最近すっかり舞台鑑賞日記と化している当ブログですが、たまには読者の皆様に役立つ情報を提供しなければ、ということで、僕が旅したイタリアの治安と注意点を記事にしてみようと思います。

 

世界中どこに行っても、日本ほど気を緩めて暮らせる国はないので、海外に行くときにはそれなりの緊張感が求められますが、実は僕、チェコですっかり平和ボケしていました。チェコは、ヨーロッパの中では比較的安全な国で、2019年世界平和指数ランキングでもトップ10に入っているんですね。もちろんボーっとしていたら、スリに狙われたり、酔っ払いに絡まれたりはしますが、「貴重品を肌身離さない」レベルの心がけをしておけば、犯罪の被害に遭うことはまずありません。そんな国で半年を過ごした僕にとってイタリアは恐怖でしかありませんでした。大体どのサイトを見ても、「スリやぼったくりに遭う可能性が高い」「不法移民の増加により犯罪率が上昇」的なことが書いてありますし、以前イタリア旅行をした同期が被害に遭ったらしいという話も聞いていました。

 

しかし「なんとなく犯罪が多そう」という程度の認識では被害防止にはつながりませんから、「どのような手口が多く」「どうすれば防げるのか」という2点を、僕の経験を基に書いておきたいと思います。

 

①スリ・置き引き

これはヨーロッパ全般に言えることですが、「公共の場=スリの仕事場」という認識をもつことが大切です。特に注意が必要なのは、メインの中央駅や地下鉄・バス等の公共交通機関、人が多く、無料で入れる観光地・フォトスポット等です。

近年、犯罪者の温床として悪名高かったローマ・テルミニ駅やミラノ中央駅の構内は、乗車券がないと入場不可になったため、ホームでのスリ・置き引き・悪質ポーター等の被害は減少傾向にあります。しかし、このチェックも結構ゆるゆるだったりするので、有効な乗車券を持っていない犯罪者がホームや電車内に侵入する可能性は非常に高いです。また、R(リッジョナーレ)やRV(リッジョナーレ・ヴェロス)等の列車は検察が回ってくる頻度が少なく、無賃乗車が頻発しており、それに紛れて犯罪者が乗車する可能性がありますから、注意が必要です。またローマの地下鉄やバスは混雑が激しく、スリにとっては格好の職場です。

このような場所で被害に遭わないためには①とにかく荷物から目と手を離さないこと ②カバンのファスナー等の開閉部分をしっかり押さえておくこと ③特に半径1m以内にいる人の言動に注意を払うこと ④できるだけ地元の人の目に入る位置で座席に座っておくこと ⑤車内で絶対に寝ないこと 等が大切になってきます。

また観光地では、ついつい目の前の景色や写真を撮ることに意識が向きがちですが、そんな時にも絶対に手荷物からは目と手を離さないようにしましょう。個人的には人気観光地での自撮りは、折角ですがこの際控えた方が安全だと思います。自撮りをすると、どうしてもスマホを片手持ちしていますし、手荷物からも手が離れがちになるので、もしも諦めきれない場合は周りに人がいない隙に素早く撮るようにしましょう。僕が今回訪問した中ではヴェネチア(リアルト橋、サンマルコ広場、寺院内部)、ミラノ(ドゥオモ広場)、フィレンツェ(ドゥオモ広場)、ローマ(スペイン階段、トレヴィの泉、コロッセオ周辺、サンタンジェロ橋)あたりの観光スポットが特に要注意です。

 

②押し売り(ミサンガ、絵画、お土産品等)

スリはこちらが気を付けていればまだ被害を防ぐことも可能ですが、いくら注意していても寄ってくるのが押し売りです。特にミラノ、フィレンツェ、ローマの先程述べたような観光地にはうじゃうじゃいます。片言の日本語で話しかけて寄ってくる外国人(主に移民系)には要注意!絶対に相手にしてはいけません!とりあえず徹底的に無視してその場から離れましょう。

この程度の対処法で済めばいいのですが、実際にはそうもいかず…。例えば、ミサンガをこちらの肩に乗せてきて、無理やり受け取らせようとします。このような場合、そのミサンガは相手に投げ返すか地面に払い落とすなどして、さっさと逃げましょう。それでもしつこくついてきた場合には、きっぱり「No!」と伝えましょう。日本人は「No!」となかなか言わないがために、押し売りしやすいと思われがちなので、はっきりと拒絶することが大切。中には、異常にしつこい奴もいて、「No!」と言っているのについてきて、こちらの腕をつかんで引き留めようとしてくるので、遂に僕もぶちギレ。「離さないと騒いで警察呼ぶぞ」と怒鳴ったらやっと逃げて行きました。これはあまり良い撃退法ではなかったかもしれませんが、大声で拒否をして周囲の注目を集めるというのは対処法の1つにはなると思います。

こういったことを未然に防ぐため、自分の周囲にいる人達には常に十分な注意を払いましょう。人種差別をするつもりはありませんが、移民系で手に商品らしきものを持った人が近づいてきた場合、直ちに毅然とした態度でその場を離れるべきです。「あなたたちの手口には気が付いていますよ」とあからさまに警戒する態度を示しておけば、寄ってくる確率はかなり下がります。また、主要観光スポットには軍や警察のパトロールが増えてきているので、そういった人たちの目の届く範囲に移動するのもありです。ただし、イタリアのことですから、彼らが必ずしも動いてくれるとは限りません。現に、コロッセオ周辺でスリを観光客複数人で取り押さえて、騒ぎになっていたのですが、その真横を軍人2名が談笑しながら通り過ぎていくのを目撃してしまいました。(笑)

 

③駅の券売機の偽スタッフ

それぞれの街の中央駅に出没するのが、観光客の手助けをする振りをして、見返りを得ようとする偽スタッフ。僕が目撃したケースでは、ローマ・テルミニ駅の窓口で順番待ちをしている観光客に「Buying tickets?」みたいに声をかけ、自動販売機に誘導して、見返りを得ようとするケース。意外と彼らについていく人も多く、必ずしも見返りを要求しているようには見えませんでしたが、やはり偽スタッフにはついていかない方がいいと思います。あとで、窓口の人に確認したところ、「あの人たちは偽者だから、寄ってきたら警察呼ぶぞ、とか言ってやればいいのよ」と言われました。いや、分かってるなら対策しろよ、となりますが、正規の社員はきちんと「Italo」または「Trenitalia」と書かれた制服(主に赤色)を着用し、名札も着けています。それ以外の人たちが寄ってきたら、どんなに詳しそうな人でもはっきりお断りしましょう。

 

④お会計のごまかし

これは故意なのか単におつむが弱いのかは謎ですが、イタリア人は本当によくお会計を間違えます。中には、事情を分かっていない観光客からぼったくろうとしている人たちがいるのも事実。まず注文の際に、値段をチェックし、合計金額を計算しておいて、お会計の際には伝票としっかり照合しましょう。カード決済の場合は、入力された金額が伝票と同じかをきちんと確認してから、暗証番号を押してください。たまに伝票よりも高い金額をしれっと入力しているケースがあります。現金決済の場合、特に高額紙幣を使った際は、おつりをその場で何度も確認しましょう。

 

⑤物乞い

この人たちは危険というわけではありませんが、日本人から見ると「怖い」と思ってしまうかもしれないですね。道端にいることには慣れっこになってしまいましたが、イタリアで驚いたのは電車内に乗り込んでくること。特に、座席指定ではないRやRVの電車によく乗り込んできます。よくあるのが座席に「私たち家族を助けてください」みたいなことが印刷された紙を置いていって、あとからそれを回収しながらお金を求めてくるケース。一時合流して一緒に旅をしていた友人が「その紙を印刷するお金あるなら食べ物買えよ」とつぶやいていたのには笑ってしまいましたが、これは本当によくあります。無視していればどこかに行ってくれるので、無視するのがベストの対策かと。

しかし、ヨーロッパに来て驚いたのが意外にお金をあげる人が多いこと。施しをすることが美徳とされているキリスト教の影響があるのか、予想以上にみんなお金をあげていました。小さい女の子が「あの人にお金あげてもいい?」と両親に頼んで施しをしていたりして、「小公女」のワンシーンかよ、と思ったりもしましたが、「海外の物乞いにせびられても無視するべき」と教育されている日本とはまた違うの感覚であり、これも文化の1つかなとも感じました。

 

今回の旅で僕自身が経験し、目撃したケースはこれくらいですかね。まさに犯罪の現場を見てしまったり、目の前で必死に抵抗する犯罪を犯したのであろう移民系の少年が警察6人がかりで強制連行されたりという、なんともいえない場面に遭遇することもありました。

しかしながら最悪の状況を予想して行動した結果、思ったよりも安全だなという印象も抱いたので、最悪の事態を想定して、細心の注意を払うことをおすすめします。イタリア以外の国(チェコ含め)に行かれる方も、このようなケースがあり得るということを頭の片隅に入れていただければ、被害に遭わずに楽しいヨーロッパ旅行をお楽しみいただけると思います。

 

(注)ここから先はあくまでも僕個人の見解なので、もしもご気分を害された方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。一応僕が感じたこととしてまとめてみた次第ですので、読み飛ばしていただいて構いません。

 

結論から言うと、「不法移民の取り締まりは強化してもいいんじゃない?」ということ。日本にいた頃は、移民を送還したりするのは人種差別だ、というような認識でしたが、いざ現地に来てみると差別ではなく事実だよな、と感じることもしばしば。「移民は犯罪者である」と決めつけるのは差別ですが、今回イタリアで目にしたのは「犯罪者には移民系にルーツを持つ人が多い」という事実でした。主張の手段や表現が過激であるものの、「不法移民を取り締まる」というトランプ大統領の主張に一票を投じたくなる人々の気持ちも分かる気がします。理由はあるにせよ、「不法」であることに代わりはないですし。日本では「移民を受け入れて、共存することが正義」というように考えていましたが、実際にこのような経験をしてみると、単にどちらが正しいとは一概には決められないという複雑な現実を知ることになりました。

 

よろしければワンクリックお願いします。


ヨーロッパランキング