うちで、20年以上飲んでいる『五人娘』というお酒は、
寺田本家という酒蔵で作られています。
ここでは、生酛づくりという、時間と手間のかかる昔ながらの方法で、
酒造りに欠かせない発酵菌の、酵母を、
蔵の空間から取り出して、使用しています。
それができるのは、ここの蔵が、
長年の酒造りという発酵の場なっているからです。
最初にこの蔵へ訪れた頃、『夏子の酒』という漫画が流行っていて、
その題材となった、清泉を作っている酒蔵さんへ、
見学に行ったというお客さんが泊まりに来られ、
白衣に帽子、長靴と、かなり衛生面にピリピリとしていた話を聞きました。
その後、寺田さんへ行くと、そのまますぐ、発酵数日目というタンクの上へ連れていかれ、
大きな柄杓ですくい、回し飲みして、また、戻していました。
その時、一緒に行った一人が、
「雑菌が入って大丈夫なんですか」と聞いたら、
先代の社長が、「生酛づくりは、雑菌だらけから始まり、蔵付き酵母が、
その雑菌を食べて、味が深まり、美味しくなっているので、
更に、色々な雑菌が入った方が美味しくなるよ」とおっしゃっていました。
(生酛づくりのタンク)
こういう、発酵の場を作りたいと思い、様々な発酵菌を培養して、
畑の有機栽培、トイレの100%発酵分解再利用、
生活排水の浄化などを、この35年続けてきました。
豚をづっと飼ってきましたが、
最終的には、豚のふんも自然に発酵分解消滅するようになりました。
35年前に、今の霧多布里に移転した当時は、
蠅たっぷりでしたが、
最近は、豚がいても、宿の中に、数匹いても、多いなと思うようでした。
蠅は、発酵の場を嫌うので、あまり寄り付きません。
部屋の壁は、『宿付発酵菌』が住みやすいように、
数年前、昔ながらの漆喰を塗りました。
麹・味噌・ヨーグルト・糠漬けなど、発酵食品を色々作っています。
これが、コロナ対策となっています。
88歳の母も、同居していますので、
自分なりに万全の体制と考えています。
今の五人娘や香取は、更に進化しています。