霧多布里での、環境に関する宿主の考えです。
 
私は東京で生まれ育ち、小学生の頃から破壊されていく自然を目の当たりにして、自分で出来る自然な生活を求めて、浜中町に移り住み少しずつ自分で出来る環境への働きかけを重ね、EM菌と出会ったおかげで、今では羊、鶏、豚などを育て、その排泄物で作物を育て、宿のお客さんと共に美味しく頂いています。
 
霧多布湿原のおかげで鉄分に恵まれた海では、昆布やホッキ貝、ウニほか様々な魚介類が育っていますが、上流の広葉樹の森は昔にかなり切られてしまっているので、これから先、川や海に供給される発酵型微生物の減少が不安視されます。
 
20数年前EM菌を知り、中標津で比嘉先生の講演を聞きに行って、霧多布湿原センターで高松の久保さんのお話を聞いて、誰でも手がけられそうで、その可能性の大きさに期待を持ちました。
 
個人の力で環境問題について出来ることを考えた場合、具体的に出来ることが思いつかず悩んでいるときに、EM菌で自分の周りの環境を発酵状態に変えていくということは、手がけやすい課題でした。これで地球が良くなるということには、感動しました。
 
不特定多数の人が出入りし、宿泊する仕事なので、部屋にEM溶液を散布して、EM溶液で拭き掃除をしています。トイレの小便器には、EM3号溶液を散布します。
全館禁煙の宿なのですが、残念ながら以前数回部屋で喫煙されたことがあり、その際は、徹底的に部屋にEM菌を散布し、EM溶液で天井から壁、床を拭き掃除して、2日くらいでタバコの臭いの気にならない状態に戻しました。
 
動物たちの健康状態を良くする事と、排泄物の臭いや体臭を無くすために、EM溶液や米のとぎ汁の発酵液を飲ましたり、かけたり、撒いたりしています。
うちの卵は自分がケーキ作りの天才ではないかと思うほど、泡立ちが良くすばらしいスポンジが焼けます。まあ、腕前ではなく、卵が良かっただけでしたが・・・
また、臭いがしないので、多くのお客さんが鶏いることに気がつかないほどです。食事にうちの卵と言って出すと、鶏もいるのですかと聞かれるくらいです。
羊の肉も美味しく、羊毛も治すが良いようです。うちの羊は、人好きなのもEM菌の効果でしょうか。
豚肉は、もともと豚肉嫌いだった妻も食べるようになり、お客さんにも好評です。霧多布産の昆布との煮物は、特に人気です。
蚊に刺されたことでのアレルギーが起きショック状態になったときでも、EMXなどを使って乗り切りました。一般的には、抗生物質などを使用しないと助からないそうです。
 
トイレを水洗化にした際、分解した水を再利用する浄化槽を取り付け、発酵完全分解しています。10年以上になりますが、汚泥をくみ出したことはありません。
浄化槽をオーバーフローした再生水は、家庭排水の浄化池に流し、生活廃水も分解しています。その池には、金魚が住んでいて、分解の監視をしています。この金魚が死なないように、使用するシャンプーや洗剤を選び、常に排水のことを考えています。
昨年は、ついにこの池の中で子金魚たちも生まれました。
 
更に池のオーバーフローは湿原に流れています。その周りのヨシは、富栄養状態なので他より育っていますが、その先には影響が無く、宿の周りには、鹿やタンチョウ、鴨、一度はクイナの雛がウロウロしていたこともあります。
 
夏は、この池の周りに蛍が乱舞します。
池からの発酵微生物が少しずつでも海に流れ込むことで、広葉樹の森の手助けになるといいと思っています。
 
浜中町は、昨年鳥インフルエンザで死んだ白鳥が見つかり、警戒距離に引っかかりうちでも石灰などで消毒されました。また、口蹄疫にかかる可能性のある鹿が、周りにはたくさんいます。これらの病気の進入を防ぐには、徹底的に環境を発酵状態にする以外方法はないと思っています。うちの家族はずっとインフルエンザとは無縁の生活をしています。
 
生ごみは、基本的に動物たちの餌になるので、畑の肥料は動物たちの排泄物の堆肥です。基本的に植物の根本にマルチしています。
 
宿の周辺にある畑は、何せ霧たっぷりという気象条件なので、日光が不足気味になりがちで、それを補うように光合成菌を主に葉面散布しています。
 
最近は、50度の温度で細胞が活性化するという話を聞いたので、農薬を使用した野菜を使用しなくてはならない際は、50度のお湯にEM1号、2号を1000倍以上に薄めて、野菜を洗っています。農薬などの落ちもいいと思っています。
 
将来的には、広い土地を借りて、豚を放し飼いで飼い、牧草地を広葉樹の森の代わりに出来るといいなと思っています。
今でも、少しずつ池の水やEM発酵液をカヌーでお客さんを案内している琵琶瀬川へ流しています。それをどんどん拡大していきたいと思います。
 
浜中町に住んで、霧多布産の天日干しの天然昆布、ホッキ貝、ホッカイシマエビ、ウニなどの抜群の美味しさは感動的でした。この味覚を将来的に味わうためには、発酵微生物は欠かせません。
 
特別なことでは無く、日々の暮らしで環境が良くなっていくのは、楽しいですね。