Kirscheのブログ


マーラー作曲、交響曲第一番ニ長調第4楽章。曲は終盤に向かっている。1楽章の冒頭部分が出て来たということは、もうすぐだ((o(^-^)o))。ペットのファンファーレも鳴り響く。だんだん金管楽器が吠え始めてくる。来るぞ来るぞ♪((O(〃⌒▼⌒〃)O))♪ 手に汗を握る瞬間。

来たぁキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!

横一列8人のホルン奏者がスタッと一斉に立ち上がる。8人全員でのユニゾンとスタンドプレイ。彼らの誇らし気な顔。ホルン奏者でしか味わえない快感。カッコいい・:*:・( ̄∇ ̄人)。・:*:・

これはアドリブでも指揮者の意向でもなく、マーラー本人の指示。観客、いきなりのスタンドプレイに度肝を抜きつつもその迫力に圧倒されっぱなし。

Kirscheのブログ 嵐が吹き荒れているうちに全ての楽器によるレ(D)のオクターブの音符を吹いてあっさりと終わる(写真クリックで拡大します)。

今までの盛り上がりは何だったんだ、というくらいあっさりと。ベートーヴェンやチャイコフスキーではこうはならない。

カッコいいカッコいいカッコいいo(≧∇≦o)(o≧∇≦)o

まんまとマーラーの思惑にはまっている。きっと、当時もこんな具合に引っかかった客を尻目に、マーラーは一人ほくそ笑んでいたのだろう。

「ま、ざっとこんなもんさ」( ̄ー ̄)



大学1年の冬の定期演奏会。バイオリン初心者はサブ2曲しか弾かせてもらえない。メインの時は観客である(私は当然観客の一人)。初めて聴いたマーラーの交響曲。感想は

「ホルン、かっこいい」♪((O(〃⌒∇⌒〃)O))♪

18歳の頃である。まあ、こんな感想でも許されるだろう。

そして年は明け、春の演奏会。このときはOB・OGとの合同演奏会ではなかったか「(ーへー;)。演奏した曲はメインがブラームスの交響曲第2番。チェロのあとに続く2本のホルンのメロディ。いいわぁ(* ̄。 ̄*)
この時のブラームスが決定打になった。

「ホルンやりたい」(*^ー^)ノ

若さはバカさに通ずる(あんただけだと思うが←陰の声)。夏休みに入る直前、同期のホルン吹きに軽く吹き方を習い、楽器は本人のを貸してくれた上に部室にあった持ち主不明の教則本まで貸してもらってホルンの練習を開始した。

同期のホルン吹きは、夏休みは合宿前の練習時くらいからしか練習しない(バイトで忙しい)と言っていたので、借りて家で時々練習した。なんとか練習の甲斐あってF管の音階は吹けるようになり、ちょっとした曲なら音に出来るようになった。

そして時はいつしか秋の某日。
授業が終わった私は部室へ向かった。珍しいことに、部室は誰もいなかった。練習場所である会議室のような部屋にも、誰の姿も無かった。バイオリンの練習に来たのだが、誰もいないのをいいことに同期のホルンを取り出した。

そして練習部屋の隅っこで、壁に向かってF管の音階練習。そのあと教則本に載っていた練習曲のようなものを吹いた。

「うん、なかなか今日は調子がいいぞ」(=⌒▽⌒=)

気を良くした私は、他に何か吹けるものがないか考えた。そりゃあできるものなら、モーツァルトのホルン協奏曲とか吹きたいが、あいにくそんな腕はない(-""-)。なんせF管しか使えない上にまともに音がでるのは、一オクターブ+αくらいだ。

ふと思いついたのは、「大きな古時計」。大きなのっぽの古時計、おじいさんの時計~(^O^)~♪ という歌。あれなら音はそれほど飛ばない上にオクターブ内で吹ける。早速吹いてみる。ところどころ音を外すも悪くない。更に気をよくした私は何回も何回も夢中で吹いた。

吹いてる最中に何かが聞こえてくるのに気がついた。金管の音だ。

「ああ、誰か来たんだ」

すぐにまたホルンに集中して吹き続ける。

そのうちに、金管の音が複数あることに気がついた。

「何かのアンサンブルでもしてるのかな」

でも和音しか聞こえてこない。しかも、調もリズムも私が吹いている「古時計」と同じ。違和感無さ過ぎ。

「・・・?」( ̄_ ̄ )

曲が終わっても、また最初に戻ってエンドレスで吹いていた(まるで壊れたレコードですな←陰の声パート2)。実はこのへんの記憶が定かではないのだが、初めて他の楽器が聞こえてきた時と、違和感の無さを感じた時は結構時間が経っていたと思うのだo( ̄ー ̄;)ゞ

また飽きずに吹き始めたとき、やっぱり同じタイミングで金管の和音が聞こえてくる。

「間違いない、私のホルンに合わせてる」∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

そう気がついたのは、曲の始めの部分を、何回目だかはわからないが繰り返した時だった。

そして最後まで吹き終えて後ろを振り返ると、そこにはホルンの同期(クラブの楽器使っていた)とトロンボーンの先輩と、パストロンボーンの先輩の3人がにやにやしながらこちらを見ていた。

どっひゃー(///∇///)

顔から火が出るとはまさにこのこと。恥ずかしかったなぁ。そこへボーン(トロンボーンの略)の先輩が一言。

「なかなかやるじゃん」(⌒~⌒)


いつから居たのか知らないが、譜面があるわけでもないのに奇麗に和音で伴奏してくれたあの一時は、今でも忘れない思い出である(≡^∇^≡)

吹きながら、すごく内心では感動していたのですよ(↑∇↑)(←嬉しさのあまり泣いている)。あまりにも恥ずかしかったので、あのあとさっさと帰ってきてしまいましたが(^^ゞ

ふと窓の外を見ると、あたりはすっかり暗くなっていた、とある晩秋の日。そしてこの日を最後に、二度とホルンを手にすることはありませんでした。


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なぜかって?だって3年になったらゼミで忙しくなってバイオリンさえ練習する時間が減ってしまったからです(^▽^;)。4年は就職活動だの卒論だので忙しいし。卒業したらしたで新しい楽器を習う程余裕なんてありませんし。で、現在に至ってます( ̄ー ̄)

終わり