私が行なっているパワーリフティング。
未だに、一般で1つ、M1で3つの日本記録保持者であり、直近の全国大会(ジャパンクラシック)では2連覇している。
費やした時間や、支払った対価位には強くなれたのだろうか。
対外的(競技内で)に見れば、それなりの成績は納めたのだろう、でも、自身の感覚では強くなった実感は無い。
これは正直なところで、順位が、記録が上がれば上がる程、自身の目線も上を向いていく。
今迄見えていなかった世界を目の当たりにするにつけ、自身の矮小さを思い知る。
上には上がいすぎて、笑ってしまう。
それでも、日々、鉄塊に喰らいついていく。
俺は、パワーリフターだから…
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初めて、パワーハウス赤穂を訪れた時、人懐っこく話しかけてくれた。
最初は、会話好きなスタッフさんだな位の印象しかなかったのだが、他のスタッフさんから、彼はベンチプレスの世界大会で優勝していると聞いた時から、一目置く様になった。
渡辺雄次 ☆ベンチプレッサー略歴☆
全日本ベンチプレス選手権 優勝 2003〜2005、2008〜2010
IPF 世界ベンチプレス選手権 優勝 2002、2004〜2007
アーノルドプロベンチ90Kg以下無差別級 優勝→2009 2位→2008
WPC世界ベンチプレス選手権 優勝 2011
そしてその後、間もなくして、彼の競技者としての境遇を知る事になる。
これを読んでくれた競技者の中には、この話を知っている人もいるでしょう、外見ぐらいは。
でも今更混ぜ返す事は、時間の無駄。
だから、近しい私達も前だけを見ていきたい。
彼はずっとそうしてきたから。
ごめん。
やっぱり言わせて。
2012年の4月から今年の6月まで…
6年間、彼のベンチプレッサーとしての時間は止まっていた。
練習が出来るだけでもなんて俺には言えない。
世界を、しかも2団体を制した男。
彼から試合を取り上げた。
ルールは大事だし、守らないといけないなんて子供でも分かる。
ただ、人が勝手に後付けした決め事に、世界を制した才能が縛られるのは見ていて忍びなかった。
これを書く事で、もしかしたら、表面的な事しか知らない人間や、あげあしとりが大好物な人間がつついてくるかもしれない。 少なくとも、俺には何のメリットもない。
何故書くのか?
損得抜きで、客観的に見て、少なくとも彼のベンチプレッサーとしての信念や、行動、言動には一本筋が通っていると感じたから。
後ね、義理もある。
俺が、赤穂を訪ねた当初はJCPに出れるか出れないかの、二束三文の選手だった。
せいぜいトータル500チョイのね。
その頃から、彼は言ってくれていた。
阪田さんのポテンシャルなら、トータル700はいかないとおかしい。
ただ、それには本気にならないといけないって。
ずっと言い続けてくれたんだよ。
大した事ないおっさんにね。
そして行く度に、焚き付けたり、マニアックな話を披露してくれたり、狂気の鍛錬を見せつけてくれたり…
恥ずかしい話、時間が経ち過ぎて慣れていたんだ、彼の境遇に。
今日、赤穂で彼に聞いたんだ。
明日の試合、セコンドは?
彼はにっこり笑いながら、いやぁ、明日は…
その瞬間、行こうって決めて渡辺さんに言ったよ。
見届けなきゃ。
動き出した、〝ベンチプレッサー渡辺雄次〟の刻を。
ぶっちゃけ、競技で強いレベルの方から見たら、俺のベンチプレスなんて児戯に等しいレベルかもしれないけど。
明日は、渡辺さんを全力で応援、サポートしてくるよ。
怒られるかもしれないけど、復帰戦の記録なんてどうでもいい。
6年振りの試合を、思う存分味わってほしい。
動きだした彼の目前には、〝その先〟という途があるんだから。
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私の拙い文章力では、上手く伝わらないかもしれませんが、少なくとも1人の男が損得抜きで動こうと思えるのが〝渡辺雄次〟だという事が少しでも伝われば幸いです。
…だって、試合の事聞くまでは、明日、海か川に行こうと思ってたんだから(笑)
興味のない人間から見れば、どうでもいい事だからこそ、俺たち〝全国鉄塊持ち挙げ部〟の仲間同志、切磋琢磨すると共に、助け合わなきゃね
決して馴れ合いでは無い絆。
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P.S.
愛知JCPの後に、パワーラインを訪ねたんだけど、事前に聞いていた情報通り、パワーリフターだと言うと凄く親切に接してくれた。
そんなご自身もパワーリフターとして全国トップクラスの猛者だった星野代表の言葉を思い出すよ。
「宇佐美と渡辺は別格だよ、あいつらは天才だから…。」