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これから、こんな時代になるんだね。

森永卓郎『新版 年収300万円時代を生き抜く経済学 給料半減でも豊かに生きるために』知恵の森文庫 光文社 2005.5.15初版1刷
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第1章 日本に新たな階級社会が作られる
アメリカン・ドリームの嘘
アメリカ社会は「みんなに公平にチャンスがある。努力と才能が報われる社会」と言われる。だが、実はこれが最大の嘘なのである。p.88
アメリカは「フェア」じゃない
小学校の段階から一般の公立学校と私立のエリート校では教育内容がまったく違うのである。子供を私立のエリート校に入れることができるかどうかは親の経済力次第である。教育の入り口のところから差別があってエリート階層の子弟でなければエリートにはなれない社会なのである。これでもアメリカはフェアな国で公平にチャンスが与えられた国なのだろうか。p.89

第2章 年収300万円時代がやってきた
「自分は勝ち組になれる」という幻想を捨てろ
今後、新階級社会への転換が進めば、「自分は勝ち組になれる」などと甘いことは言っていられなくなる。会社がいう「成果主義」というのは、いわばお題目にすぎない。何度も言うが、能力主義・成果主義が強化されるということは、特定のエリート階層だけが受け取る分け前を増やしていこうという意味なのである。経営者が本当にやろうとしていることは、エリートに手厚くして、その代わり、エリートではない一般社員の待遇をどんどん引き下げていこうということなのである。実際、すでに多くの企業が成果主義を実施しているが、その成果主義で個人個人の努力や能力がちゃんと評価されているだろうか。コネ、ゴマスリ、同期の足を引っ張るのがうまい奴ばかりが良い目をみてはいないだろうか。最近、富士通など成果主義を見直そうという企業がいくつか出てきているが、それが成果主義の人事が公平でないという何よりの証拠ではないか。だが、この流れはもう後戻りできない。さらに極端になっていく。エリートばかりが給料や労働条件の限られたパイをとれば、その分、エリート以外のパイは小さくなるのは当然なのだ。結果として、いまは中間層にいる大部分の人たちは、今後は下の層に落ちていかざるを得ない。少なくとも、9割の人たちはズルズルすべり落ちていく。「負け組」にならざるを得ないのだ。その最終的なゴールは、エリートと非エリートの年収格差が「100倍」になることなのだ。p.114-5

第3章 年収300万円時代の本当に「豊かな」生き方
「休みはとれない」は大きな間違い
いまの日本人は明らかに働きすぎだ。働きすぎは仕事の効率を落とすのである。ある経済学者が発明した「仕事効率関数」という数式を使って計算すると、いまの労働時間よりも2割少ない労働時間のほうが、最も効率が高いのだそうだ。p.142
「老後のための貯蓄」よりもすべきこと
夢を語ってはいけない。「いつかできたらいいね」という夢は永遠に実現しないことが多いし、いざやってみたら思っていたのとは違ったということも多いのだ。繰り返すが、必要なのは「ドリーム(夢)」ではなく、「タスク(課題)」だ。思いついたらすぐやる。駄目だったら、すぐに別のものに切り替える。p.156

第5章 本当の幸せとは?私自身の「年収300万円時代」
私の「年収300万円時代」
「勝ち組」に生き残るためには、人間としての良心や健康、家族や地域とのコミュニティなどは、全部捨てなければならないのだ。p.266
だが、一つだけどうしても言っておきたいのは、「これから日本が市場原理主体の社会に変貌するなかで、能力や成果が正当に評価されるようになるのだから、きちんと仕事で成果を出していけば、それが出世に結びついていく」と考えるのは、完全な誤りだということだ。それは、外資系企業の内情を知ればよく分かる。
這い上がっていくためには、①いかに人の手柄を横取りするか。②いかに自分のライバルを蹴落とすか。③いかに自分の上司に取り入るか。この三つに長けていなければ絶対に這い上がることはできないのである。
出世のためなら、良心をかなぐり捨てることができるタイプだけが出世の階段をのぼっていく。努力が報われるとか、能力が正当に評価されるということ以上に、何よりも出世欲が重要なのである。p.267
最後まで市場原理の連中と戦っていくという、ささやかな覚悟
この国で一揆が起こる可能性が少しでもあるのなら、私は一揆を勧める。だがいま、その可能性が、どれくらいあるかと考えると絶望的になるのだ。
社会が「一揆」を起こす力をすでに失っているのだとしたら、金持ちになれない一般庶民は、逃散するしかないのではないか。しかも、それは金持ち階層へのかなり有効な反撃になるのだと思う。なにしろ、年収300万円からは、さほど年貢を搾り取ることができないのだから。p.270