『上手くいかない恋』【ウネ】 | SuperJuniorウネ小説さくやのブログ

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SuperJuniorのドンヘの妄想を小説風に書き散らかしてます

ウネ多め
傷んだお魚が大好物です( ´艸`)



みなさま
今年もありがとうございました♡


…今年最後も撮って出し( ´艸`)

つづきはまだ書いてませんが、
つづきます←だいじょぶなのか^^;




    『上手くいかない恋』



「…うん、わかった」

じゃあね----と言って、電話を切った。

恋が終わる瞬間というのは----、実にあっけない----。




実際は、食事の約束をしていて、恋人が都合が悪くなって来れなくなったという、電話だった。

でも----、それだけで充分に伝わるほどに、恋人との間柄は冷めていた。

「久しぶりだね」

「シウォン…」

この店に来るのも、彼に会うのも、確かに久しぶりだった。

おれ何故か----、恋愛が上手くいってる時はこの店に来ないんだよね。

「…大丈夫?」

だからシウォンには、失恋したってすぐバレる。

----大丈夫ですよ…

失恋なんて、慣れている。

どのみち----、おれの恋は、上手く行きようが、ない----。




「…またいい人が見つかるよ」

カウンターに並んで座って、お互いのグラスを干しながら。

ヒョクチェはいい奴だから----と、神父様のようにシウォンが慰めてくれる。

シウォンは、おれの性癖を知っている----おれの性癖を知っていて友人を続けてくれている、唯一の男だ。

「チェ・シウォン…」

誰かいい人紹介してよ----と、シウォンの左肩にしなだれかかる。

「…こらこら」

窘めながらも、腕をまわしておれの頬を優しく撫でる、右手に----、シウォンを好きになれたらいいのにと、思う。

----好きなんだけど、ね…

シウォンの事は。

たぶん、シウォンも。
相思相愛だと思うんだよね、おれたち。

それなのにお互い、気付かない振りをしながら----、今宵も杯だけを重ねていく。

なんでかって?

だってシウォンは----、唯一"おれの性癖を知っている"男だから----。




失恋した、割には----、いい気分でいい加減、飲んで-----、

「ヒョクチェ、明日は?」

「…仕事」

そろそろ、と----シウォンがおれの頃合いを見極めて、バーカウンターの中の無口なバーキーパーに目配せする。

頬杖をついて、心地よくシウォンに世話を焼かれながら、バーキーパーがシウォンに肯くのをボンヤリと眺めていると----、

「わおっ!チェ・シウォンっ!」

入り口が騒がしくなって、店にそぐわぬ賑やかな声がシウォンの名を呼んだ。

「こんなところで会えるなんてっ!」

「…やぁ、ドンへ」

シウォンが穏やかに応える声が、頭の上でした。

何故か視界に影が差して----、そちらに頭を巡らせると、シウォンの背中が入り口からおれの姿を遮るようにそこにあった。

---- …あれ?

なんだろう?
シウォンは人類皆兄弟が信条というか…、かなりオープンな男のハズだけど?

まるで隠そうとしているような素振りが----、友人におれみたいな知り合いは見せられないとでも、言われているようで。

そんな奴じゃないってわかっているのに、そんな奴じゃないって信じているから余計に----、意地になってしまったんだと、思う。

「誰?シウォン」

そう言って----、シウォンの広い背中からはみ出すようにして、立ち上がりながら入り口に顔を向ける。

笑顔で何事かシウォンに話しかけようとしていた男が、突然現れたおれの声に目を向ける。

「…っ?!」

----あ…

瞬きひとつして、男が息を呑む。

----ヤバい…

「ヒョクチェ…」

シウォンの困ったような声が、立っているのにやっぱり上から降ってくる。

男は、おれから目を離さない。

「…ドンヘ、彼はイ・ヒョクチェ」

身動きどころか呼吸すら忘れた男に、諦めたようにシウォンがおれを紹介する。

「ヒョクチェ、こちらはイ・ドンヘ」

やっとおれに振り返ったシウォンが、おれの目を見据えた。

----彼は駄目だ

シウォンの瞳が雄弁に、おれに言っている。

おれも、そう思う。

だけど----、夢見るように『い・ひょくちぇ…』と唇を動かして、男はおれから目を逸らさない。

----ヤバい…

シウォンが祈るように、空を振り仰いで、目を閉じた。

----ヤバいよ…

また、マズい奴に一目惚れされちゃったよ----。