フェスティバルホール

エリアフ・インバル指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団


マーラー

「交響曲第10番」(クック版)


未完の大曲を音楽学者クックが完成させた版を初めて生演奏で聴くことが出来ました。
マーラー自身が完成していた以外の部分で作曲家が書いていた下書きをきちんと上手く色づけしていて響きもちゃんと「マーラー」になっているように思いましたし補筆作品としては本当に素晴らしい出来映えだなあと生の響きを聴いて改めて思いました。
オーケストラで特に印象に残ったのは1番フルート奏者の上手さでした。あと第5楽章後半で現れる弦楽器どうしの強奏での掛け合いの場面ではヴィオラ首席奏者が隣のチェロをよく観察している様子が見えて互いに負けじと全力で弾きまくりその上にヴァイオリンの高音域の音が乗ってくる立体感溢れる合奏を達成出来ている様子が感じられて大変良かったです。最後の場面の弦楽器の「フリーボウイング」と呼ばれる自由な弓使いでは表側の奏者と奥の奏者がバラバラに波打つような視覚効果も抜群に面白かったです。
インバルの指揮はテンポ速めで進めているようで音楽の流れも良かったように感じました。