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富と健康についての個人投資家の記録

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20年以上、株式投資、資産運用に情熱を注いで来ましたが資産は築いたのであとは長生きするだけと気づき、美容健康、アンチエイジングに関心を持つようになりました。

面白いニュースが飛び込んできた。ジモティースポット札幌の話ではない。

 

「ジモティー」が、なんと国土交通省の「宅配クライシス」対策の補助金事業に採択された様である。

要は物流がパンクしていると言われる昨今の現状打破をする事業と認められたという事。

 

「え、ジモティーって、不要品とかを『手渡し』で取引するのが基本のサービスでしょ?宅配業者の負担を減らすプロジェクトと何の関係が?」

 

そう思ったあなたは、至って正常である。

 

私も最初、そう思った。


この補助金は、いわゆる「物流の2024年問題」に対応するため、宅配便の再配達を減らしたり、トラックドライバーの負担を軽くしたりする事業者を支援するためのもので事業の公募内容は下記の通りである。

 

 

採択事業者一覧を見ても

・LINEヤフー

・楽天

・アスクル

・ヤマト運輸

等、それっぽい規事業者ばかりでかつ大企業ばかりである。

(株式会社Every WiLLは唯一のスタートアップ企業で非常に有望そうであるが今回は割愛する)

 

ところが、ジモティーが打ち出したロジックが、非常にユニークで秀逸であった・・・

 

フリマアプリの「配送」を「手渡し」にシフトさせるという逆転の発想

 

ジモティーの主張は、こうだ。

 

「メルカリやラクマといったフリマアプリの隆盛で、個人間の荷物(その多くは不要品)の配送が爆発的に増え、宅配業者を圧迫する一因になっている。

 

我々ジモティーが、そうしたフリマアプリのシェアを奪い、これまで『配送』されていた不要品取引を、地域内での『手渡し』にシフトさせることができれば、結果的に宅配業者の負担を大幅に減らすことができる。」

 

…なるほど、その手があったか!と。

 

これは、いわばCtoCにおける「モーダルシフト」。

長距離輸送をトラックから鉄道や船に切り替える、あのモーダルシフトの個人間取引版である。

 

「配送」という手段そのものを無くしてしまうことで、物流問題に貢献するという、まさにコロンブスの卵的な発想の転換だ。

国土交通省の役人の方々も、このユニークな提案には「一本取られた!」と思ったのではないか。

 

具体策は「PUDOステーション」の活用!見えてきた新サービス

 

では、ジモティーはこの壮大な構想をどう実現するのか?その具体的な答えが、今回示された実証実験の内容に隠されている。

ジモティーは、Packcity Japanが運営するオープン型宅配便ロッカー「PUDO(プドー)ステーションを、ジモティーの取引で利用できるようにするアプリを開発し、2024年10月から世田谷区で実証実験を開始すると発表。

 

「PUDOステーション」とは、駅やスーパー、コンビニ、駐車場、公共施設などに設置されている、誰でも利用できる宅配便ロッカーのことで、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないだろうか?

 

この実証実験が始まると、世田谷区のユーザーは、ジモティーでの取引が以下のように変わると推測される。

 

【売り手】

  1. 取引が成立したら、相手と会う必要はない。

  2. 自分の好きなタイミングで、近所のPUDOステーションに行き、アプリで操作してロッカーに品物を預ける。

【買い手】

  1. 出品者から「PUDOに預けたよ」と連絡が来たら、これも自分の都合の良い時にPUDOステーションへ。

  2. アプリで認証してロッカーを開け、品物を受け取る。

これ、すごくないだろうか?

 

これまでジモティーの「手渡し」には、「知らない人と会うのが少し怖い」「日時を合わせるのが面倒」という心理的、物理的なハードルがあった。

 

しかし、このPUDOを使った新サービスは、その両方を一気に解決できる。

 

「非対面」かつ「非同期(時間を合わせなくてよい)」という、手渡しと宅配の“いいとこ取り”のような体験を実現できる。

 

これにより、「手渡しはちょっと…」とジモティーを敬遠していた層が、一気に流れ込んでくる可能性がある。

特に、仕事で日中時間が取れない人や、子育て中でなかなか家を空けられない人にとっては、革命的に便利なサービスになるかもしれない。

 

投資家目線で見るジモティーの巧みな戦略

 

今回の件、単なる面白い新サービスというだけでなく、投資家目線で見ても非常に示唆に富んでいる。

ジモティーという企業の「ポジショニングの巧さ」が、ここでも光っている。

彼らは自分たちの事業(=手渡し文化の醸成)が、社会課題(=物流クライシス)の解決にどう貢献できるかを、見事に言語化し、ストーリーとして昇華させたのである。

 

そして、それを「補助金採択」という形で国からお墨付きをもらい、さらに「PUDO活用」という極めて具体的で、ユーザーにとってもメリットの大きい実行プランまで示したのだ。

 

これは、単に資金を得たというだけでなく、「ジモティーの事業は社会的意義が大きく、かつ実現性が高い」という強力なPRになりえる。

フリマアプリ戦国時代と言われて久しいが、メルカリが築き上げた牙城を崩すのは容易ではない。

しかし、ジモティーは「エコ」「地域貢献」、そして今回の「物流問題解決」という、メルカリとは少し違った角度から自社の価値を訴求し、独自のポジションを確立しつつある。

 

今回の実証実験は、そのための非常に大きな一歩である。

世田谷区での実験が成功すれば、この「ジモティー×PUDO」モデルは全国に展開される可能性も十分にありえる。

そうなれば、日本の個人間取引の常識が、また一つ大きく変わるかもしれない。

 

世田谷区のPUDOステーション