紫光のソリア
流派:元斗皇拳
帝都の紫光の将軍
攻も円、守も円の流輪を真髄とする元斗皇拳の使い手。
リンとバットの元へ向かうケンシロウの前に、軍を率いて登場。逆賊北斗を滅ぼす為と言い、ケンシロウに闘いを挑んだ。
序盤は圧倒するものの、ケンシロウに技を見切られ片腕を失う。そして更に片腕をとられ連撃を浴び敗北。
金色の光に導かれ動いたこと、そしてファルコに命を捧げたのだと言い残し、絶命した。
7行。
過去最短。
いやいや、経歴など序章にすぎない。ここからである。
そりゃ登場してすぐケンシロウと戦い、敗北したのだからこんなものだ。
ソリアの真の任務
ソリアには役割があった。
それは、ファルコという男をケンシロウや私たちに伝える役割だ。拡散である。
ファルコの紹介記事でも書いたが、ファルコの罪は重い。ジャギを殺さなかったケンシロウ以上に、ジャコウを殺さなかったファルコの罪は重い。
奪われた命があるという点では同じなのだが、ファルコの場合、天帝が絡んでいることでその犠牲が繰り返されていることが大きな問題となっていた。
そんな罪深きファルコを擁護するかのように、奴隷たちや兵士たちはファルコを理解し、慕っているのだが、足りない。民や兵の想いでは足りないレベルの罪であり、民や兵だけでは伝えきれないのがファルコという男だった。
そこで、ソリアの出番である。
言葉から読み取るに、ソリアのファルコに対する思いというのはほぼ、レイのケンシロウに対する思いと同じだ。
「ファルコこそわれらの心をふるわす光」
「その光のためおまえをここで討つ」
たとえ相打ちとなっても…!!
ケンシロウに未来を託したいレイが、命懸けでラオウに挑んだように、ソリアはファルコの為にケンシロウに挑んだ。
この時点で、ソリアにも、同時進行でファルコを死守したファルコ兵にも、邪念がないことが察知できる。
そしてたたみかけるように、
「我らも金色の光に導かれて動いたのだ」
「この命 金色のファルコ将軍に捧げたのだ」
と、言い残しソリアは絶命した。
ファルコ絶対いいやつやん。
しかもバリ強そう。
となるのである。
ファルコのような真意が謎のベールに包まれているキャラは、長期間の登場でなければその真意が伝わりにくい。しかも天帝を背負ってるもんだから、支配を正当化するにはそれ相応の理由が必要となる。
そこで、ファルコの強敵(とも)の出番となったのだ。
いくら徐々に過去が明かされ、その真意にたどり着いたとしても、失態となれば兵士だけでは正直頼りない。ソリアレベルの男に認められ、慕われてこそ、真のリーダーである。
更には、ソリアが死ぬ間際に言っていた、
「確かに似ておるわ」
という台詞。
これは、ケンシロウにひかれて北斗の軍が動いたように、自分もそうだ(ファルコという光に導かれ動いた)という意味だが、私は全部似ているのだなと解釈した。全部とは、
甘さも、である。
ケンシロウも散々、甘い甘いと怒られてきた。ケンシロウなりに非情さを身につけても、ラオウには到底及ばない。とにかく甘い。
ファルコもそうだったのだ。全てにおいて甘い。
そしてファルコは、その甘さのせいでとんでもない事態となったことを自覚し、偽りの非情を貫いている。
ソリアの発言によってそれが明らかとなることで、光とはそういうものだと納得するしかないのである。
甘いんだよ、光は。
片目について
登場場面はほんの少しだったが、序盤の圧倒さを見る限りなかなかの強さを誇るソリア。
ここでも、元斗皇拳の凄みとファルコの強さを知らしめるという役割を果たしてくれたのだが、気になるのはファルコに奪われた目である。
どのような経緯で片目を奪われ、その後、ファルコに命を捧げるほど惹かれたのだろう。
これについては明かされていないが、ソリア自身元斗皇拳の使い手である為、ファルコに挑むとすれば、元斗皇拳の伝承者争いと考えられる。
元斗皇拳の伝承
ファルコは、ミュウがお腹に自身の子を宿したことで、元斗皇拳が潰えないことに安堵した。ということは、元斗皇拳の伝承は基本的に親から子へ引き継がれるものとなる。
だがソリアはファルコの兄弟ではない。
となると、元斗皇拳にも北斗神拳のように一子相伝の掟があったが、伝承者争いというものも存在したと考えられる。
((注)ここからはただの妄想です)
元斗皇拳先代伝承者は、次期伝承者となるファルコの甘さを懸念し、念の為ソリア含めた何人かを候補生として育てた。その中で素質のあったソリアが残り、先代は真の伝承者争いとしてファルコとソリアを闘わせた。
ファルコにとっては、共に修行し、拳を学んだ同志のソリアを倒すことは厳しい試練だった。だがそれこそが先代の目的。元斗皇拳伝承者となるには非情さも必要である為、ソリアを倒せなければその資格はないという考えだったのだ。
しかしファルコは、ソリアの片目を奪うことで早々に決着をつけてみせた。
この容赦ない圧倒劇に、先代にとって不安要素となっていたファルコの甘さ問題は払拭される。
こうして、ファルコは正式に次代伝承者に決定したわけだが、これにはファルコのソリアへの情けがあったのだ。
元斗皇拳とは天帝を守護する拳であり、かつては北斗神拳をも凌駕すると言われている程。つまり、天帝と同じくひとつの時代に一人でなければ、それこそ天が割れる可能性も考えられる。
となるとやはり、伝承者争いに敗れた者は拳を奪われるという掟が存在してもおかしくはない。
もしそうなら、それは、私の妄想で言うと候補者同士の直接対決で行われるわけだが、ファルコはどうしてもソリアの拳を奪いたくはなかった。何故なら、自身の甘さゆえにソリアは候補者となり、元斗皇拳を習得したからだ。
そこでファルコは考えた。ソリアを圧倒し、戦意喪失させる事で免れるのではないかと。
こうしてファルコはソリアの片目を奪い、早々に決着をつけ、先代を納得させてみせたのだ。
そして実際、敵わない相手だと身をもって知ったソリアは、そんなファルコに心酔し、ファルコの為に元斗皇拳を使用することを心に決めた。
こうしてファルコの強敵(とも)となったソリアは、これ以上ファルコの手を汚さぬよう自ら動き、ファルコの為に元斗皇拳をふるっていたのだ。
という私の妄想でした。
実際は知らんよ、多分全然違うと思う。
楽しくなって長々と妄想が続いたが、正直ソリアについてはアニメでの記憶しかなかった為、私的にはとても新鮮でした。
おわり。