その92  社会と折り合いをつければ、若さを亡くしていくのか | あなたのとなりにいる 中年男子の本棚

その92  社会と折り合いをつければ、若さを亡くしていくのか

あなたの若さを殺す敵 丸山健二 


この本は読む人を選ぶ。挑発的な本だ。



この本のエピローグにはこんなことが書いてある。

『さて、私の煽動に対してあなたはいかなる反応を示すのでしょうか。あまりに一方的で、あまりに乱暴で、あまりに極端で、あまりに過激だと理由で一蹴するのでしょうか。(中略)あるいは、もうひとりのあなたとのあいだで激しい相克を生じさせ、双方あるいは互いに態度を軟化させ、決着の至ることのない睨み合いへと持ち込むのでしょうか。あるいはまた、あまりに非現実的なものとして一笑に付し、自立の若さという尺度をこれまでのあなたの生き方のなかへ葬り去り、安定とささやかな憂さ晴らしの日々の中へと帰って行くのでしょうか。』

エピローグを読んで腹が立つ人は読まない方がよい。私は逆にどんなことが書いてあるのか気になって手に取った。



勤め人となって、人から使われる立場になれば、人は自立の若さを失っていく。安定と思考と引き替えに人に使用されることで、誰もが本来、動物的素質としてもっているはずの自立の感覚を失い、若さを殺していく。



著者も大卒後、しばらく商社勤めをしたらしい。日々、このままでよいのか疑問を抱き、自立の若さを失う前に退職。何の興味も関心もなかった、小説家として生きること決意する。



そして、コンスタントに著書を世に送り出している。



著者曰く、殆どの人が自立をかけて本気で挑戦していない。自分は特別ではない。



辛辣な言葉が並ぶ文章でも、私は不思議と腹が立たなかった。

が、守るべきものを捨てきれない私は既に若さを失いつつあるようだ・・・。





私の若さの度合い ☆×2.8


あなたの若さを殺す敵
¥1,575
楽天