<第四回>研究結果と最新US動向から見る、Web×マス広告の統合分析 計量時系列分析とは? | インターネット広告代理店で働くデータサイエンティストのブログ
こんにちは。前回に引き続いて今回もセミナーの内容解説です。
前回はVARモデルの基礎となる時系列データとそれを用いたシンプルな予測の話をして、
最後につの種類のデータだけでは予測が出来ない場合があるというケースを説明して、その問題を乗り越えるために色々な種類のデータを使って予測をするというVARモデルの基本的な概念を説明しました。

今回はVARモデルについてもう少し詳細に見てみたいと思います。


2-2. VARモデルとは何?

さて、下の図の式がVARモデルと呼ばれるもので、その下の図は関係性のイメージを絵にしたものです。
y1はある時系列のデータを表していて、y2は別の時系列データを表しています。
仮にy1が検索広告のクリック数だとして、y2はディスプレイ広告のクリック数としましょう。
それぞれ横にtという記号が付いていますが、それは今を表しており、t-1は一つ前の過去を意味しています。もしデータが一日ごとに観測されているのなら、tは今日でt-1は昨日という事になります。

さて、数式はどうでもいいです。
が、この数式が下の図の関係を表してくれるという事を理解いただければと思います。
左側の図は、今日のy1が昨日のy1とy2の情報で説明が出来るという絵になっています。
そして右側の図は、今日のy2が昨日のy2とy1で説明が出来るという絵になっています。

つまり、先ほどの例を続けるなら、
今日の検索広告のクリック数は、昨日の検索広告のクリック数と、昨日のディスプレイ広告のクリック数で説明が出来る。
そして、今日のディスプレイ広告のクリック数は、昨日のディスプレイ広告のクリック数と、昨日の検索広告のクリック数で説明が出来る。
という二つの関係性が図で描かれていることになり、これがその上にある数式で表されているという事になります。

もし、VARモデルで分析を行うという事になると、分析するデータが「互いの過去で説明し合える」という関係性を持っているという事を仮定し、その関係性を分析の結果数字として得るという事になります。

今回は簡略化のために、データを二種類・過去を1日前までとして説明していますが、実際にはデータの種類が3種類でも4種類でも構いませんし、過去も3日・4日と設定する事が出来ます。例えば、ディスプレイ・サーチに加えて動画広告を加えてみたりすることも可能ですし、長期的な効果を期待して1週間までの効果を見てみることも可能です。
(あまりデータの種類を多くしたり、過去の日数を増やしたりするのは実務上現実的ではないですが・・・。)


さてさて、今回はVARモデルのイメージについて説明させていただきました。
次回はインパルス応答関数について説明し、ウェブマーケティングにおける事例を紹介したいと思います。