前の記事でも触れましたが、5月8日はチェコスロヴァキア解放記念日です。プラハがソ連軍によって、ナチスドイツから解放され、第二次世界大戦が事実上終戦したことを記念する日です。

毎年、プラハでは記念コンサートや花火、西部のピルセンではパレード等があることは知っていましたが、ブルノに関する情報は何もなかったため、「何にもないのかあ~」とちょっとがっかりしつつ、街の様子を見物しようと中心部に繰り出しました。祝日でトラムに国旗が掲げられている以外、特に目新しいものもなさそうなので、帰ろうかなと思ったその時、どこからか音楽が!これって軍の楽隊とかが演奏しているっぽくない?ということで、音のする方にテクテクついていきますと…何やら式典らしきものを発見!会場はヤナーチェク劇場の向かいのMoravske Namesti。

 

軍の楽隊に、国旗に、何やらお偉いさんらしき人たち。これはまさに解放記念日式典では?ということで見物人の中に紛れ込んで観察。

ロシア、チェコ、スロバキア、ウクライナの国旗。ソ連軍によって解放されたから、旧ソ連国の国旗も掲揚されているのでしょう。それにしても、最近の国際情勢を考慮するとすごい組み合わせ。ロシアとウクライナの国旗が一緒に並んでいるのも何だか大丈夫?ってなってしまいます。チェコとロシアの関係については、Zeman大統領は親ロシア派と言われていますが、何でも両手を広げて歓迎するかといわれるとそうでもないらしく、微妙なところです。でも、たしかにこの4か国の取り合わせは、旧ソ連圏でないとなかなか見られないわ。

何やらお偉いさんのスピーチ。何言ってるかはさっぱり分かりませんが、ときおり「ファシズム」「ナチズム」「デモクラシー」という単語が聞こえてきましたので、ファシズム支配からの解放と民主主義の大切さを述べているんだろうなということくらいは理解。一応、第二次世界大戦中はナチスドイツの同盟国であった日本出身ですから、なんだかきまりが悪くて、できるだけ小さくなって聞いていました。(笑)「Japonska (日本)」という単語が出てこなくて良かった~と思ったり。個人的には、日本が日独伊三国同盟の加盟国であったということは、日本史史上最悪の汚点だったと思っているので、こちらで第二次世界大戦の話が出る度あまりいい気分にはなりません。その他の点については、日本のイメージはダントツでいいですし、自慢できる点も多いのですが、これだけはねえ…。ほんまに余計なことをしてくれたわ。まあ、戦争でどちら側が正義であったかは、視点によって大きく変わってしまいますので、単純に「善悪」の概念で片付けられないことは重々承知。

ただ、こちらに来てから、やはり日本の戦争教育は偏っているという印象を強く受けました。大空襲や原爆投下、沖縄戦はよくとりあげられますが、それに至るまでの過程がやや割愛されすぎていて、隣国から「被害者ぶっている」というレッテルを貼られても仕方がないよなと感じます。「自分たちの国が正しい」と主張したい気持ちはどの国も多少は持っているでしょうけどね。

 

式典に話を戻しますと…スピーチに続いて献花が行われました。軍関係者、政治関係者、戦争を経験された遺族の方と思われるメンバーが順に記念像の前に花を手向けます。この記念碑は、ソ連軍がファシズムに勝利したことを記念して建てられたそうです。

その後、ロシア、チェコ、スロバキア、ウクライナの国歌が演奏され、式典は終了。これまたレアなセレクション。(笑)市民の皆さんも、このときは起立して帽子をサッと脱いでいたのが印象的でした。

 

撤収準備に入る楽団メンバー。この緑色の軍服とそのデザインがいかにもソ連。

せっかくなので近くまで行ってみましょう。正面に行っている人もいましたが、日本人という複雑な立場上その勇気はなく、ここが限界。(笑)

実は、日本にいるときでさえ、被害者ムード満載の戦争特番が大嫌いで、終戦の日の慰霊式典は見たことがなかったので、こうして見学できたことは、歴史について考え直す機会にもなり、貴重な経験でした。意外だったのは「解放記念日」のわりには、解放された喜びという雰囲気は、式典や周囲の市民からもあまり感じられず、厳かな雰囲気だったことです。「解放」という言葉から、もっと明るいイメージを勝手に想像していたので、そこは想像と違った点でした。「慰霊」の意味合いが強かったというのもあるかもしれません。

 

今日は今から解放記念日には全く関係ないオペラ「カルメン」を観に行きます。では今日はこの辺で。

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