日本でもニュースになっているようですが、今ヨーロッパはEU議会選挙の真っ只中。チェコでは24日と25日が投票日で、結果は来週27日に発表されます。

今回の選挙の注目ポイントは「反欧州統合派・EU懐疑派がどれだけ議席を獲得するか」ということですが、チェコは反EU派が強い国の1つ。そもそもEUに加盟が決定した時も、世論は二分され、BrexitならぬCzexitの声も度々起こっていたそう。特に、比較的新しい加盟国かつ小規模な国であるチェコ及びその周辺国では、「EUは西欧が牛耳っており、ブリュッセルの命令に従うのはまっぴらだ」という意見が強いです。たしかに、言われてみればEUの重要な出来事は、フランスやドイツを中心に決められている気がしないでもありません。そのため、「EUから離脱または距離を置いて、自分たちの自治権を取り戻そう」というキャンペーンはかなり魅力的な模様。似たようなキャンペーンの結果、国民の感情と政治家のゲームでEU離脱を決めた挙句、迷走を極め、EUのみならず全世界に多大な迷惑をかけている某国の例があるのですから、「チェコも続こう」というのはいかがなものかと。(笑) 

また、どこの国でも言えることですが、世論はプラハやブルノをはじめとする都市部とその他の地方で二分されています。都市部では、教育を受けた人たちが多いため、リベラル派が支持される傾向がありますが、高等教育を受けず、下手したらチェコから出たことがない高齢者の多い地方では、保守派が人気を集めます。このあたりは、アメリカ大統領選挙で、共和党と民主党がそれぞれ地盤とする地域区分と共通しているかも。ここでポイントなのは、反EU派が強い地方が、農業向け等の補助金の対象になっているため、実はEUの恩恵を最も受けているということ。地方民の中には、このような事実を理解していない人も多いそうなので、教育ってやはり重要なんですね。

 

そういえば、チェコの政治、実は日本とも深い関係があるんです。現在の与党はANO Partyという中道派の政党になっているのですが(チェコ第2位の大富豪である党首が自身のビジネスの利益になるという背景から一応親EU派)、3番目くらいに人気があるのがSPD(Freedom and Direct Democracy)という政党で、日系チェコ人のオカムラ・トミオさんが党首です。この政党は、今流行りのポピュリズム街道まっしぐらで、非常に過激な政策を掲げており、オカムラさんは「チェコのトランプ」とも言われています。一番の公約は、「チェコから移民・難民を追い出す」というものなのですが、実のところチェコはあまり難民を受け入れていないので、この公約は単に「移民・難民を政治のカードとして利用している」という面が大きいです。この公約を聞いた時、僕が疑問に思ったのは、「日系の党首が反移民を掲げても、お前も外国人やろ!」と何で思われないのかということ。授業中に教授に質問してみると、「党首が日本人である」ということが実は支持を得る大きなポイントになっているとのこと。一般的に、「反移民」を支持すると「人種差別をしている」という批判にさらされることがありますが、このSPDの支持者たちは「私たちは日本人が党首の政党を応援しているのだから、単に移民に反対なのであって人種差別主義者ではない」という主張ができるそうです。これを聞いてとても納得すると同時に、この政党の戦略はなかなか凄いなと感じました。ちなみに、選挙前には、ブルノ駅前でもSPD支持者たちがビラ配りをしているのを何度か見かけましたよ。

まあ、ポピュリズムと言うと最近は危険だというイメージが強いですが、ある意味民主主義の政治システムの延長とも捉えられますし、移民の受け入れを渋るのはどこの国も同じ。日本だって、入管法の改正の際にはそれなりに揉めましたし、僕も色々思うところはあります。

 

さて、やや堅苦しい話題になってしまったので、今度は明るいお題。昨日からブルノでは「IGNIS Brunensis Fireworks」という毎年恒例の花火大会が開幕しました!これは今年で22回目となる伝統ある大会で、競技大会に加え、プロローグ、オープニング、クロージングの花火ショーが行われます。このうち、プロローグとクロージングショーは、ブルノの街を見下ろす丘の上にあるシュピルベルグ城から打ち上げられ、その他はブルノ近郊のダムで開催。イメージとしては、秋田大曲花火大会のヨーロッパ版といった感じでしょうか。今年は、チェコ、ポルトガル、フィリピン、ノルウェーのチームがエントリーしているそうです。

昨日は、今大会のプロローグショーが行われるということで、開始時間の22時半前に寮を出て観に行きました。寮から徒歩10分ほどのMendlovo namstyからお城が見えるので、そこから観ようと既に下見済み。実は、日本にいるときは、家のベランダから「みなと神戸花火大会」を毎年観ていたので、花火を観に外出するのはこれが初。それでも、遠くには行きたくない、と徒歩圏内で済ませるというセコイ方法。(笑) ここから観ている地元民も多かったので、けっこういいスポットみたいです。

あくまでもプロローグのため、20分ほどのショーでしたが、予想よりも大規模で、見ごたえがありました。ただ、音が爆発音レベルで、日本人からすると花火というより、もはや爆弾か爆竹にしか感じられませんでした。(笑) どうも花火に「儚さ」を感じるのは日本人特有の感性らしく、こちらでは「スペクタクル」を求めるようですね。新年にも花火を上げるそうで、その映像を見てみたのですが、街のあちこちでロケット花火が打ち上げられ、恐怖しか感じないほどの花火総攻撃でした。(笑) もはや街が燃えそうな勢い。実際、毎年元旦には火事が多発し、指を失う人もいるらしいです。そりゃそうなるわ。

日本の花火とこちらの花火は全く趣向が異なりますが、それでも日本の花火の技術はトップクラスですし、あそこまでバリエーションに富んだ花火を作れるのは日本くらいだと思うので、日本から誰かエントリーしたらいいのにと思いました。日本文化はこちらでも人気なので、「Japanese Fireworks」として出場すれば、それなりに反響があるはず。どなたか興味のある花火師さん、応募してみてください。(笑)

来月15日にクロージングがあるので、また観に行く予定です。ダムでの競技会は、トラムに乗らないといけないので行きません。(笑)

 

では、最後にブルノの花火の様子を少しご紹介。

 

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