「北海道からOさんが来ます。
Oさんは独りで浅草演芸ホールで昼の部を聴くので、その後に一杯やろうと言っています。
その辺りでどうですか?」
嬉しいお誘いです。
場所はどこにしましょうかということですが、私は浅草とか上野とか、東京の東の方は疎いんです。
どこかいいところはないかなあと思案していると、
「じゃあ神田の『味坊』にしましょう。
ウェールズラムの串が食べられますよ!」と。
味坊
どうやら中華料理店です。
なのにウェールズラム。
しかも串だと言うのです。
正直「?????」
という感じでした。
遠くからくる人を誘っているだけに、抜かりがあってはいけないと、珍しくちゃんと予約をして、その初訪問の行ってみました。
神田のガード下。
店の顔もちっとも中華屋らしくない。
でもそれがいい。
メニューを見ると、やはり中華といえば中華。
でもなにしろラムが売りと言う感じです。
いただいてみました。
これが美味い。
そのラムに合わせてビールそして奇妙なトマトハイなどをいただきました。
その味に惹かれて、いつの間にか店内は満席です。
予約しておいてよかった。
十勝で牧場を経営しているOさんの話は面白い。
そしてその息子は、北海道代表チームのキャプテンとして花園に出場し、その後大学でもラグビーをプレーしました。
就職したいと思えば、いくらでも行くべきところはあったでしょう。
でも彼は父の営む牧場を手伝う道を選びました。
その選択やよし!
きっと彼はいい牧場主になるでしょう。
だってラグビーチームのキャプテンをし、大学ではラインアウトを研究し尽くしてチームの頭脳として活躍した漢なのですから。
「事情通に言わせると、ここはワインの品揃えも凄いらしいんですよ。
なんか冷蔵庫から選んできてくださいよ」
「いや、無理です。
私、ワインは全く分からなくて・・・」
「私も分からないから、道楽者さんの勘に任せます」
冷蔵庫を覗くと、ボトルに直接値段が書かれたワインが並んでいます。
赤?白?そして、いくらくらいのものがいいのか?
どうせ分からないからと、ボトルがカッコいいと思ったものを店の人に指さして注文しました。
テーブルにそれが届くと、頼めといったFさんは、
「随分高いのを持ってきましたね」
と苦笑い。
「でもこれは1万円の価値がありますよ!」
と言いながら乾杯。
美味しい・・・のかなあ・・・
でも美味しいような気もする・・・
楽しくて楽しくて、でもそのワイン分余計に酔った感じがした私は、2軒目のビアパブ『MATES』の記憶が朧げです。