しず子のパパの会社寮にあるスキー場に、遊びに行くことになったチャッピーたち。バスの中で、寂しそうな女性を目撃する。みち子は「あの人を見たことがある」という。プロスケーターの若山梢選手だった。スケートを教えてほしいと頼むチャッピー。だが、なぜか元気がない若山。

スキー場ではしゃぐチャッピーたち。チャッピーはホテルのロビーにいた若山を見つける。実は、プロスケーター選手権で、四回転ジャンプに失敗した梢。その後、業界から姿を消した若山選手。そんな彼女が、なぜここにいるのかチャッピーは疑問を抱く。

若山と入れ替わりに、初老の男性がホテルに駆け込んできた。この男性、若山選手の父親であるという。若山をプロスケーターとして厳しく育てた経緯を持つ彼。だが、その教育は若山選手にプレッシャーを与えていたのだと。娘に期待を掛けすぎた自分の責任だと父親は後悔していた。娘を追って、ここまで来た父親。若山選手は素手にいなくなっていた。

ホテルロビーから出ていったと聞き、若山を探すチャッピー。外は猛吹雪だ。魔法でバイクをスノーモービルに変え、吹雪の中、若山を探すチャッピー。若山は吹雪に阻まれ倒れていた。若山と父親の隔たりを知ったチャッピー。彼女は雪山で自害するつもりだったのではないだろうか。魔法で父子の仲を解決させようとするチャッピーだが、追ってきたオババに、「それでは元の木阿弥になるのではないか?」と問われる。チャッピーは何とかやってみると、魔法をかけた。

魔法の夢の中、若山選手と父親は手を取り、スケートリンクを滑っていた。それは隔たりをもつ以前の仲の良い姿に違いない。目覚めた若山。目の前に父がいる。若山は父の気持ちを理解していた。和解する親子。

その後、テレビで若山選手が復帰。若山選手の華麗な四回転大ジャンプをチャッピーはテレビで目撃するのだった。


魔法で治せるもの

今回は、プロスケーター若山梢と父親の隔たりを描いたお話し。スケート選手として、厳格に育て上げられた若山選手。たった一度の失敗が人生を狂わせてしまう。しかし、仲を取り持つのは魔法ではなかった。チャッピーが魔法で、若山選手に見せたもの、実は魔法ではなかったのではないか。若山選手と父親が持っていた詫びの心、もう一度立ち直りたいと願う気持ち。チャッピーは魔法で、それを後押ししたんじゃないかと思う。人間ドラマや心情を書く、辻先生ならではのシナリオでした。あと、オババか良い人になってたのも特徴(笑)

1972年12月4日放送

脚本 辻真先
作画監督 端名貴勇
演出 岡崎稔