”Triple Bill" (June 13, 2019) @ Royal Opera House
"Fire bird"
The Firebird: Mayara Maguri
Ivan Tsarevich: Ryoichi Hirano
Tsarevna: Helen Crawford
Kostchei: Alastair Marriott
"A Month in the Country"
Natalia: Marianela Nuñez
Beliaev: Matthew Ball
"Synphony in C"
Dancers: Fumi Kaneko
Sarah Lamb
Yuhui Choe
Francesca Hayward
Vadim Muntagirov
Nicol Edmond
Alexander Campbel
James Hay
ロンドン最後の夜はロイヤルバレエの「トリプル・ビル」を鑑賞。最近のロイヤルバレエは特別好きなわけではありませんが(どちらかというと魅力を感じない)、ロイヤルオペラハウス見学を第一目的とし、パフォーマンスは二の次。(笑) どうせなら、ロイヤルバレエで唯一チケットを買ってでも観たいマリアネラ・ヌ二ェスとワディム・ムンタギロフの両人が出てくれる日にしよう、ということでこの日のチケットを購入。
39ポンドのバルコン上手側にしましたが、この席、けっこうコスパが良かったんです。一部、劇場の照明によって見切れるのですが、オペラグラスを使えば、表情までドアップで見えますし、椅子の位置を動かせるので、うまく調節すれば大部分は問題なく見えます。ポイントは椅子を斜め向きにして、手すりぎりぎりの位置にセットし、手すりに寄りかかって観ること。(笑) 周りのいかにも常連さんっぽい面々がこの方法で鑑賞し始めたので、それに倣いました。後ろが立見席なので、乗り出したところで、同カテゴリーの観客に迷惑もかからないし、よいのではないでしょうか。係員もチェックに来ないので、わりと自由な感じでした。
第一部の「火の鳥」は、少なくとも曲は有名なストラヴィンスキーですので、はずれはないだろうと思っていたら、これが大誤算。オーケストラが下手なのか、音響が酷いのかは分かりませんが、あんなに盛り上がらないストラヴィンスキーは初めて聴いた…。マリインスキー劇場オーケストラとかなら、「ザ・ロシア」な演奏を聴かせてくれるんだろうな~と考えながら鑑賞。以前テレビで「眠れる森の美女」を観た際も、オーケストラが音を外しまくっていて、「チャイコフスキー先生に謝りなさい」という演奏だったので、ロイヤルのオーケストラには期待しない方がいいかもしれません。(笑)
肝心のダンサーについては、火の鳥を踊ったマヤラ・マグリが今回のめっけもんでした。奇しくも現在来日中の引越公演でも、急遽「ドン・キホーテ」のキトリ役に抜擢された注目の若手。今どきのバレリーナにしてはスタイル抜群というわけではありませんが、ソリストとしてのオーラがあり、なかなか魅力的でした。同じ南米出身のマリアネラの若い頃に少し雰囲気が似ているかも。近年のロイヤルバレエで久々に期待できるバレリーナが登場してくれましたよ。イヴァン王子は平野さん。ただほとんど踊らないですけどね。(笑)王女役のヘレン・クロフォードは、踊りはまあまあでしたが、顔がおばはん。(笑)オペラグラスの悪いところは、顔の皺までばっちり捉えてしまうところでして…。美しい王女の設定なら若手を使えば良かったのにね。悪役カスチェイのお芝居はかなり上手くて、やっぱりイギリスって演劇の国なのよねと実感。
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第2部の「田園の出来事」では、遂にマリアネラが登場。元々は、キトリのような明るい役柄が得意だった彼女ですが、キャリアを積むにつれて、今回のような令嬢役もかなりのはまり役。まず、幕が開いてポーズをとっているだけでオーラが違います。そして、特筆すべきは演技力の高さ。彼女のお芝居は、比較的感情をはっきり出すのですが、わざとらしくならないし、単なる顔芸にもならないところがミソ。あくまでも、自然に、恋心や傷心を表現できるところが素晴らしい。今回は、脇を固めたダンサーたちも素晴らしくて、なかなかの出来栄え。ロイヤルバレエは演劇的作品ではやはり魅せてくれるので、正統派クラシックは諦めて、この路線でいけばいいのに。それにしても、マリアネラに対する人気は本場でもすさまじいようで、カーテンコールでも大歓声でした。大熱演のあとに、わりとすぐ「庶民的なおばちゃん」に戻ってしまうのが微妙ですが、まあそこはご愛嬌ということで。(笑)
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第3部は、「シンフォニーインC」。ただ、トラブルか何かで休憩時間が延びたこともあり、この時点で22時。休憩の間に退場してしまった観客も多かったようです。もはや元のタイムテーブルは完全無視。(笑)その上、直前のキャスト変更も相次ぎ、気が付いたときには原型をとどめていないキャスト表が完成していました。もうちょっとマネジメントを頑張ろうよ。今回の来日公演でも、わりと目玉だった2人が降板して、一部のお客様がお怒りモードだったようで。
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さて、気を取り直して第3部の感想を。正直ほんの少ししか踊らないにもかかわらずワディムしか観ていませんでした。アップテンポの振り付けでもあくまでも優雅さを失わない踊りに見とれました。どうせなら全楽章を1人で踊ってほしかった…(無茶ぶり)。また、チェ・ユフィさんの音楽性に優れた踊りも美しかったです。後ろのコールドは若干ドタバタ気味だし、明らかにカウントに遅れている人がちらほら…。ただ、正統派クラシック演目ではなかったのが功を奏し、そこまで気にはならなかったかな。(褒めているのかけなしているのか…。)
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終演時点で既に22時40分…。泊めてくれている親戚に心配をかけてしまうのも悪いので迷いましたが、やっぱりワディムだけ出待ちすることにしました。ロイヤルオペラハウスの楽屋口は、オペラハウス真正面から見て右側のFloral Streetにあります。前の通りが工事中だったこともあり、かなり狭く感じました。ブルノでの出待ちはたったの2人でしたが、今回は20人以上いて、すし詰め状態。待つこと30分でお目当てのワディムが出てきてくれました。前回に引き続き、サインと2ショットをゲット。混んでいたこともあり、ゆっくりとお話はできませんでしたが、先日のブノワ賞のお祝いを伝えると喜んでくれました。サインをお願いした時に、僕の顔を見て「あれ?」みたいな表情をされたので、ブルノでお会いした時のことは覚えてくれていた様子でした。たしかに、「ブルノで出待ちしていた日本人男子」ってインパクトありありか。(笑)ワディムとほぼ同時に出てきたアレクサンダー・キャンベルにもせっかくなのでサインをもらっておきました。
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オペラハウスが想像していたよりずっと綺麗だったのと、お目当ての2人も予定通り踊ってくれて、けっこう満足度の高いロイヤルバレエ鑑賞となりました。日本で2万円ほどのチケットを買ってまで観ようとは思わないけど。(笑)
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