小さな嘘の、大きな本当 | 全国男性復権を目指す会

全国男性復権を目指す会

現在の偏った男女平等意識を改め、健全な役割分担が出来る社会を目指すべく弊会を発足させました。

上記タイトルはNHK朝ドラの今週のテーマですが、医院を開業した梅子が患者をかばうためについてしまった嘘が大きな騒ぎに発展する、といった内容でありました。法的にもモラルに於いても医師の嘘は良くないと思いますが、癌など難病の本人への告知の問題等難しい部分もあり、一概には語れないのが現状なのでしょう。


話しは変わりますが今から三十数年昔、私が初めて営業所長として赴任した際、上司より近所の医院を任されました。保険会社では医的査定といって保険金額により医師の診査が必要になりますが、社内の医師は数が限られており一般の医師に嘱託して診査をして頂いております。前述の医院はその嘱託医でありました。ここの建物はドラマに登場するのとそっくりの造りで、更に70歳前後の女医さんが一人で運営しておりました。患者は殆んど見かけずたまに昔馴染みの方が受診する程度で、何でも注射器を直接水道水で洗っているという噂さえある始末でした。そんな具合ですから保険会社の診査の依頼など願ったりで、「これで老後の資金を貯めるのよ」と口癖のように仰っておりました。


そういう状況ですからこの先生我が社の営業社員と癒着状態となり、例えば血圧が高めでも「緊張しているのですよね」などと言って測定値より低く書いたり色々と便宜を図ってくれましたが、最後の頃はこちらが下書きした診査報状をそのまま書き写しサインするという危ないことまでやってのけるようになりました。これは保険会社にとっては絶対にやってはならない事項で、発覚すれば担当者は有無を言わさず懲戒免職ですし、管理者もそれに準じた厳しい措置が取られます。私もそれを認識しておりましたが見て見ぬふりをし、寧ろ積極的に加担していた部分もあり、別の立場になったとき事の重大性に漸く気付き深く反省を致しました。


当時の診査料は確か3500円、往診すれば更に1500円加算されますので複数の保険会社を引き受ければ結構いい副収入になるのですが、やはり医者は科学者であり金のためとはいえ、科学的根拠のない数値の改竄は許されることではないのでしょう。年齢から考えてもこの先生が現在御存命とは思い難いのですが、医師のプライドを傷つける酷なお願いをしたものと悔やんでおり、再会が叶えば一言お詫び申し上げたいと存じます。またこの女医が梅子の将来の姿にならないよう願うところでございます。