ジュンはドンちゃんのスポーツカーが欲しくてたまらない。怪獣の人形と交換しようともちかける。ドンちゃんはどれも嫌だという。ケチなドンちゃん。ジュンはどうしてもスポーツカーがほしい、チャッピーから、「魔法使いの端くれなら頭を使え」と言われたジュン。今に見てろよと、ジュンはガラクタ置き場で、ボロ自転車を見つけ、作業を始めた。ジュンがまた何か始めたと、チャッピーは呟く。

魔法のペンキを塗りつけ、ついに空飛ぶ自転車を開発したジュン。ドンちゃんのスポーツカーに対抗するつもりで作り上げたのだ。翼を広げて空をゆく自転車。大成功だとジュンは喜ぶ。病院の窓から、ひとりの少年が見ていた。空飛ぶ自転車に驚く少年。ジュンの空飛ぶ自転車は、少年に見られてしまった。

少年は清という名前。足のケガで入院している、みち子の知り合いという。みち子から事情を聞いたチャッピーは見舞いに行く。清は「空飛ぶ自転車をほんとに見たんだ」と言って聞かない。清の言葉を誰も信じはしなかった。ジュンの自転車だわと、チャッピーはすぐ勘づく。

空飛ぶ自転車を目撃されたことで、チャッピーはジュンを叱った。だが、清が気になるチャッピー。真夜中に病室に行くと、絵日記が置かれている。空飛ぶ自転車に乗りたい願いが延々と描かれている。それほどまでにあの自転車を…とチャッピーは清を見つめた。

チャッピーはジュンに、自転車を貸してほしい。どうしても清を乗せてあげたいという。ジュンは魔法がバレたら叱られるのはお姉ちゃんだよ、と渋々。チャッピーは少しの間という約束で、自転車を飛ばせた。オババが、「トンでもないことじゃ」と、二人の会話をコッソリ聞いていた。

深夜、清が目を覚ますと、目の前にあの空飛ぶ自転車があった。夢にまで見た、あの自転車だ。清はさっそく自転車に跨がった。だが、清は足が悪いためペダルが漕げない。チャッピーは魔法で自転車を空へ上げた。清を乗せた自転車は、大空へぐんぐん上昇。大喜びの清。だが、自転車が突然、急降下を始めた。

オババがチャッピーの魔法を邪魔したのだ。チャッピーはオババの邪魔に対抗する。空飛ぶ自転車はめちゃくちゃになり、ついに空中分解を始めた。間一髪、落ちる清は救われた。それはチャッピーの魔法ではない。パパとママが来た。

今、あの少年の前で起きていることは夢なのだ。夢が覚めれば、辛い現実がきっと待っている。でも、めげずに挫けずに歩いていくんだ、と応援するパパ。ママは、あの子は素敵な夢を見ているんだわという。

町は朝を迎えた。チャッピー「夢は素敵な魔法だわ」


魔法は儚い。それが現実足るもの

今回は、しばらく滞った、チャッピーが魔法で人の願いを叶えるストーリー。チャッピーの魔法は、夢の中で叶えられる事が多いのだが、夢が覚めれば…という現実を初めてパパが唱えた。魔法なんて、ただの夢の中の出来事。覚めれば儚いもの。だが、チャッピーが人々に与えた魔法は、夢ではなく、辛い現実で生きる力を確実に与えている。やっぱり脚本、辻先生!


1972年9月25日放送

脚本 辻真先
作画監督 上村英司
演出 永樹凡人