信越本線は、かつてJR高崎駅を
起点として、新潟の直江津まで
続いていた。
それが今は、横川駅までの
40分足らずで終点となっている。
これは、上越新幹線開通により、
横川から先が廃止(厳密には休止)
となったのだ。
さかのぼって、明治時代に物資や
兵隊を日本海まで運ぶため、
約2年と言う驚異的な短期間の
工事で開通した信越本線。
当時のアプト式機関車で、
急勾配を低速で登っていった。
その遺構が、現在遊歩道になって
ウォーキングが楽しめる。
土曜日、高崎から乗車し、
女子高校生が安中で殆ど下車して
から、缶ビールを「ぷしゅっ」。
つまみに前日作った半熟玉子、
素晴らしい出来だ。
垂れそうな黄身をすすっていると、
「ご一緒して宜しいですか?」と
中年男性。
正直ひとりで車窓を眺め、
一杯やっていたかったのだが…
「どうぞ」
断る理由もなく。
どちらまで?
子供さんは?
いま幸せですか?
どこかの社長さんでは?
などといろいろ質問されたが、
生返事でかわす。
折角の美味かった半熟玉子、
「しらけ黄身」。
仕方ないので、「どうぞ」と
もう1個あったゆで卵を
差し上げたところ、何と涙を
流している。
いや参った。
今別居中で…
女房はフィリピーナで、私はヒモ…
品川でパテシェ…等々。
そうですか。
横川駅到着。
「良い旅を…」と言い残し別れる。
ついて来ない、ああ良かった。
気がつけば途中から雪がちらつき、
横川はうっすら積もっている。
うわ、こりゃいいわ。
但し泊まり様に一升瓶ぶら下げ
てんだよな。
コインロッカーもないし。
雪でこけたら一升瓶はアウト
だな絶対。
誰も踏み込んでいないアプトの
道をじっくり踏み込みゆっくり
勾配を進む。
碓氷峠鉄道文化むらの保存車両にも
雪が積もる。
重要文化財旧丸山変電所あとまでは
行けるな。
うん、いい雰囲気。
本当は重要文化財めがね橋の雪景色を見たかった。
しかし、夜の草津行きの集合時間が
有るので、途中で折り返す。
それでも思いがけない雪の
プレゼントがあり、ラッキーだった。
そして、横川に来ればやはりこれ。
おぎのやの峠の釜飯。
不変の美味さだ。
但し、値段には変化あり、
100円値上げの1000円。
帰りは、変な旅人には幸い会わず、
集合地高崎へUターン。
廃線に悲しく積もる春の雪
おそまつ