コロナによる外出自粛で時間はそれなりにあるので(就活はどこいった⁉というツッコミは無し)、留学中に履修した授業を紹介します。折角1年間で39単位分取得したのに忘れてしまうと勿体ないですからね。ちなみに留学での単位変換が無事終わった結果、あと13単位で卒業できてしまうという衝撃の展開になってしまいました。

 

AIUは春学期が全面オンライン化されましたが、学費は全額支払いのまま変わらないとのこと。24時間365日開館の図書館やPCルームが使用できず、対面での指導がないにもかかわらず、全額負担はどうかと思いますが…。これで春学期休学する学生がどっと増えた気がします。そりゃ、学費が勿体ないもの。

以下のスタンフォード生の意見に激しく同意します。

https://www.stanforddaily.com/2020/03/18/a-discounted-education-should-not-be-sold-at-full-price/?fbclid=IwAR2mQYt_m9INnA3jskhBxqZSf7jrl2NV-nNXymNBRUBkMO7boyCyDcCTyLw 

 

気を取り直して留学中の授業紹介を。今回は2019年春に履修したものです。

 

①Roma in Central Europe (中欧地域のロマ)

チェコにも多いロマ民族という少数派に関する授業です。以前は「ジプシー」という呼び名が一般的でしたが、差別的だということで現在は「ロマ」と呼ばれるようになっています。ちなみに「ジプシー」の語源は「エジプト」で、ロマ民族の移動の際にエジプト方面からヨーロッパ入りしたことがきっかけです。ブルノのロマ博物館への訪問もありました。チェコ人のロマに対する偏見は今でも色濃く残っています。学校も居住区も分かれていたりするので、相互理解の機会が限られることが原因の1つでしょうね。「カルメン」や「ドン・キホーテ」といった芸術作品のイメージが強かったロマの文化や歴史を詳しく学べたのは良い経験でした。授業の評価は博物館訪問のプレゼンとエッセイでした。

 

②Czech Cinema I

その名の通りひたすらチェコ映画を観るだけの授業。チェコの映画産業はかなり発展していて、共産主義化においても独創的な作品が多く生まれています。毎週1本チェコ映画を観ましたが、面白いものとそうでないものの差は激しいです。(笑) 面白くないというより斬新すぎてついていけない、という方が正しいかもしれません。毎回の授業は映画を観るだけで、映画のレビューを書くエッセイを2個提出することが課題でした。

 

個人的に一番ぶっ飛んでいたのは「ひなぎく」(1966年)。深読みのできるテーマなので面白かったです。

 

 

歴史物が好きな方にはこちらの「フス戦争三部作」 (1954~56年)がおすすめ。ローマ帝国に反抗して火刑に処せられた宗教家ヤン・フスとその支持者によるフス戦争を描いた歴史的スペクタクル。フス戦争はチェコの歴史において超重要なので、一見の価値あり。若干共産主義のプロパガンダが入っていると思われますが、スケールも大きく豪華なので入門編としてはおすすめです。

 

 

内容は暗いけれど感動的だったのは「大通りの店」(1965年)。ホロコーストをテーマに、スロバキア人の大工とユダヤ人の老婦人の交流を描いた作品。初めは利益のために老婦人の店を管理する役割を与えられた主人公の心情が、交流を通じて変化していく様子は心に迫ります。ユダヤ人連行が起こった時、彼が下した決断と意外な結末には胸を揺さぶられました。

 

 

日本ではまだまだマイナーなチェコ映画ですが、芸術性やメッセージ性の強い作品が多いので、ぜひ観てほしいです。日本で一番有名なチェコ人監督の映画はやはり「アマデウス」でしょうかね。これは監督がアメリカに移住してから制作されたので、チェコ映画ではありませんが。

 

③Intercultural Communication

異文化コミュニケーションにおける文化の違いやエスノセントリズム等について学ぶ留学生向けの授業。AIUの科目にそのまま変換できる数少ない授業だったという不純な動機から履修しました。欧米文化の対極ともいえるアジア、特に日本の文化はかなり興味深いようで、日本人の意見はかなり重宝されました。毎週のエッセイのネタも見つけやすかったので、唯一日本人のバックグラウンドが活かされた授業でした。(笑)

 

④History of the Central Europe

中欧地域の歴史を古代から冷戦後まで1学期でカバーしてしまおうという無謀な授業。この学期で一番学ぶことの多かった授業は間違いなくこれです。高校までの世界史でヨーロッパの歴史には重きが置かれていない為、基礎知識が欠落しており、大変な苦労を強いられました。キリスト教に関する背景知識がゼロに等しかったので、中世史は地獄。(笑) テスト範囲も膨大でまさかのスライド200枚分を覚える羽目になりました。ただ評価は思ったより緩くて、ポイントを押さえて記述できれば高評価がいただけました。

 

⑤Approach to Migration in Europe and V4 Countrie

ヴィシェグラード4か国(チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランド)の移民受入政策について学ぶ授業。元々欧州の移民・難民問題を学びたいと思って留学先を選んだので、この授業には一番興味がありました。政治家が移民や難民を「脅威」として定義づけ、その問題を解決する手段が必要だと聴衆に受け入れさせる「securitization(安全保障化)」の理論が面白かったです。ブルノ郊外のZastavka u Brnaという村にある難民受入施設を特別に見学させてもらう、といった貴重な経験もできました。授業は2週間に1回で、その代わりに毎週リーディングを読んで、それに対する意見を記述して提出する課題がありました。テストや期末のエッセイはなく、普段の課題や授業での発言で評価が決まりました。

 

⑥Current Political Developments in Europe

中欧・東欧諸国をメインに現代史や時事問題について学びを深める授業。冷戦時代の歴史、難民問題、反EUの動き、といったトピックを扱いました。各授業のトピックの中から6個を選んで、それについてのエッセイの提出と2回の試験で評価が決まりました。教授が早口で情報量が非常に多かったのですが、学生数3名という超少人数クラスだったこともあり、毎回のディスカッションが楽しかったです。

 

2019年の春学期は以上6つの授業で、19.5単位分(AIUの単位数換算)を履修しました。日本の大学に比べると勉強量は多いと思いますが、AIUで慣れていたこともあってそこまできつくはなかったです。英語で授業を受けることが当たり前になっていたため、その点での苦労が少なかったことが大きかったですね。ただ東欧訛りの英語を聞き取れるようになるまでには、少し時間を要しました。自分の意見を記述する課題や試験が多いですが、真面目にやるべきことをしていれば評価はきちんとしてもらえるので、あまり心配する必要はないと思います。

 

次回は、色々大変だった2019年秋学期の授業を紹介しようと思います。

 

 

緊急事態宣言が全国拡大になりましたが、皆様もお身体にはくれぐれも気をつけて、普段できないことにじっくり取り組む時間にしてみてくださいね!

どうせ全国に出すなら最初っから出しておけば良かったのに、と思いますけれど。(笑) 現金給付にしても散々国民に批判されたから言いだしました感が満載でちょっとね…。「スピード感が大事」なら面倒な申請手続やら所得制限やらは一旦なしにして、一律に配ってしまえばいいのでは?「貰えた・貰えなかった」で社会の分断を煽る方が後々ややこしいことになる気がします。

あと気になるのは、一般人のメディアリテラシーです。パニックになるのは分かりますが、情報源をしっかりと確認した上でシェアするようにしましょう。見出しだけに踊らされたり、専門家と名乗る人の意見は100パーセント正しいと信じ込んだりする人があまりにも多いのではないでしょうか。無自覚のうちに、インフォデミックの加担者になることもあり得ます。ネット上で気軽に情報共有できる時代だからこそ、自分が発信する情報にも責任をもたなければならないな、と自省する今日この頃です。

 

ではでは今日はこの辺で!

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