私は温泉の中で、群馬の「草津」がもっとも好きだ。
散歩しても楽しいし、美味しい物もあるし、
なんと言っても湯量が豊富で少し熱めの温泉が最高だ。
少し位の切り傷なんてすぐ治るし、冷え性の方だって効果覿面。
草津と聞くだけで、なんだか身体がうずくって感じだ。
私は昨年の暮れにもこの「草津温泉」を訪れている。
メンバーは夫と、夫の友人の親子と言う珍しい組み合わせだった。
(友人親子と言っても、友人とそのお母様である)
宿は「高松」。1週間前の予約で空きが少ない中ようやくとれた宿だ。
利用した事は無かったが評判も悪くなさそうだって事で即決予約をした。
当日は天候にも恵まれ、会話を弾ませながらの行き道となった。
さらに宿に着くと、なんとも言えず心地よい気分だ。
宿の外観は微妙な古さが際だち、部屋への廊下も迷路の様だったが、何故か感じが良い。
早速のリクエストも快く応えてくれ見事な対応だ。
部屋に備えられていた緑茶の他に番茶が欲しい・・・
売店で買った野沢菜を切ってすぐ食べたい・・・
夕食内容を1名分のみ変更したい・・・
こんな我が儘が全て叶った。NOと言わないサービスは圧巻だった。
私達は、宿「高松」のお陰で草津を一層満喫できたのである。
散歩では湯畑を眺め、道で配られていた「蒸したてのお饅頭」も味違いで2つも食べた。
宿の部屋ではゲームとお酒で盛り上がり、その上夕食の食事処は都会的なモダンさで、
どこかのオシャレなレストランに居る様な感覚だった。
料理も多種多様で大満足だったし、偶然見つけた宿だったが、
ラッキーだったとしか言えない。
まあ~そんなこんなで、おもいっきり楽しみ、就寝の時が来た。
時刻は確か12時を回った頃だった。
友人親子はその時すでに布団に入って眠っていた。
だが草津好き私達夫婦は「寝る前にもう一度温まるか」と共に温泉へ向かった。
さあ~そこからが問題だった。まさか、まさか?の事件が起きたのだ。
私達は浴場の前で「30分後ね」と約束しそれぞれの風呂へ入った。
ところがだ、私は草津を侮っていた。
草津の温泉は確かに熱い。だが大勢で利用して居る時には我慢が出来る程度だ。
しかし、利用客の少ない夜中お湯はとびきり熱い。
30分なんて到底無理だった。
私は5分浸かったかどうか?で廊下へ出た。
そして黙って夫を25分待った。
今思えば、その時夫はかなり酔っていた。
だがその姿に慣れっこになっていた私は、ひとつも心配してはいなかったのである。
しかし、25分たっても出て来ない。
もともと夫は長湯の方だ。
私は根気良く待つ事にしたのだが、40分たっても姿が見えない。
ここまで来るといささか不安になってきた。
これはおかしい。私に嫌な予感がよぎった。
こんな思いは初めてだった。
私はまず、部屋に戻り、夫が戻っていない事を確認した後、
すぐにフロントに駆けつけ、状況を説明した上で夫の捜索を依頼した。
従業員は夫が酔っての入浴だった事を心配しつつも
イヤな顔ひとつせず、男風呂を覗いてくれた。
だが、夫は居なかった。
利用客は殆ど居らず、全てに声を掛けたが違った様だ。
幾ら夫が酔っていたからと言っても、自分の名前位は分かるだろう?!
と言う事で・・・・夫が消えた事が判明したのだ。
え~夫が居ない?何で?????
今時「拉致」って事も無いだろうし、浴衣姿でこの寒い中外へ出たって事も考えられない。
だいたい私は夫と5分しか離れて居ない。
事件?警察?誘拐?死?未亡人?あらゆる事が頭をよぎった。
しかし、私がフロントを訪ねている間に行き違いで夫が部屋に戻ったという事も
考えられる為、私は再度部屋に戻り確認する事にした。
その結果によっては、フロントの方のご厚意で増員して捜索する事になっていた。
そこで部屋に戻ってはみたものの、勿論夫は居ない。
スリッパだって足りないし布団も綺麗だ。
トイレも洗面も静まりかえっている。
なんてこった・・・・・とんだ事になってしまった。
あ~~~・・・とうとう草津で警察騒ぎだ。
寝ている友人親子も起こさなくてはならない。
それだけではない。明日帰る事だって出来ない可能性が大だ。
大好きな草津だって大嫌いになってしまいそうである。
そう思った次の瞬間の事だった。
どこかから、かすかな物音が聞こえた気がしたのだ。
風の音?エアコンの音?友人が起きた音?
違う・・・どれも違う。イヤ絶対違う。
じゃあ~何だ?あの音はいったい何処だ?????
何の音なのだ????
とその時、何やら窓際にただならぬ気配が漂っていた。
私は目を疑った。
なんと、なななんと・・・・
音の根源地は閉めてあるカーテンからだった。
私は勇気を持ってそっとカーテンを開けてみた。
絶句だ。そこには考えられない光景があったのだ。
なんと、なんと、なななんと・・・・
全身で窓にへばり付いている夫が居るではないか。
カーテンに包まり細くなって寝ていたようだ。
考えられない。信じられない。あってはならない事だ。
まさかカーテンの中に夫が居ただなんて・・・・
まさか窓にへばり付いて寝ていたなんて・・・・
本当に信じられなかった。
これが私の夫なのか?
世の中に数え切れない程男は存在する。
なのに、そんな中から私が選んだのはこの人なのか?
本当にこの人なのか?たった一人の相手が、ホントにホントにこの人なのか?
私はこの人と生涯生きて行くのか?
・・・・・溜息しかでなかった。
だいたいフロントになんて言ったらいいのだ。
私は正直に語る勇気が無かった。
結局私と行き違いで戻っていた事にし心から陳謝した。
それにしてもまさかの光景だった。
夫は横寝で窓にへばり付きその上にカーテンがしまっていた。
よって膨らみも目立たず、そこに人が居るなんて、まるで考えられない状態だった。
音さえしなければ、朝まで気付かなかったと確信する。
なんてこった。
翌朝の夫の微かな記憶と友人の証言から分かった事だが・・・
夫は風呂へ入ったものの余りの熱さに
私やスリッパの事などすっかり忘れ、2~3分で直ぐ部屋に戻り
熱る身体を冷やそうと窓辺に向かった様だ。
そしてカーテンを開けると窓の冷たさが心地よく
そのまま吸い込まれる様に寝てしまったらしいのだ。
酔った時に恋しくなる冷たい場所が今回は窓だったと言うのだ。
それでもって、途中で寒くなったのか?無意識にカーテンを閉め
毛布代わりにしていたらしい。どうやらこれが真相のようだ。
私はその晩、興奮と冷え切った身体が温まらず一睡も出来なかった。
睡眠充分で元気一杯の夫を見ているのが悔しかった。
でもまあ~お陰で話の尽きない旅行となった。
時が経てばこれも良き思い出と言える日が来るのだろうか?
まあ~私は未亡人にならずに済んだのだ。
ここは、めでたし、めでたしって事にしておこう。
散歩しても楽しいし、美味しい物もあるし、
なんと言っても湯量が豊富で少し熱めの温泉が最高だ。
少し位の切り傷なんてすぐ治るし、冷え性の方だって効果覿面。
草津と聞くだけで、なんだか身体がうずくって感じだ。
私は昨年の暮れにもこの「草津温泉」を訪れている。
メンバーは夫と、夫の友人の親子と言う珍しい組み合わせだった。
(友人親子と言っても、友人とそのお母様である)
宿は「高松」。1週間前の予約で空きが少ない中ようやくとれた宿だ。
利用した事は無かったが評判も悪くなさそうだって事で即決予約をした。
当日は天候にも恵まれ、会話を弾ませながらの行き道となった。
さらに宿に着くと、なんとも言えず心地よい気分だ。
宿の外観は微妙な古さが際だち、部屋への廊下も迷路の様だったが、何故か感じが良い。
早速のリクエストも快く応えてくれ見事な対応だ。
部屋に備えられていた緑茶の他に番茶が欲しい・・・
売店で買った野沢菜を切ってすぐ食べたい・・・
夕食内容を1名分のみ変更したい・・・
こんな我が儘が全て叶った。NOと言わないサービスは圧巻だった。
私達は、宿「高松」のお陰で草津を一層満喫できたのである。
散歩では湯畑を眺め、道で配られていた「蒸したてのお饅頭」も味違いで2つも食べた。
宿の部屋ではゲームとお酒で盛り上がり、その上夕食の食事処は都会的なモダンさで、
どこかのオシャレなレストランに居る様な感覚だった。
料理も多種多様で大満足だったし、偶然見つけた宿だったが、
ラッキーだったとしか言えない。
まあ~そんなこんなで、おもいっきり楽しみ、就寝の時が来た。
時刻は確か12時を回った頃だった。
友人親子はその時すでに布団に入って眠っていた。
だが草津好き私達夫婦は「寝る前にもう一度温まるか」と共に温泉へ向かった。
さあ~そこからが問題だった。まさか、まさか?の事件が起きたのだ。
私達は浴場の前で「30分後ね」と約束しそれぞれの風呂へ入った。
ところがだ、私は草津を侮っていた。
草津の温泉は確かに熱い。だが大勢で利用して居る時には我慢が出来る程度だ。
しかし、利用客の少ない夜中お湯はとびきり熱い。
30分なんて到底無理だった。
私は5分浸かったかどうか?で廊下へ出た。
そして黙って夫を25分待った。
今思えば、その時夫はかなり酔っていた。
だがその姿に慣れっこになっていた私は、ひとつも心配してはいなかったのである。
しかし、25分たっても出て来ない。
もともと夫は長湯の方だ。
私は根気良く待つ事にしたのだが、40分たっても姿が見えない。
ここまで来るといささか不安になってきた。
これはおかしい。私に嫌な予感がよぎった。
こんな思いは初めてだった。
私はまず、部屋に戻り、夫が戻っていない事を確認した後、
すぐにフロントに駆けつけ、状況を説明した上で夫の捜索を依頼した。
従業員は夫が酔っての入浴だった事を心配しつつも
イヤな顔ひとつせず、男風呂を覗いてくれた。
だが、夫は居なかった。
利用客は殆ど居らず、全てに声を掛けたが違った様だ。
幾ら夫が酔っていたからと言っても、自分の名前位は分かるだろう?!
と言う事で・・・・夫が消えた事が判明したのだ。
え~夫が居ない?何で?????
今時「拉致」って事も無いだろうし、浴衣姿でこの寒い中外へ出たって事も考えられない。
だいたい私は夫と5分しか離れて居ない。
事件?警察?誘拐?死?未亡人?あらゆる事が頭をよぎった。
しかし、私がフロントを訪ねている間に行き違いで夫が部屋に戻ったという事も
考えられる為、私は再度部屋に戻り確認する事にした。
その結果によっては、フロントの方のご厚意で増員して捜索する事になっていた。
そこで部屋に戻ってはみたものの、勿論夫は居ない。
スリッパだって足りないし布団も綺麗だ。
トイレも洗面も静まりかえっている。
なんてこった・・・・・とんだ事になってしまった。
あ~~~・・・とうとう草津で警察騒ぎだ。
寝ている友人親子も起こさなくてはならない。
それだけではない。明日帰る事だって出来ない可能性が大だ。
大好きな草津だって大嫌いになってしまいそうである。
そう思った次の瞬間の事だった。
どこかから、かすかな物音が聞こえた気がしたのだ。
風の音?エアコンの音?友人が起きた音?
違う・・・どれも違う。イヤ絶対違う。
じゃあ~何だ?あの音はいったい何処だ?????
何の音なのだ????
とその時、何やら窓際にただならぬ気配が漂っていた。
私は目を疑った。
なんと、なななんと・・・・
音の根源地は閉めてあるカーテンからだった。
私は勇気を持ってそっとカーテンを開けてみた。
絶句だ。そこには考えられない光景があったのだ。
なんと、なんと、なななんと・・・・
全身で窓にへばり付いている夫が居るではないか。
カーテンに包まり細くなって寝ていたようだ。
考えられない。信じられない。あってはならない事だ。
まさかカーテンの中に夫が居ただなんて・・・・
まさか窓にへばり付いて寝ていたなんて・・・・
本当に信じられなかった。
これが私の夫なのか?
世の中に数え切れない程男は存在する。
なのに、そんな中から私が選んだのはこの人なのか?
本当にこの人なのか?たった一人の相手が、ホントにホントにこの人なのか?
私はこの人と生涯生きて行くのか?
・・・・・溜息しかでなかった。
だいたいフロントになんて言ったらいいのだ。
私は正直に語る勇気が無かった。
結局私と行き違いで戻っていた事にし心から陳謝した。
それにしてもまさかの光景だった。
夫は横寝で窓にへばり付きその上にカーテンがしまっていた。
よって膨らみも目立たず、そこに人が居るなんて、まるで考えられない状態だった。
音さえしなければ、朝まで気付かなかったと確信する。
なんてこった。
翌朝の夫の微かな記憶と友人の証言から分かった事だが・・・
夫は風呂へ入ったものの余りの熱さに
私やスリッパの事などすっかり忘れ、2~3分で直ぐ部屋に戻り
熱る身体を冷やそうと窓辺に向かった様だ。
そしてカーテンを開けると窓の冷たさが心地よく
そのまま吸い込まれる様に寝てしまったらしいのだ。
酔った時に恋しくなる冷たい場所が今回は窓だったと言うのだ。
それでもって、途中で寒くなったのか?無意識にカーテンを閉め
毛布代わりにしていたらしい。どうやらこれが真相のようだ。
私はその晩、興奮と冷え切った身体が温まらず一睡も出来なかった。
睡眠充分で元気一杯の夫を見ているのが悔しかった。
でもまあ~お陰で話の尽きない旅行となった。
時が経てばこれも良き思い出と言える日が来るのだろうか?
まあ~私は未亡人にならずに済んだのだ。
ここは、めでたし、めでたしって事にしておこう。