしゅく)とはそもそも何か。
いわゆるスパズムという筋肉の異常な緊張が生じているのですが、


常に筋肉が痙攣している状態なので、筋肉の中の血管がぎゅーっと圧力で絞められ、血液が足りない状態(虚血状態)になります。


そういう状態になると、発痛物質という、痛みを感じる物質放出されて、その筋肉や周辺の軟部組織に痛みが出ます。



メカニズムはとってもややこしいので見て見ないフリでいいですが、筋肉の短縮と攣縮はどう見分ければいいかというと



まず
①押すと痛いか




次に
②静的ストレッチが出来るか




この辺かなー。



押して痛いのに押し続けても筋肉が緩みません。

それだけ緊張しているので、筋肉が緩む位置でも緩まないし、伸びる位置に持ってかれると痛くて静的ストレッチもやれないような状況です。



体かたいから痛いとかそんな次元ではないので、素直に心折れます 笑



以前話してた関節機能障害でも似たような症状が出るのですが、攣縮だった場合どうやってその緊張を緩めればいいのかというと



『反回抑制』



という反射を利用します。



静的ストレッチはⅠb抑制を利用してました。


筋肉は収縮しかできない、という特徴がありましたよね。


でも筋肉の起始と停止をしばらくの間遠ざけて伸ばしてあげることで、筋肉が緩んでくるという反射でした。




が、攣縮してたら痛くて静的ストレッチは出来ません。そこで登場するのが『反回抑制』です。


筋肉の起始と停止を近づけたり遠ざけたりを繰り返すことで反回抑制が起きてくるのですが、自分で出来るかというと中々難しい。


これは関節機能障害と同様、治療家の範疇かなって感じです。



ちなみに攣縮していると、筋肉の機能も落ちてしまうので筋出力も落ちます。



そうなると動ける可動域まで動かす筋力が足らんってことにもなります。だから『筋力不足』でも関節の動きを制限することになるのです。



ちなみに筋肉、腱、靭帯、関節包、関節唇あたりの『軟部組織の損傷』も、損傷部位にストレスがかかれば痛みが出るし、その痛みによって可動域が制限されると考えられなくはありません。


関節そのものの可動域は影響なくても実質痛みで動かせないってやつ。損傷してたら筋力も落ちるしね。


ということで、筋肉の攣縮や筋力不足でも関節の動きを制限するってのがなんとなーくわかりましたかね




まぁ筋肉の攣縮じゃ短縮じゃなんてダンサーは別に知る必要がないです 笑
ただ静的ストレッチ頑張ってるのにどうにも可動域が変わらないケースの場合、こういったこともあるんだということを知っておくと


無駄な時間を過ごさずに済みます。



次回はようやく関節の動きを制限する因子最終回!!





、、、の予定 笑(終われるかな)
前回静的ストレッチを効率的に行うには、
筋肉の起始と停止、作用を知った上で起始と停止を遠ざけてあげればいい、



という話をしました。


ちなみに静的ストレッチは反射を利用して緊張している筋肉を緩めることで可動域を上げる話なのですが、実は





『物理的に筋肉が短い』



ことが関節の動きを制限している場合にも有効です。多分こっちの方がイメージしやすい人が多いのかも。


静的ストレッチで筋肉が長くなってるって思う人の方が多い気がするので😅


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(画像引用:http://www.yyokota.net/training-site/stretching1.html)



筋肉の筋繊維1つ1つを見るとこんな感じで構成されてます。


こいつらアクチンフィラメントとかミオシンフィラメントって呼ばれ、このアクチン、ミオシンそのものは収縮しないねん、とかそんなんは全く知らなくていい話ですが、



このZライン(膜)からZラインの間のことを『サルコメア(=筋節)』と呼び、筋肉はこのサルコメアがいくつも連なってできているっていうのだけ知ってください。




はい、ややこしい 笑


なので、これだけは知っときましょう。


『筋肉の長さ=サルコメア(筋節)の数』



これ大事。


このZからZのサルコメア(筋節)と呼ばれる数が多ければ多いほど筋肉は長いということになる。




んで、体がかたい人は何が制限してるかって自分では正直中々わかりません。筋肉の緊張なのか、そもそも骨格に対して筋肉が短いのか、その他の要因なのか。


ただ、継続的に日々ストレッチを行うことで『筋節の数が増える』、という実験データがあります。


筋肉が長くなる=関節可動域が上がる
→柔軟性が上がる




結局正しく静的ストレッチすることは柔軟性を求めていく上でひっじょうに大事ってことです。


いわゆるトレーナーが静的ストレッチの際に注意することは起始と停止をいかに伸ばせるかってのを重視しているはずです。


ヨガのポーズであれ何であれ、静的ストレッチに関わりそうな内容は、どの筋肉の起始と停止をどうやって遠ざけてやろうとしているのか。



改めて考えてみると取り組み方が変わってきます。




ちなみに関節の動きを制限する因子の『軟部組織の問題』の中で筋肉の短縮、攣縮(れんしゅく)が今回の話題なわけですが、


静的ストレッチが有効なのは『短縮』の方です。
Ⅰb抑制が有効。



では『攣縮』は?




次回へつづく