未知なるモノへの反応
数年前まで投資という存在が自分にとっては未知なるモノでした。
それは今や550億円のお金を運用している知人が一人のサラリーマンだった時。
当時僕は彼が株式投資をしているとは聞いていましたが、内心趣味の延長というかギャンブル性の高いものに手を出したんだと意外な感想でした。
なぜなら彼がサラリーマンをしながらも会社を経営していたから。
時間的な制限の多い中、堅実な彼が投資を始めたというのはどう考えても整合性が見当たらなかったんです。
いわばそれほどまでに自分自身に投資の知識がなかったということです。
これが未知なるモノに対する反応1。違和感。
そして彼は親族と身近な友人から出資を募り、運用を始めました。
僕にも声が掛かりました。
恐らくは僕が当時大企業に属していたことと、独身なのでいくらか現金を保有しており出資者になりうる可能性が高いことを見込んでいたはずです。
ある程度理論だった解説は得たものの、僕は彼に対するこれまでの人柄と誠実さに投資しました。微額でしたが。
ただ、めちゃくちゃ怖かったですよ。正直な話。
これが未知なるモノに対する反応2。不安感。
許容度の低い人はここで拒絶や抵抗といった反応を示すはずです。
僕は不安感を解消するため、彼が何をどのようにしているのか、そして彼の投資理論と同様の著名な投資家はどうしてきたのか急速に勉強しました。興味のレベルではありませんでした。
いくら信頼しているし少額とはいえ自分の大切な虎の子ですから。
これが未知なるモノに対する反応3。学習。
そして多面的な学習を続けITバブルや不動産バブルを経験する中で、彼がそれまで言い続けてきたことが現実となり、より投資理論に理解を持ちました。
これが未知なるモノに対する反応4。経験を伴う理解。
この1から4の経験を通して初めて未知なるモノが未知なるモノでなくなった感があります。
恐らくは投資に興味を持っている人は3か4の段階で大手投資信託や証券会社の方の話を聞いたり、自分で少しずつ投資を行なうといった反応を示すはずです。
大抵ここで差損を経験した人は投資をギャンブルだと結論付け、差益を経験した人は投資の才があると勘違いします。
大切なのは一連のサイクルの中で理論なりその理論に基づく経験をすること。
理論が明確にない状態での差益・損はギャンブルの域を脱しません。
そして反応2で留まっている人はどうか反応3に踏み出してほしいです。
いつぞやのITに関する授業が中学校レベルで開始されたように、今後金融や投資の学習が始まるでしょう。ただ、教育要領に盛り込まれた段階で学生の域を超えてしまっている場合、自己学習をしなくてはいけません。
「電子メールができない」
これが理由で情けない、時代に追いついていない、そんな風に言われるオジサマがいたように、金融や投資に関しても単なる知識ではなく技術として活用できないといけなくなります。技術も使ってなんぼ。投資もそうです。
しかもそれは企業レベルではなく個人レベルです。
会社では何も言われないかもしれませんが、家計に焦点が当たるのでより切実です。
未知なるモノへの反応。
食わず嫌いでなく、気になる異性のように好意的関心をもって反応することが大切です。取り返しのつかないような失敗でなければ、失敗も早期経験が良いと思いませんか?
'08年度世界長者番付
「賢明な投資」をテーマにウォーレン・バフェット氏のことを少し書いていたら、米フォーブス誌の2008年版長者番付でバフェット氏が世界1位に躍り出た、とニュースが。
13年間連続で首位だった米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏は3位に転落されたそうです。
それにしても総資産620億ドル、円換算で6兆円以上は尋常ではないですねえ。
ニュースにもありましたが、主な富の原動力は株式投資であり、その手法はファイナンシャルプランナーなどが広く推奨する「分散投資」とは異なる「フォーカス(集中)投資」であると。
もちろんリスクは高いです。その投資期間を短期で見たり、企業分析を安易にしていると。
2位のメキシコの資産家は前年3位で前年2位のバフェット氏が1位になったということは、ゲイツ氏一人が下がった結果の世界1位と2位。
これはどういうことかというとバフェット氏は例年同様変わりなく資産を維持しているということです。
日本で起こる前のITバブル崩壊や、今回のサブプライム問題にしても日本以上に被害を被っているアメリカで他の投資家同様経験しているにも関わらず、です。
つまりリスクを十分ヘッジできているからこその成果であるわけで、分散投資を勧めている投資信託や証券会社が果たして同様の結果を残しているかというとクエスチョンです。
「集中投資はリスクが大きいので、お奨めはやはり分散投資です!」
証券会社や投資信託の営業マンはそう言うかもしれません。
ではなぜ世界で一番成績の良いバフェット氏の運用方針に倣わないのか。
それは証券会社や投資信託の収益構造が手数料収入によるものだからです。
もっというとキャピタルゲインを取れないことがわかっているから手数料収入のウェイトを上げざるを得ないわけで、分散投資という名の売買回数を上げる要因となる投資方法を推進しているのではないでしょうか。
分配金と短期売買を嫌い、一度買ったら二度と売らないスタンスを取り続けるのがウォーレン・バフェット氏です。
そして同氏が経営する投資会社「バークシャー・ハザウェイ」は数十人で運営されています。
日本における投資信託や証券会社と比較してください。
1000人を裕に超す社員を抱える日本の大手機関と。
ウォーレン・バフェット氏は年1回しか運用報告をしないことでも有名です。
日本の大手機関とはこちらも大違いですね。
果たして本当に毎月毎月レポートする必要があるのか、そしてその経費はどこから出てているのか。
無駄な経費を落とし、利益追求するという意味では企業経営も投資も同じです。
あなた自身、もしくはあなたが託している金融機関は賢明な投資を行なえているでしょうか。
賢明な投資
「賢明な投資」と聞いてピンと来る方はウォーレン・バフェット氏の著書を読まれたことがある方ではないでしょうか。
バフェット氏はその中で様々なヒントを書いています。
僕が出資しているファンドの運用責任者もバフェット氏に大きく影響を受けた一人でもあり、その運用方針はバフェット氏のものに非常に近いものがあります。
「株式投資は必ず上昇しており、長期的な投資は損をするリスクが限りなくゼロである」
「運用成績が良い投資家が存在しており、またその投資家は投資方法を確立している」
運用責任者はこれらの事実を受け止めて、合理的に行動することで投資の運用成績は上げることができると考えています。
投資については賢明な投資を継続し、良く知ることが必要です。
そのため、膨大な時間を掛けてじっくり投資について勉強することがとても重要です。
賢明な投資を行なうことは生易しいものではありません。
バフェット氏が投資について成功する秘訣を聞かれたときに、「上場企業1万社の有価証券報告書全てに目を通せば、素晴らしい投資先が存在します。そこに投資すれば良いのです。」と言っていました。
インタビュアーが「そんな時間はありません。」と言いました。
バフェット氏は「アルファベット順にAから見ていけば、いつかはZに辿り着きます。」と答えていました。
僕が出資しているファンドの運用責任者は「1万社の有価証券報告書を見る」というのはバフェット氏の冗談ではなく真実だと言っています。
賢明な投資をするためにはそれくらいの調査が必要だと運用責任者は言い続けています。
僕は毎年運用成績の報告がなされた後、反省点や失敗点がなかったかを出資者としての確認業務として直接運用責任者に聞いていましたが、企業選別や細かな投資における判断ミスや反省点を運用責任者の口から聞けなくなったある年、彼は
「4年掛けて日本の上場企業全てを今年ようやく分析し終えた。」
と僕に言いました。
彼が運用するファンドはサブプライムで大打撃を受ける投資家が多い中、今年に入っても未だプラス成長を続けています。
