こんにちは、バレエ医学と栄養学専門のバレエ教師です
怪我や痛みの改善方法やバレリーナ・ダイエットなど、ヨーロッパのバレエ学校の生徒さんやプロダンサーさん達にお教えしており、チェコへのバレエ留学のサポートもしております
この度国際ダンスニュース誌の記者になりまして、お陰様で国際ダンス記者会議にも招待をされまして、更にチェコ最大規模のチェコ共和国最大規模のダンスフェスティバルの審査員を依頼されまして。。。お陰様でなかなかブログが更新が出来ておらず申し訳ありませんでした
私はブログにかなり手間を掛けて書く方だと思っているので確かに遅筆なのですが。。。もう少し頑張って書ける時に少しずつ投稿して行かなければなりませんね
さて、大人のトゥシューズ着用について別のSNSに書いたら、凄く多くの反響を頂きました
年齢に関わらずトゥシューズを履くと言うことについて、より深く考えて知るきっかけになったなら、嬉しい限りです
トゥシューズを履くと言うことに、とても安易な考えを抱かれる方は、残念ながら非常に多いです
トゥシューズについて、国際ダンス医科学学会はトゥシューズの練習を始めるためのガイドラインを公開しておりますので、トゥシューズを履きたい方は先ずはそちらを読んで頂きたいと思います
早くにトゥシューズを履いてはいけないと言われる話は最近浸透して来たようですが、その理由は未だ未だ浸透していないようです。。。。。理由はズバリ危ないからです
転倒による怪我の危険性などもありますが、それ以上に危険なのは足の骨の変形がトゥシューズの着用によって起きることです※
きちんとしたトレーニングを受けて身体作りが出来ていれば変形を防ぐことは出来ますが、足の骨が変形すると他の障害に繋がりますし、将来歩行が困難になる可能性があります※
※正確には骨格配列の変形による障害です。
私は「バレエを習ったらトゥシューズを履いて当たり前」と言うのは、「運転免許証を取ったらレースに出て当たり前」と言っているのと同じだと思っています
「週に○回△年間バレエを習ってトゥシューズを履きます」と言うのを、「週に○回△年間運転しているのでレースに出ます」に置き換えて下さい
レースに出る為のテクニックも習っていない、レースに出る為の身体作りもしていない、レースのルールも何も分かっていないのに、ただ運転出来ると言うだけでサーキットに突然現れてレースに参加しようとしたら。。。危なく無いですか
運転免許証を取る人は、生活の為や趣味の為など様々な理由で運転をされます、中には免許を取っても運転しない人もおり、決してプロと同じことをすることだけが目的ではありません
それはバレエにおいても同じ、ポワントの為の身体作りもしていない、トゥシューズの知識が何も無く危険性も理解していないのに、ただバレエを踊れると言うだけで、プロと同じ危険な行為をする必要は無いのです
特に大人の場合は生物学的にも身体能力が衰える傾向にあり、仕事や私生活で定期的にレッスンに来ること、レッスン以外にもポワントの為の身体作りをしたり、知識を付けることが大変難しいです
そして大人は高齢である程に上述した骨の変形もしやすく、転倒や疲労による怪我の度合いが子供や若者より酷く、更に加齢により回復も遅くなりますし、怪我が健康寿命だけでなく寿命自体を縮めるとも言われています
「大人は骨が成長し終わっているのできちんとレッスンをすれば大丈夫」と言う指導者の意見もありますが、バレエの指導法もダンス医学の論文も子供〜プロに向けられたものであり、そもそも大人からバレエを始める人向きではありません
例えば大人の脳は20歳を境に衰えますし、骨は出産や閉経や生活習慣などによって骨密度が大きく減少します
関節や腱なども含めて、身体の色々な機能そのものが年々弱って行くのです
大人の身体は完成していて当たり前、むしろ完成してから衰えて行くので、骨や関節の完成度に着目するのでは無く、指導者も生徒自身も身体の衰退度を理解して把握もしながらレッスンを行い、トゥシューズの着用には年齢や運動習慣に応じて、子供以上に慎重になる必要があります
大人の身体能力の衰退を防ぐ為には、適切な栄養と運動が必要ですので、バレエが好きなら是非踊ることで健康を維持して頂きたいと思います
ですが、トゥシューズで身体に負担を掛けて踊ると言う行為は、年々低下して行く身体機能を理解すること、加齢と共に難しくなる身体構造を高めると言う行為を、レッスンと共に行わなくてはならないことを理解しましょう⚠️
大人クラスは自己責任と思われている方も多いようですが、日本の法律ではレッスンでの事故や怪我などの責任は、スタジオの運営者と指導者にあります
有償無償に関わらず責任があり、またどんなに厳しい契約書を取り交わしていても訴えられたら無効です
また保険で適応されるのは医療費や交通費などの実質的な損害だけの場合が多く、万が一生徒に長期の治療や後遺症が残った場合などは、精神的な損害などを慰謝料として別途請求することが出来ます
要はレッスンでの事故を訴えられた場合、スタジオ運営者と指導者は負ける可能性が非常に高いのです
なのでもし、ポワントの危険性を理解しながら安全に正しく大人クラスや趣味のクラスでトゥシューズを履かせている先生がいるとしたら、その先生はとても大きなリスクを抱えながら、そのクラスの為にかなりの労力を割いて、物凄い気配りをしつつ、生徒さん達の為に教えておられるのだと言うことを、同じ指導者として知って頂けたら嬉しいです
私は上述した法的にも医学的にも、更に理論的にも大人や趣味の人達にはトゥシューズを履かせることは、国際的に一般的では無く不必要だと考えています
①大人からバレエを始めるor再開してトゥシューズを履く為の指導法も論文も私は見たことがありません、つまり今のところ国際的に一般的では無いのです
②更にバレエはクラシック・ダンスだけでは無く、今やコンテもモダンもフォーク(キャラクター・ダンス)も踊るのが一般的な中で、クラシック・ダンスだけに拘ること自体がナンセンスであり、趣味の人にプロと同様のことをさせるのが当然と言う考え自体が不必要だと考えております
↑
この2つの理由から私は大人のトゥシューズは一般的では無く不必要だと思っていますが、不必要だからと言って「履いてはダメ」と言っている訳ではありません⚠️
レースにばかり例えてしまいますが、プロを目指さないならレースをやる必要は無いけれども、レースを楽しむ権利は車好きな全ての人にあり、レースの練習をしてもレースに参加しても良いからです
更にそこからプロのレーサーなった人の話を聞いたことがありますので、バレエにだって趣味からプロになる可能性は皆無ではありませんよね
ですので、もしも私がトゥシューズを履かせることを許可する場合は、不必要なことをやるからこそプロ並みに本気でレッスンをして、レッスン以外でも身体作りをして、本などで正しい知識を付けていて、きちんとメリットもデメリットも理解した上で履くと言う覚悟を持てる人だけに許可します
私が指導して来た限りですが、トゥシューズを履く為の身体作りは、最低でもバレエレッスン週3回以上にトレーニング週3回以上が必要です、それ以下のレッスンで安全に美しく正しくポワントに立てる人を見たことがありません
※もしかしたら私より少ないレッスン回数で安全に美しく正しくポワントに立たせる方法をご存知の指導者がいるかもしれませんが。
結局のところ、
①トゥシューズが何故必要なのかが先ず理解されていない。
②トゥシューズを履くために必要な知識が、そもそも子供から若者向けであることも理解されていない。
③老若男女問わずウォームアップは慎重に行うのに、それ以外のケアやメンテナンスに着目してる人は少ない。
④コンテンポラリーやモダンやフォークの美しさや難しさに触れる機会が少なく、それらの良い指導を受けられる場所も少ないので、トゥシューズだけに拘ってしまう。
↑
これらに問題があるのだと思います
トゥシューズを履かせる指導者であれば、生徒の身体機能やバレエの競技特性などは理解しましょう
そして生徒はプロと同じことを一概に望まず、トゥシューズが私生活にも影響を及ぼす大きな怪我に繋がる危険性があることを理解しましょう
ちなみに、RADには55才以上の大人に向けた指導法のライセンス付きのセミナーがあり、日本では唯一指導者がおられるようですよ
※セミナーの説明だけ拝読したところ、年齢による衰退を理解して動きのアレンジや、身体能力に応じたクラスの分け方などの対策を習うようです、ポワントは。。。RADの大人向きレッスン動画を観る限り恐らく履くことを想定していないかも。。。
↓
尚、私も美しく正しく安全にポワントに立つための体作りをオンラインで指導を行っており、ヨーロッパのバレエ学校の生徒さん達などにお教えしております
先生のポワント指導が骨の変形を招かないかどうか、同じレッスンを受けているのに自分だけ脚が太くなる、痛みや怪我を伴う、踊り方が弱くて上達の速度が遅いなどなど。。。バレエに関わるお悩みのある方はお気軽にメッセージ下さい
日本語版
上記の本はイラストが殆ど無く、読解力や専門用語の理解が必要なので、簡単な本が必要な方はコチラ
↓
※上述したようにバレエの書籍などは全て、子供〜若者向けの指導内容を元に作られています。大人からバレエを始めるまたは再開する方は当て嵌まらない場合があること、また更に身体作りを行い慎重にケアする必要があることをご理解下さい⚠️
では、また