その90 みんなエコぶってるだけ?
偽善エネルギー 武田邦彦 幻冬舎新書798円
出来ることから始めよう・・・じゃなくて、その情報疑うことから始めよう。
著者は1943年東京都生まれ、東大教養学部卒。専攻は資源材料工学。名古屋大学大学院教授を経て現在中部大学総合工学研究所教授。名古屋市経営アドバイザー、内閣府原子力委員会および安全委員会専門員など。著書に「偽善エコロジー」「エコロジー幻想」など。
石油資源はあと30年しか持たない。温暖化が進んでいる。原子力発電は危険。風力発電、水力発電は環境に良い。ヨーロッパの環境対策は日本よりずっと進んでいる。資源の節約に努めるべき。太陽光発電がエネルギー問題を解決する。ハイブリッドカーは環境に優しい・・・。
これらは、全て正しくはありません。いや、ある一面だけ正しくて殆どは正しくない。
私たちは何でもイメージでとらえがちです。それはあるときは政府の流す情報であり、あるときはマスコミの流す情報です。
石油資源は今のペースで使い続けると確かに使いやすい石油は30年分くらいしかないそうです。しかし、オイルサンドや質の悪い石油ならあと200~300年分はある。節約をするのではなく、それらを精製する技術を先に確立したり、医薬品や肥料等、石油以外からは作ることの出来ない製品の代替原料を研究しなければならないのです。
それから、人間の活動にはCO2の排出は不可避。活発な経済活動にはCO2排出は避けられません。日本の最近の風潮はその全く逆ですね。いかにCO2を減らすかでこれらは経済の停滞を導いています。極端な話、CO2を減らすにはじっとしとけばいいんです。消極的にね。
環境国としてのイメージがあるドイツ。発電の半分は石炭による火力発電。後半分は原子力発電等。
太陽光発電は石油や石炭に代わるエネルギーにはなり得ない。
節約、CO2削減を国民や経済界に強いるよりも、次の産業を育てよう。明るく前向きに生きよう。
そんなメッセージを感じました。
日本だけCO2減らして経済停滞しても、30年後どこの国もほめてくれないし、助けてくれないかもよ。
ここからは、国やマスコミの偽善にだまされないためのヒントです。
人間は「何に納得するか」ということ。人間の頭は「正しいことを正しいと思う」のではなくて、「そのときの知識で、納得出来ることを正しいと思う」ということ。
民主主義というのは「民」が主人公です。私にも出来ることを最初に考えるのではなく、「国は私たちに何をするべきか、自治体は自分たちにどういうサービスをするのが適当か」を最初に考え、どうしも国や自治体レベルで出来ないものを自分が処理する制度です。
知っている人だけが危機(金融危機)を回避する。その時間的余裕を持たせるために、洞爺湖サミットの会場をエコでつつみ、地球温暖化を表面に出し、マスメディアはそれに乗りました。
どこの国に自分の子供を犠牲にしてまで地球市民を強調し、遠い国を助ける人がいるでしょうか。人間というものは、それほど余裕のあるものではありません。そうした認識、思考力を持たずに「かわいそうな人を助けよう」とか、もっとひどくなると「地球に優しく」といった、具体性の無いことを言って、意味のない行動をして、自己満足ににたり、何の備えもしてなければ、今後の困難な時代を乗り切ることはできません。
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