親善友好の絆として世界に三頭しかいないジャイアントパンダが、日本へ来日。テレビではそのニュースで持ちきりだった。ドンちゃんはジュンに「食いしん坊で怠け者のドンちゃんと大違いだ」と言われ、大喧嘩。二人はパパに叱られる。ドンちゃんは家出する。さ迷っていたドンちゃんは偶然にも帝国ホテルに辿り着く。そこは、今日来日した、ジャイアントパンダも宿泊するホテルだ。

ジャイアントパンダは、厳重な警備と溢れるマスコミ取材にの中にいた。万全の体調管理のため、予防接種もされるようだ。注射と聞いてびっくり。パンダはコッソリと部屋を抜け出した。ホテル庭園に迷い混んだドンちゃんは、逃げてきたパンダくんと鉢合わせ。自分と瓜二つのパンダくんと意気投合。パンダくんはとても退屈しているので、ドンちゃんと入れ替わろうという。美味しいご飯が食べられると聞いて、ドンちゃんも賛成した。

チャッピーとジュンは、いなくなったドンちゃんを探す。みち子らも加わり、タクシーに乗って町へ出る。その頃、ドンちゃんと入れ替わったパンダ。日本の見慣れない光景に興味津々だ。だが、そんなパンダを狙っているギャング団がいた。

町を歩くパンダを二人組の泥棒が発見。あいつを売れば大もうけだと、泥棒はパンダに近づく。いいものを見せてあげるからおいで、と誘われたパンダは、泥棒に着いていってしまう。チャッピーたちは、パンダとすれ違いタクシーで後を追う。


パンダは下野動物園にきていた。自分の命を狙っているギャング団も、そこにいるとは知らずや、ゲートに入るパンダ。チャッピーたちも動物園に侵入。泥棒二人組とパンダと鉢合わせするチャッピーたち。間抜けな泥棒は、自分たちが誘拐魔、悪党と答えてしまった。みち子とクマトラーは警察を呼びに行く。

やる気のない警察官が交番で、八時になるのを待っていた。クマトラーたちが駆け込むと今、忙しいから後でという。八時からはアニメデビルマンが始まるのだ。デビルマンに熱中する警察官だが、みち子とクマトラーは唖然。巡査部長から八時だ全員集合と連絡が入る。

バレちまっちゃしょうがねえぜと、泥棒がチャッピーを始末しようとする。このパンダは、モーイーカイ首相がマダダヨー大統領と絆を結んだ世界で三頭しかいないシロモノなんだぜと、泥棒。その言葉で、パンダがドンちゃんではない事を初めて理解するチャッピー。

そこまでだ。と、真打ちのギャング団があらわれた。ギャング団ボスは、パンダの命を奪えば二つの超大国はいがみ合うに違いないという。真の狙いは、戦争を引き起こすことなのである。ギャング団は、泥棒二人とパンダとチャッピーを纏めて始末しようとした。チャッピーは魔法でギャング団を投げ飛ばす。ライオンに吼えられ、動物たちに踏まれ、投げつけられギャング団はコテンパンになる。ギャングと泥棒は無事、警察に逮捕された。

パンダがなぜ北アメリカに行きたくないのか理由を、チャッピーは知った。チャッピーはパンダに、戦後の日本で起きたことを語る。

戦後、インドのネイル首相がインディラという子象を日本の子供のために贈ったこと。日本の子供たちはインディラを見て、慰められたこと。北アメリカ共和国では、まだまだ戦争が続き人々の心はすさみきっていること、マリファナやアルコール、賭け事で憂さ晴らしをしている大人たちがたくさんいること。

パンダくんがそこに行ってあげたら、きっとみんなは喜ぶわ、もしかしたら戦争をやめて平和に暮らそうと思うようになるかも知れないわと、チャッピーはいう。チャッピーの言葉に頷いたパンダは、ホテルに帰る。ホテルでは入れ替わったドンちゃんが食事に舌鼓。そこに、チャッピーたちが帰ってきた。

パンダは、君のおかげでいろいろと楽しいことができたよ。と、ドンちゃんに感謝する。パンダは、北アメリカにも遊びに来てねという。ドンちゃんも、必ず行くよと約束。二人は固く握手を交わし、チャッピーたちと別れるのだった。



作画崩壊orメタ発言むむむ

チャッピー全話数のなかで、作画崩壊が目立つのが今回29話。東映動画製作班内で起きた、労働争議が顕著だったと思われる回だ。ドンちゃんとギャングの声が反対になったりのカット、わざとなのか本当に演出ギャグなのか?。みち子と同じ声のオウムがヤバイくらいに呂律が回ってない。チャッピーのパンダを説得するメタ発言などなど、ちょっとこれは…?思わざる得ないシーンが満載である。また、デビルマンに熱中する警察官。それを叱る巡査部長がマジキチだった。キカイダー、仮面ライダーなど…もう勘弁してというほどだ。ちなみに、72年10月。日中親善友好の贈り物として、上野動物園にパンダが来た。

1972年10月16日放送

脚本 夏目幸治
作画監督 田島実
演出 島田稔