嵐の山小屋。チャッピー、みち子、しず子、ジュン、一平、二平、ドンちゃんは身動きが取れずにいた。


高原にハイキングに出かけたチャッピーたちだが、天候の急変で嵐に巻き込まれたのだ。窓が破られそうになり、チャッピーとジュンは窓を補強する。暖を取る一同。だが雨は止みそうにない。風で扉が開いてしまった。一平は支える丸太を探すため外へ。チャッピーも後を追った。丸太を見つけた一平だが、そこに落雷が。チャッピーは思わず魔法のバトンを使い落雷を引き寄せた。一平はバトンを振るうチャッピーを見てしまった。落雷を弾いたチャッピーだが、一平は唖然。

帰りの電車、チャッピーはみち子から一平を助けてくれたお礼をいわれる。素直に喜べないチャッピー。一平はチャッピーが魔法で助けてくれたんだとみんなに自慢するのだった。ジュンとドンちゃんを先に帰らせたチャッピー。魔法を見られてしまったチャッピーは家に帰ることができなかった。

チャッピーのリュックには手紙が入れられていた。「私は魔法を使っているところを見られてしまいました。もうおうちへは帰れません。親不孝なチャッピーを許してください。さようなら」愕然とするパパ。魔法を見られたら人間に火炙りにされるぞと、オババ。かわいそうなチャッピーとママ。

チャッピーは海岸に、一人いた。まだ幼い彼女。重い罪を被ってしまうことを、この先どうすればいいかと考えた。チャッピーの考えた行動は、海で入水自殺することだった。パパとママが来て、チャッピーを止める。ママはチャッピーを抱き締めた。

ハンスト家ではみんながチャッピーを励ました。「パパとママがついてる」と。しかし、このままでは人間たちが嗅ぎ付けてくるに違いない。魔法の国でも、罪に問われるであろう。チャッピーは勇気を出して、魔法の国、王様のもとへ許しを乞うため向かった。

洗吉と一平二平がハンスト家に来た。一平を魔法で助けてくれた事をお礼に来たのだという。不振な顔をする洗吉。一平は父ちゃんに、魔法の事を必死で説明していた。洗吉は、「考えてみりゃ魔法使いなんてこの世に存在するはずがない。もし、いたら取っ捕まえてテレビに出演させりゃ、たんまり出演料が頂けるってもんです」と、不謹慎な事を語る。こっそり聞いていたおじいちゃんは憤慨。

こうしちゃおれん、すぐ魔法の国に、とパパとママ。ジュンもドンちゃんの車に乗り、魔法の国へ。おじいちゃんとオババも魔法の絨毯でそれぞれ向かった。

お城では、王様が就寝中だった。チャッピーは王様の耳元で「今回のことは私の責任、パパとママには何の罪もない。罰を受けるのは私だけに」と囁く。そこに、ジュンとドンちゃんが来る。ジュンは「魔法を使ったのはお姉ちゃんじゃない、ぼくだ」という。ベッドの下に隠れたチャッピーは涙する。パパとママもやって来る。王様は起きて、みんなをそこに並ばせた。王様は全てを知っていた。魔法使いと人間が幸せに暮らしていくには掟は必要なのだという。王様は、だが、チャッピーのしたことは決して間違ってはいないと褒め称えた。後の事はワシに任せておけと。
おじいちゃんとオババは後からたどり着いた。ハンスト家は一夜を魔法の国で謹慎と命ぜられる。夜が明けたら、人間世界でもどこへでも行ってしまえと王様。チャッピーはまた、みち子たちのところへ帰れると喜んだ。ママは「夜が明けたら新しい生活が始まる」という。チャッピーにはまだその意味がわからない。パパは「新しい日々が始まるということだ」という。

流れ星が落ちた。王様の魔法の星である。

翌朝、チャッピーたちはニコニコ町に帰ってきたが荒井さんちの子供はチャッピーたちを知らなかった。ピシャッと窓を閉めてしまう。しず子も、すみれ学園の生徒も誰もチャッピーたちを覚えていない。

チャッピーは王様のいう「後の事はワシに任せておけ」の、真の意味を知る。「王様が魔女裁判にならないためにみんなの記憶を消したんだわ」と。眠っているみち子、一平二平。チャッピーとジュンは夢の中で、みんなにお別れをすることにした。宇宙の花畑で、はしゃぎ、空を飛び、パパとママが待つ、虹の向こうに。さようならと手を振り、みち子、一平二平、しず子の姿は消えた。

パパ「さあ行こう」
ママ「次の町で新しい友達が待っているわよ」

チャッピー「……ええ」

ハンスト一家は振り返ることなく去っていく。


チャッピー「どこへ行くのかって?きっと、あなたの町へよ!」




魔法家族の次の居場所はどこに


魔法を見られたチャッピー。ハンスト家の一家の記憶を人間たちが消去されてしまうという、これまでにも描かれなかった衝撃のラスト。サリーはまだ、よしこやすみれと友達に、きちんとお別れを言えたが、チャッピーたちは夢の中でしか、それを伝えれないという悲しい結末。

ニコニコ町にも止まれず、仲良くなった友達ともお別れ。しかも、魔法の国を追放されたようにも捉えられるラストだった。


これまでにもチャッピーの魔法は、主に夢の中で叶えられた。夢が覚めれば魔法も覚める。機関車の老人も、空とぶ自転車の清少年も。遊園地で母を待っていたオサムも。魔法で一ときの夢を与えられはしたが、その後は自身の未来が待っている。老人は息を引き取るだろう。清やオサムは自身の道を歩いて行かなくてはいけない。なぜなら、それが現実だから。

一方で、魔法ではない形で救われた人々もいる。ホームラン番長の正、悪魔に取りつかれた一郎などだ。心の弱さゆえに、自らを追い込んでしまう事も人はある。正や一郎は魔法ではなく、自身の殻を打ち破ることで立ち直ったともいえる。

チャッピーが魔法を与えずとも、生きる力を受け取った人は沢山いる。ハンスト家が次に住む町にも、そんな人々が多くあらわれるに違いない。



1972年12月25日放送

脚本 辻真先
作画監督 端名貴勇
演出 田中清