AIUでは、今週からオンライン授業が始まりました。予想よりは大きなトラブルもなく、順調に進んでいる印象です。自宅のWi-Fi環境が悪かったり、まさかのパソコンが壊れたりという話は聞きますが、それ以外は大丈夫な模様。肝心の授業のクオリティーについては教授によりけりですね。ディスカッションが多ければ楽しいのですが、ひたすらレクチャーをされるとオンラインでは集中力がもちません。(笑) オンライン上でグループプレゼンテーションをする授業もあるのですが、どうなるのか今から冷や冷やしています。今学期を乗り切れば、オンラインでの業務遂行にはかなり慣れそうです。(笑)

 

では、今回は留学中の秋学期に履修した授業をご紹介します。春学期と同じ39単位分を取得したのですが、何故か春学期の数倍大変でした。リーディングが多い授業を履修してしまったのが原因。自慢になりませんが、学生生活でこんなに真面目にリーディングに取り組んだのは初めてです。

 

マサリク大学社会学部のキャンパス

 

① Sociology of Nationalism

ナショナリズムの歴史や文化における事例について学ぶ授業。アンダーソンの「想像の共同体」という概念が登場したのですが、それが人間の本質を見事に表現していて感心してしまいました。課題は、毎回のリーディングのノート提出と期末のエッセイがメインでした。他に、街中でナショナリズムが表れている事例を探してフィールドノートを作る、という課題が数回ありました。リーディングの量や難易度はそこまで高くないので、この学期に履修した授業の中では、一番負担の軽い授業でした。

 

② Migration, Transnationalism and the City

移民受入の課題について、都市レベルでのアプローチを行う授業。国レベルでの移民政策を議論する機会は多いのですが、それぞれの都市の歴史・文化的背景が、移民受入にどのような影響を与えるかについてはあまり考えられてこなかったので興味深かったです。卒業論文の参考にもなる授業でした。授業は2週間に1回ですが、毎回の授業までにリーディングを読んで意見をまとめたエッセイの提出が課せられました。周りの学生は正規の大学院生が多かったので、日本人交換留学生は肩身の狭い思いをしましたが、何とか乗り切りました。期末には、授業で扱ったテーマや教材を利用して、3000語~4000語のリサーチペーパーを提出しました。

 

③ International Relations

安全保障の入門の授業なのですが、マスターレベルの授業だったため、情報量が膨大で理解するのが大変でした。教授の話すスピードがとても速く、チェコ語訛りの英語を必死にリスニングしてノートに書きとるのに苦労しました。ただ、AIUで日本の外交政策に関する授業を履修したことがあり、その時の微かな記憶が意外と役に立ちました。(笑) 評価はエッセイ1つと、中間・期末の試験でした。1回の授業でノート10ページくらいのコンテンツがあるので覚えることは多いですが、真面目に勉強すれば点数はとれました。それまでは苦手だった安全保障の理論について理解が深まったのがこの授業の一番の収穫です。

 

④ International Nationalism

「国際的なナショナリズム」とは何ぞや、という話ですが、簡単に説明すると「極右政党が国のレベルを超えて互いに協力しながら影響力を拡大しようとしている」という現象についての授業でした。ポピュリズムの台頭はEUでも最新の問題なので、ホットなトピックを学べて楽しかったです。ポピュリズムの背景にある思想をファシズム時代にまで遡ったり、極右政党のヨーロッパ議会選挙における連携を学んだりしました。評価は、セミナーでの発言と期末試験でした。授業で一度も扱わなかったリーディングを期末試験に出題されて焦りましたが、必死に記憶を辿って答案を作成すると好成績で合格しました。少なくとも留学先の授業では、リーディングは真面目に読んでおくべきだと思います。(笑)

 

⑤ Cultural Security

秋学期がきつかったのは間違いなくこの授業が原因。(笑) まず朝の8時から授業が始まるという過酷なスケジュールにより、7時過ぎのバスで登校する羽目になりました。(笑) マサリク大学の授業は朝8時から始まるものがあるかと思えば、19時40分までの授業もあったりして極端でした。このタイムスケジュールをこなす教授陣を尊敬します。(笑) この授業が大変だったのは、①膨大な量のリーディング(電子書籍・論文が丸々10冊分)②膨大な量のスライド③ひたすらマシンガンのように話し続ける教授、の3つの条件を全て満たしてしまったからです。しかも教授がスライドを共有してくれないので、話を聞きながらメモする必要があり、授業中は手の運動でした。学期の後半には、友人と協力して1人がスライドを板書し、もう1人が教授の話を書き留めて、後でノートを共有するというやり方で乗り切っていました。(笑) 

授業内容としては、「文化の衝突による安全危機」の話でしたが、理論の説明が大部分で、結局現実世界との繋がりがよく分かりませんでした。ただ、有名なフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」といった文献を読めたのは楽しかったです。

評価は、授業中の発言、1週間のニュースを分析するジャーナル、ジャーナルの内容を膨らませた3000語のペーパー、口頭試験が対象でした。中でも日本人が慣れないのが口頭試験。教授のオフィスに行き、くじ引きで引いたお題についてひたすら語る、というもの。電子書籍の内容もしっかり出題されていたので、試験前に必死に原本を読んでおいて良かったです。

 

マサリク大学の授業を乗り切るコツとしては、①リーディングを真面目に読む②授業中に発言する③教授に質問する、の3つに尽きると思います。当たり前のことですが、普段から地道に取り組んでおかないと痛い目に遭います。(笑) また教授は親切な方が多いので、分からないことがあれば遠慮なくオフィスを訪ねましょう。期末のペーパーについても、事前に目を通してアドバイスして下さることがほとんどでした。自分から助けを求めに行けば、きちんと手伝ってもらえるので積極的な行動が大切だと痛感しました。あと、日本人は発言することが苦手ですが、周りの雰囲気に呑まれずに発言しないと評価されないので、周囲を気にせず意見を言う訓練をしておくといいです。

 

留学先での授業、初めは大変なように思えても意外と最後は何とかなるので、あまり気負わなくても大丈夫だと思います。日本でとれない授業も多いので、知的好奇心を満たす楽しみは日本より味わえるかも。単位変換の都合はありますが、僕は自分の興味のあるものは幅広く履修していました。単位変換は上手いことやれば通ります。(笑) 授業内容を変換先の授業に該当するように、きちんと説明できれば問題ないのではないでしょうか。僕の場合、気が付いたら39単位分通っていました。(笑) ただ、これは本当に人によりけりのようです。先輩には「単位変換は忖度よ、忖度」と言われました。(笑)

 

AIUは、今日からゴールデンウィーク。今年はステイホーム週間ですから、自室で勉強、映画鑑賞、読書、ランニング、と何とも平凡な休日を送っています。不幸中の幸いか、世界中の劇場がオペラ・バレエ公演を無料配信してくれるお陰で、帰国後も文化レベルは高めです。(笑)

ではでは、今日はこの辺で!

 

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