ドイツ語歴史小説の小径 -2ページ目

ドイツ語歴史小説の小径

ドイツ語で書かれたドイツ語圏諸国の歴史小説をご紹介します

【スイス】

《新語》

1.Einkaufstourist 買い物旅行
 1月5日、スイス国立銀行がスイス・フラン高の進行を抑えるためにとっていたフラン売り・ユーロ買いの措置を中止すると、フランは一気に高騰した。スイス政府もEUも世界の金融市場も大混乱に陥ったが、とりあえず、スイス人は強くなったフランを抱えて国境を越え、生活用品などを比較的安く買い込んだ。


《変語》

1.Asylchaos 難民カオス
 大量に押し寄せた難民のほとんどの難民はスイスにとどまることなくドイツなどに向かったのに「カオス」などと言うのは、総選挙をにらんでの印象操作ではあるまいか。という理由で変語に選出された。

《新語》

1.Willkommensklutur 迎え入れ文化
 難民受け入れというとドイツが思い浮かぶが、オーストリアも多数の難民を受け入れた。ただ、ドイツと違い、オーストリアの場合、政府はむしろ及び腰で、市民が積極的に動いた。

2.Intelligenzflüchtling 知性難民
 「高等教育を受けた難民」のことではない。きちんと考えもせず、フェイスブックやツイッターなどで難民憎しの書き込みを垂れ流す人を皮肉った言葉。

3.Filzmaiern フィルツマイアーる
 メディアで引っ張りだこの政治学者、ペーター・フィルツマイアーにちなむ。どんな質問にも専門家らしく聞こえるよう答えること。

《変語》

1.besondere baulihe Massnamen 特別建造物による対策
 12月、政府は難民の流入口であるスロベニアとの国境に柵を設けた。「境界フェンス」みたいなあからさまな言葉は使いたくない、でも、国民には「政府だって対策をとっていますよ」と言いたいという要望を満たすのが、この妙ちくりんな言葉である。

2.Lügenpresse 虚偽報道
 難民について、いいニュースしか流さないのは、メディアの情報操作だという主張。

3.Kostendämpfungspfad コスト抑制法
 経営の健全化には、生産のコストを下げることが必要。そこには解雇や廃業といったものも潜んでいるが、従業員の目を惑わすように、コスト抑制法などと言ってみる。
【ドイツ】

《新語》

1. Flüchtlinge 難民
 難民を積極的に受け入れる姿勢を示したドイツに、100万人を超える難民が押し寄せた。それだけでも「ことしの言葉」1位となるにふさわしいが、言語的にも注目されることとなった。-ling(複数形で-linge)の語尾は、Eindlingling(侵入者)、Schreiberling(三文文士)のように、ある傾向を持つ人や行動をとる人を侮蔑的にあらわすことが多いからだ。

2. Je suis Charlie 私はシャルリー
 フランス語。1月7日、フランスの週刊新聞シャルリー・エブドの風刺画に反発したイスラム教徒が新聞社を襲い、12人を殺害した事件に対し、報道の自由を掲げて同社への連帯を示した言葉。

3. Grexit グレグジット
 「ギリシャのユーロ圏離脱」をあらわす。Greeceとexitをかけた言葉。

4. Selektorenliste 傍受対象リスト
 2013年、アメリカ国家安全保障局(NSA)がメルケル首相を初めとするドイツ市民の電話やインターネットを傍受していたとして、同盟国に対してすることではないと激しい怒りを買った。ところが、2015年になって、ドイツ連邦情報局(BND)がNSAに協力していたことが発覚。BNDは、NSAから与えられたIPアドレスやメールアドレス、キーワードをもとに、欧州諸国の政治家や官庁などの情報を集めていたという。そのリストの全容は、ドイツ連邦議会に設けられたNSA問題特別調査委員会の場でも明らかになっていない。

5. Mogel-Motor いかさまエンジン
 フォルクスワーゲン社が、不正なソフトウェアを使ってアメリカの排ガス規制試験をくぐり抜けていたことが発覚し、大スキャンダルとなった。

6. durchwinken あちらへどうぞ
 大量の難民を無条件で自国に入国させるも、そのまま他の国、とりわけドイツに向かわせる国々(オーストリアなど)に対する非難が込められている。

7. Selfie-Stab 自撮り棒
 言わずと知れた、自分を撮影するためにスマホをくくりつける棒。英語のSelfieから、Helfie(Haar(髪)とSelfieの合成で、自分の髪を撮ること)、Drelfie(drinkとの合成で、酔っ払った状態を自撮りすること)などといった言葉も生まれている。

8. Schummel-WM 欺瞞W杯
 2006年サッカーW杯ドイツ大会の招致活動において、ドイツサッカー連盟が不正を行ったとの疑惑が浮上した。この大会は、ドイツチームは3位に終わったものの、国を挙げてすばらしいホスト役となって盛り上げたことから、ハイネの「ドイツ・冬物語」をもじって「ドイツ・夏物語」と呼ばれ、同名の映画がつくられたほど、ドイツ人にとっては誇らしいものとなった。それに思いっ切り泥を塗るようなこの疑惑に、ドイツ人は激しく落胆している。

9. Flexitarier フレキシタリア
 ベジタリアンにも、肉はだめだけれども魚は食べてもいいとか、,食べ物だけでなく革製品を身につけることもいけないとか、いろいろな種類がある。フレキシタリアとは、肉はできるだけ食べないけれども、まるっきり拒否するわけでもない、フレキシブルなベジタリアンのこと。

10. Wir schaffen das! 私たちはやり遂げる!

 ドイツに押し寄せる難民の問題を解決しようというメルケル首相の言葉。もともと賛否両論あったこの言葉、2015年末のケルンでの集団暴行事件以降、ずいぶん旗色が悪くなっているようだ。

《変語》
1.Gutmensch (2011の2位)いい人
 難民支援のボランティアをしたり、難民への襲撃に反対したりする人に対し、おめでたくて浅はかなやつと揶揄する意味で使われる。

2.Hausaufgaben 宿題
 ギリシャが財政問題解決に向けて課された宿題を果たしていないと非難する言葉。れっきとした独立国であり、民主的に選出された政府を持つギリシャを小中学生扱いしていると批判された。

3.Verschwulung ホモ化
 トルコ生まれドイツ育ちの作家アキフ・ピリンチが著書"Die große Verschwulung(仮邦題:大いなるホモ化)"で、行き過ぎたジェンダー論が男性のいわゆる男らしさを奪ってしまうということで、男性の軟弱化を意味する言葉として使用した。しかし、明らかに同性愛者を侮辱する表現であるとして、激しいバッシングが起こった。