『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから- 著者 笹子美奈子 | いわき市民のブログ I am An Iwaki Citizen.

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「真実を知らない者は愚か者でしかない。
だが、真実を知っているにもかかわらず、それを嘘という奴、
そういう奴は犯罪者だ」

ベルトルト・ビレヒト: ガリレイの生涯、第13幕

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

http://blog.goo.ne.jp/jpnx05/e/3d811ff2630ea1c8e27df333f204191d


**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

まえがき

 どこかで見たような光景でした。

 福島県いわき市の郊外にある住宅団地の一角に建てられた、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の被災者が暮らす仮設住宅。集会所には何人かの被災者が集まっておしゃべりをして過ごしています。料理教室や体操、以後、編み物など催しやお茶会なども頻繁に開かれ、たくさんお被災者でにぎわうこともあります。しかし、

「来る人はいつも決まっている。来ない人は来ないどうやってもダメなんだよねえ」

仮設住宅の自治会長は、仮設住宅にずっと引きこもったままの被災者のことをおもんばかって肩を落としました。

 2013年4月から約2年間、私は福島県内に駐在して、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災者を取材しました。そこで目にしたものは、その約10年前、2014年の新潟県中越地震の被災地の取材で見聞きしたことと酷似していました。

 同じことが繰り返されていました。

 お年寄りの孤独氏。アルコール依存症。家庭の崩壊。国などから受けられる補助金の額がことなることによって生じる地域住民間の不和。帰る、帰らないの問題。災害の規模も性質も異なるのに、起きている現象と問題の構造は、中越地震のそれとほとんど変わらないものでした。

 新潟県中越地震の後、日本では各地で大きな災害があり、多くの被災者が仮設住宅などで避難生活を送りました。行政はその経験を蓄積してきたはずです。にもかかわらず、この10年で被災者が陥る境遇とたどることになる過程はちっともかわっていません。そのことはショックでした。被災者が2度、3度と殺されていくのを見ているようで、やり切れませんでした。本書はそんな思いから筆を執ったものです。(略)

※次回は「第1章 オフサイトで起きていること」

2016/6/9(木)22:00に投稿予定です。

==『リンゴが腐るまで』著書の目次==

第1章 オフサイトで起きていること

バリケードの先に咲く桜

見えない境界線

原発被災者と津波被災者

住宅バブル

「被災者、帰れ」

賠償金の罪

パチンコ、アルコール依存症の真偽

帰れない人、帰らない人

おじいちゃんの米

触れない話題

オリンピックと福島県

アメ玉の限界


第2章 原発と生計

汚染水タンクの森

電源立地地域対策交付金

協力企業

一次下請け企業

孫請け会社

原発技術者


第3章 復興が進まないワケ

放射線と避難者

避難者は戻れるのか

たまるフレコン

第二の沖縄

三流官庁

病める自治体

官庁不在

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