夏場、私が昨年から多用しているのがジャングルファティーグのジャケットだ。


これはヴェトナム戦争時に米軍が使用していた野戦服で、
ラベルに記載されている正式名称は
「COAT,MAN'S COTTON WIND RESISTANT RIP STOP
  POPLIN OLIVE GREEN ARMY SHADE 107,CLASS1」
という長ったらしい名称だ。
画像の物はいわゆる「後期型ファティーグ」と呼ばれる60年代後半に登場したタイプ。
デザイン上の特徴は大きなマチのついた4つのポケットで、
第二次大戦中に空挺部隊に支給された「パラトルーパー・ジャケット」がベースになっているとされている。
また、胸ポケットは斜めに縫製されているので中の物を取り出しやすくなっている。

初期のモデルではポケットの開閉をしやすくするためにボタンの露出していたが、
草に引っかかったり伏せた際に破損したのだろう、すぐに隠しボタンに変更された。
また、肩の部分にはエポレット(肩部のループ)がついていたのが、やはり木に引っかかったりしたのだろう。
途中から省略された。
この省略は後のBDUや現行のACU野戦服などにも受け継がれている。
前合わせには当初「ガス・フラップ」と呼ばれる毒ガス攻撃時のガス侵入防止のために二重の前合わせとなっていたが、
これは蒸し暑いヴェトナムの地で空気の流通を妨げるため、廃止された。

このように実戦の経験を生かして改良して行ったのが後期型である。
また、後期型では「リップストップ」と呼ばれる特殊織りの生地を使用しており、
万が一、生地に穴が空いたときでも一気に裂けるのを防いでいる。
生地そのものの材質はコットン100%。
流石に熱帯地用の野戦服だけに、薄手の生地で夏場でも過ごしやすく、
ポケットが多いのは魅力。

画像の物は中田商店で売られているセスラー社製のレプリカ。
実物は年々入手困難になっているので、気軽に使えるのが嬉しい。
前合わせのボタンが取れやすいので補強しなけばならないのと、
なぜか右胸にもペンポケットが縫製されているのが欠点と言えば欠点。