石井桃子 著。
『くまのプーさん』などの翻訳家として活躍した著者の
生活随筆集。
かれこれ50年前に書かれたものが
今を生きるワタシの気持ちにピッタリはまるのは
なぜだろう。
一話一話読む毎に
じわ~と沁みて来る。
『このごろは、本もまるで消耗品のようなありさまになってしまった。読んでも読んでも、ちっともおなかにたまらない。読んだつぎの日は、忘れてしまう。本が、こういうことになっては、かなしいと思う』。
正に
このかなしみを生み出しているのは自分のような気がしてならない。
『当然が当然におこなわれていないでいいかげんなのが、われわれの住む社会らしいのである。寸法でいえば、五ミリや六ミリは、どうでもよろし、時間なら、五分や十分はどうでもよろし、で、私たちは暮らしている』。
返す言葉もない。
『ひとり旅』の題名の一話は
丸々胸に迫るようで
息苦しくさえ…。
石井桃子を初めて知ったが
田舎の山での暮らしや
ねこ、犬との日常の生活の中に
正しさを纏う著者の人なりが垣間見えた気がした。