親の理解も得られた頃、
カウンセリングは志望校の話になった。

僕の希望は"偏差値が高い"大学に入ることであり、
"偏差値の高い大学=良い大学"だと思っていたから、
最低ランクでもMARCHと決めていた。

だが、カウンセラーの先生は意外な事を言った。
先生は、MARCHよりもずっと下の学校を薦めて来たのだ。

「なんで…?」とそう思った。
僕はすぐに、大学の偏差値の事を言及した。

すると先生はこう言った。

「受験は入口に入るためだけの試験。
その大学が良いか悪いかは偏差値では決まらない。」
「偏差値から離れてみない?
背負っているものを降ろしたら?」

偏差値だけが物を言う世界に、僕は小3から飛び込んでいた。
偏差値でクラスが決められ、
偏差値で志望校が決められる…

僕はそんな世界にずっといた。
全てを偏差値が決める…
そんな世界に。

だから、この言葉は僕にとって衝撃だった。

考えられなかった。
最初は何を言ってるんだと。
だけど、振り払えど振り払えど蘇る。
心に蘇るが、それは「甘え」だとまた振り払う。

推薦入試,AO入試だってそうだ。
僕は、この2つの入試方式だけは許せない。
周りの皆はこれを頼みの綱にしていたが、
「努力しなくても大学には入れる」制度であり、
「それ以上の大学には行けないから諦めな」と宣告されているようにしか僕には思えなくて、
「受験は努力で掴むもの」と考えている僕にとっては、
"外道"であり"甘え"としか思えなかった。

だが、偏差値については、それをゆっくりじっくり考えるようになった。

偏差値から解放されるか、
偏差値を追い求めるか

2,3ヶ月は考えたと思う。
それでも答えはなかなか出なかったが、

悩んだあげく、決断した。

僕は、今まで追い求めていた「偏差値」を捨てて、
大学そのもので志望校を選んだ。

悩んだ揚げ句に行き着いた先は究極の2択問題
「進学」か「偏差値」か。

自分自身戸惑った…。
だけど、それを受け入れたとき、気持ちが楽になった。

今まで背負っていたものを置いた時、
僕は、今までの自分を客観的に見れるようになった。

周りが何も見えていなかった時の自分を、見れるようになった。


─────────────
その後も、テスト1ヶ月前まで色々とアドバイスをもらった。
モチベーションが下がった時、先生のカウンセリングでリセットできた。

あの時、先生がいなかったら、
僕はホントに三浪していただろう。

偏差値から解放されて楽になり、
進学を選んだことは正解だった。
受かった大学もMARCHより1ランク下くらいの大学。
後悔なんてしていないし、そんなものカケラも思わない。

「これでいい」ではなく「これがいい」のだ。

「偏差値」よりも「大学そのもの」を見ろと後輩に伝えたい。

多分、あしらわれるだろうが、
「受験は入口に入るためだけの試験。
その大学が良いか悪いかは偏差値では決まらない」のだ。

カウンセラーの先生には、思いつく限りのお礼をいっても言い足りないくらい感謝しています。

僕を変えてくれた。
僕を自由にしてくれた。

一浪目で入学し、出会ったのは、
神がいるなら、紛れも無く"導き"でした。

いろいろと書いたが、
この2年で培ったものはこんな物では無い。

いろいろなモノから学び、考え、悟り、教えられた。

地獄だったが、物凄い濃い内容で、
自分を大きくしてくれた希少な2年間だった。

だから、今は自信を持ってこう言える…






『浪人して良かった。』