ガラクタ公園と呼ばれ、子供たちに親しまれる広場があった。簡素なものだが、廃材を使ったアスレチックや土管など、皆が工夫を凝らして遊べるような道具がある。チャッピーたちにとっても、ここは、いこいの広場なのだ。チャッピーが指差す方向に、優しそうなおじいさんが手を振っている。あのご隠居さんが広場を提供してくれたのよと、チャッピー。

ある日、ガラクタ公園で遊ぶチャッピーたちの元に女の子があらわれた。この町で見かけない子である。女の子は自分の名前を「マリ」といった。美少女なのに、どこか表情が固く、感情を露にしないマリ。マリは黒猫を抱いていた。チャッピーたちが一緒に遊ぼうと誘ってもどこかに行ってしまう。

ガラクタ公園を提供してくれたご隠居さんの家に、業者の男たちがやってきた。近々ここにレジャー施設を作りたいという男たち。ガラクタ公園をなんとか買収しようとしていたのだ。だが、ご隠居は子供たちの大切な遊び場だ、と頑なに譲らない。チャッピーとクマトラーは大人が何かを企んでいると、その場を見張る。

黒ずくめの外車が停まった。中から誠実そうな男性、黒金と、あの女の子。マリが出てくる。黒金はマリの父親らしい。外で遊んでいなさい、とマリにいう黒金。黒金はご隠居と交渉に来たのである。

黒金は、子供のためによるレジャー施設を作りたいという。ご隠居もそれなら…と、承諾してしまったのだ。実は、黒金と業者はつるんでいた。承諾を受け入れ、ガラクタ公園は閉鎖される。

それは、子供のためによるレジャー施設などではなかった。大人のピンクキャバレーなどが入居する雑居ビルだ。いわば、子供のためによるレジャー施設と、名売った大人の遊び場計画なのである。騙されたとご隠居は嘆く。

チャッピーとジュンは魔法で工事を邪魔するが、やがて雑居ビルは完成してしまう。黒金は娘のマリに、パパの作ったビルだよと自慢。だが、マリは俯いている。

工事に使ったセメントの中に宝石が混ざっていたと知れ渡り、宝石に目が眩んだ工事作業員たち。黒金の制止の声も届かず、取りつかれたように宝石を掘り出そうと大騒ぎだ。建てたばかりのビルは、あれよという間に解体されてしまった。作業員が気づくと、宝石は全て石ころ。チャッピーが魔法で仕掛けたのである。

もうおしまいだと、がっくり膝をつく黒金。ご隠居は黒金に「気をおとしなさるな」と、公園の方向を見つめた。いつの間にか、ビルが壊された跡地に、子供たちが戻っていた。そこに、マリも混ざって一緒に遊んでいる。それを見た黒金は、考えを変えるのだった。

ガラクタ公園に新しい遊具が提供され、前にもまして賑やかな場所に生まれ変わる。遊具はもちろん、マリの父親が与えてくれたものだ。ご隠居と黒金は、子供たちの歓声に微笑むのだった。


大人は汚い…子どもはキレイ

土地買収罪を描く今回28話。
またカオスなストーリーだが、このあと35話にも同じようなテーマが出てくる。今回から脚本に参加したのが、長坂秀佳氏。リアルな社会派ドラマを多く手掛けている。

どうでもいいことだが、チャッピーの姿があるのに声がジュンになってしまっているカットがある。元々、ジュンが喋るシーンだったものをチャッピーに書いてしまったのでこうなったのか?アフレコだけ先に収録してから、後から絵を当てたのか…?謎である。

1972年10月9日放送

脚本 長坂秀佳
作画監督 木暮輝夫
演出 寒木清輝